楽しいレジャーの裏側で相次いでいるのが…

夏休みとあって大勢の人でにぎわう各地の海水浴場。そんな夏らしい風景の裏側で相次いでいるのが密漁疑いの摘発です。

MBSは舞鶴海上保安部の捜査員による摘発の瞬間の映像を入手。

“不審な行動”を取っていた男性が、クーラーボックスの中から大量のサザエとアワビが見つかってもなお「ちょっととってただけで持って帰りはしない」と弁明する一部始終を、カメラが記録していました。

何を勝手にとったら“密漁”となるのか。年々増加しているという密漁被害の現状を解説します。

海面に浮きながら不審な行動をとる男性の姿

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」...の画像はこちら >>

京都府京丹後市の海岸。男性が海面に浮きながら何かをしています。その後、男性が海の中から袋状の網を引き上げました。

(海上保安部の捜査員)「網袋持ってる。黄色の網袋。何か入ってる」

そして、男性が中身をクーラーボックスに移します。不審な行動とみて、舞鶴海上保安部の捜査員が近付き、話を聞きます。

海保の捜査員が海に沈められていた別の網を確認すると…

引き揚げた網やクーラーボックスの中には“大量のサザエ”

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

入っていたのは、大量のサザエ。先ほどのクーラーボックスの中にもサザエが大量に入っていました。

(海上保安部の捜査員)「すごい量ですねこれ。だめだと分かっていたんですよね?看板も見たんでしょ?」
(男性)「見たでしょって言われたら、見たけど…」

漁業組合などに独占的に認められた「漁業権」がある場所で、サザエやワカメなどの貝類や海藻類をとった場合、密猟の疑いで摘発の対象となります。

「ちょっととってただけで持って帰りはしない」「それはさすがに無理がある」

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

男性は海に潜り、ヘラのような道具を使ってとっていたとみられます。

(捜査員)「これどうするつもりだったんですか?持って帰って食べるつもりだったんですか?」
(男性)「ちょっととってただけで持って帰りはしない」
(捜査員)「これだけたくさんとっているので、ちょっととってみたっていう量じゃないじゃないですか。それはさすがに無理があるんじゃないんですか」

「逃がすから」と繰り返す男性

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

舞鶴海上保安部によりますと、男性が持っていた袋などからは約200個のサザエとアワビが見つかったということです。

(男性)「逃がすから」
(捜査員)「最終的にはね。ただ(サザエなどの)重さなどは確認するので」
(男性)「持って帰らへんから、逃がすから」
(捜査員)「いやいやいや」

この男性については漁業法違反の疑いで捜査が続けられています。

摘発件数は急増中…「組織化・大規模化」する密漁

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

漁業者以外の密漁的摘発件数2000年ごろから急増し、2024年は1465件が摘発されているということです(水産庁)。

海上保安庁、水産庁によりますと、密漁は「組織化・大規模化」していて、手口も悪質巧妙になってきているということです。また、ルールを認識せず個人的な消費目的も多いとしています。

では具体的に、密漁すると罪に問われる水産物にはどのようなものがあるのでしょうか。

何をとってはいけない?

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

アワビ、ナマコ、シラスウナギなどの「特定水産動植物」は漁業権や許可がない限りとること自体が禁止されています。

たとえそれが「自分で食べる分だけ」でも禁止で、釣れてしまった場合は海へ返さなければいけません。

これに違反した場合、3年以下の拘禁刑または3000万円以下の罰金となります。

水産資源を守るという観点で、また、市場で高値で取引されるものであることから反社会的勢力の資金源になる可能性があり、厳しく厳しく取り締まられています。

実はアサリやワカメもとってはいけない!?

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

「特定水産動植物」以外にも、共同漁業権が設定された沿岸 (海岸線に沿ってほとんど設定されている)で対象となる水産物を一般の人が勝手にとると密漁となり、漁業権の侵害として100万円以下の罰金となります。

【主な対象】 アサリ、ワカメ、マダコ、サザエ、ウニ、イセエビ 

密漁×
漁業権のある場所でアワビ・サザエ・ウニ・イセエビなどを勝手にとる

釣り○
海の中を泳ぎ回っている魚を釣るのは原則自由。ただし、釣り道具や立入禁止区域など自治体ごとに異なる

神戸学院大学・中野教授「政府も制度の周知徹底を」

【摘発の瞬間】「持って帰らへん、逃がすから」「いやいやいや」網袋にサザエなど約200個 何をとったら密漁?→ワカメやアサリも 密漁疑いでレジャー客ら19人摘発 京都・京丹後市
MBS

神戸学院大学の中野雅至教授は、「知らなかったでは済まされない」という考えは前提とした上で、政府による国民への周知不足も問題だと指摘します。

(中野雅至教授)「漁業権を含めてこれらの制度を知ってる人は極めて少ないと思います。だから、国民が知らないことを悪いと責めるのはどうかな、と思いますし、政府も周知徹底すべきではないでしょうか」

中野教授は「集団で密漁を行い、闇のルートで捌いて資金にする組織があること、そしてそれらの組織を摘発することこそがこの問題の“本丸”である」と続けました。

水産資源や漁業権を持つ人たちの生活を守るため、政府による周知徹底や、個人個人がそれらを認識する意識を高める必要があるかもしれません。

(2026年8月17日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

編集部おすすめ