近年被害が増えている「レスキュー商法」。焦る心理につけ込んで高額請求をする手口です。
深夜に鍵を紛失し、業者に開けてもらおうと依頼すると“法外な金額”を請求された…。MBSのよんチャンTVは6月12日の放送で、泣く泣くその支払いを受け入れざるを得ない状況に追い込まれたケースを紹介しました。
翌日の仕事のためにどうしても家に入りたい、しかも鍵が誰かに盗まれた可能性=誰かが家に押し入ることができてしまう恐れもあるなかで、突発的な状況下では対応の最適解が見えづらいことがあります。
このような形で高額な支払いをしてしまったとき、後からお金を取り戻すことはできないのでしょうか。弁護士に法的な見解を聞きました。
帰宅したが「鍵がない!」 頭をよぎる“盗まれた可能性”
大阪市内の賃貸マンションで一人暮らしをしているAさん。仕事を終えて夜11時ごろに帰宅したところ、自宅の前で愕然としました。
ポケットに入れていたはずの「鍵」がなくなっていたのです。
落としてしまったのか?それとも盗まれたのか?Aさんは焦りながらも、まずはマンションの管理会社へ電話してみます。しかし無情にも「ただいま時間外」との音声ガイダンスが。
しかしAさんとしては、次の日も仕事がある中で、翌日の着替えや化粧などのことを考えると、どうしても自宅に入りたかったといいます。
「一日待ってもいいかもしれないとは思いましたが、万が一盗まれるなどして他人の手に渡ってしまっていたら…と考えると、一日も早く『鍵ごと交換』してしまいたい気持ちが強くありました」(Aさん)
提示された見積もり金額は「18万円」
そこでAさんは、鍵を開けてくれる業者をインターネットで検索し、一番上に出てきた「迅速鍵開け」「8800円~」などと書かれた業者に連絡。
ホームページの内容がしっかりしていると感じたことも依頼の決め手でした。
すぐに業者がやってきましたが、そこで見積もり金額を聞いたAさんは仰天します。
HPには「8800円~」とあるのに…
提示された金額はなんと「18万円」。
業者のホームページには「8800円~」と記載されていたのに、一体なぜこれほど高額なのか?
「他社なら30万円」「次の予定があるので早く決めて」気持ち焦るなか畳みかけられ…
業者が主張した内容は以下です。
▼深夜料金であること
▼郵便受けやドアスコープがないタイプのドアのため、開けるのが難しい
さらに、
「呼ばれてここに来た時点で8800円かかる」
「今後の防犯のために、どのみち近く鍵を換えなければいけない」
「他社なら同じ作業で30万円以上はかかる」
「次の予定が入っているので早く決めてほしい」
などと畳みかけられたといいます。
「18万円はさすがに高すぎる」と交渉したが、結果は…
しかし深夜ということもあり他に助けてもらえる手立ては思いつかず、泣く泣くその業者に依頼することに…クレジットカードで15万円を支払い、家に入ることができたのは、日付が変わった午前1時頃でした。
もしこの状況に直面したのが自分だったら…どう対処するのが良いのでしょうか。
相談増える「レスキュー商法」支払ったお金を取り戻すことは可能?
今回のようなケースは、焦る心理につけ込んで高額請求をする「レスキュー商法」と呼ばれ、鍵だけではなく水漏れ、害虫、車などでも起こっています。
必ずしも違法行為ではないものの、“グレー”な手法が多く、国民生活センターへの相談件数は2014年度で1877件でしたが2024年度には8318件と、10年で4倍以上に増えています。
では、支払ったお金はもう取り返せないのでしょうか。
実は、Aさんのように自ら業者を呼び契約してしまった場合でも、契約の手段などによっては、後からの判断で「クーリングオフ制度」(8日間は無条件で契約解除できる)の対象になるケースもあるそうです。
越水遥弁護士は、クーリングオフのポイントについてこう話します。
「今回のケースでは、最初は8000円ほどだということで呼んだところ15万円という、明らかにかけ離れた金額を請求されているので、受けようと思ったサービスとは異質のものだと言えます。
「クレジットカード支払い」のほうが助かる確率が高い?
また、Aさんは料金をクレジットカードで支払いましたが、この場合、カード会社に業者への支払いを止めてもらえるケースもあるといいます。
「現金で支払ってしまうとお金を取り戻すことは難しいのですが、カード会社に問い合わせて明らかに悪質な行為だと判断されれば、カード会社側が支払いを止めてくれたり取り消してくれたりすることがあります。そうすれば支払い取り消しをした上で、業者との契約関係をどうするのかという問題に持ち込むことができる。業者側も悪質なことをしている自覚があるので、そうなれば無理やり請求してこないケースが非常に多い」(越水氏)
困ったらまずは消費者ホットラインなどへ相談を
また、実際に契約などで困ったときには、消費者ホットライン「188(いやや)」(全国共通)があります。
今回15万円を支払ってしまったAさんも、後から国民生活センターに相談をしたところ、クーリングオフができる可能性があるとして、できる対応策を教えてもらうなどのサポートを受けているそうです(※手続きをするのは消費者本人)。
クーリングオフは8日以内というルールがあるため、何かあればすぐにホットラインなどへ相談をすることが大事です。
Aさんのその後 無くした鍵は…
Aさんの場合、鍵の紛失時に管理会社に電話した際は「時間外」とのガイダンスが流れましたが、後になってよく調べたところ、24時間対応の電話番号が見つかりました。
取り換えた鍵について管理会社に問い合わせると、退去時に指定の鍵への再交換が必要で、約5万円かかってしまうということです。
失くした鍵の行方は…
ちなみに、Aさんが失くした鍵は、翌日に見つかりました。拾得物として警察に届けられていたそうです。
ホテルに1泊していれば…などというのは、後から思えばこそ。
他人事とは思わず、“悪質業者”には用心しましょう。

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