京都にある西本願寺と東本願寺。ともに多くの門信徒をかかえる宗派の本山で、江戸時代初期に本願寺が東西に分派して今の形に至った歴史があります。

2つの寺は今もすぐ近くにあり、「お西さん」「お東さん」と親しみを込めて呼ばれています。

そんな西本願寺と東本願寺が「お互い譲れない対決」があるといいます。果たしてどのような対決なのか?その舞台裏に迫ります。

朝の「お勤め」から一転…気合の入ったかけ声ととも僧侶が訓練に臨む

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浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺。僧侶の朝は「お勤め(勤行)」から始まります。

ただ、夕方になると、境内では「よーし!」と気合の入ったかけ声が聞こえてきます。自衛消防隊が消防訓練に励んでいるのです。

“全員僧侶”の消防隊

隊のメンバーは全員が僧侶。そのうちの1人である亀井恵慶さん(27)は実家が寺で、2年前から西本願寺で働いています。

ふだんは伝道部で僧侶の育成などの業務にあたっています。

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黙々と事務作業に取り組む亀井さんですが、終業後は放水作業と向き合う日々です。

僧侶が境内で特訓を繰り返すこの光景は、消防訓練大会前の風物詩になっています。

東本願寺vs西本願寺の“一騎打ち”

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大会では、下京区の事業所などの自衛消防隊が4つの種目で消火技術を競います。

そのうちの1つである、貯めた水をくみ上げて放水する「小型動力ポンプ」の種目に出場するのは、ポンプを所有している東本願寺と西本願寺だけで、毎年、事実上の一騎打ちとなります。

大会では60mのホースが使われ、操作の正確性などが審査されます。

西本願寺では7月下旬から訓練を続けていて、大会が迫ったこの日、終わったのは午後8時でした。

(西本願寺・自衛消防隊 髙塚純正さん)「疲れましたね、きょうもきょうとて…」

貴重な文化財守るため…日々訓練に取り組む

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訓練に取り組む最大の理由は、先人が残した文化財を守ることです。

国宝の唐門など貴重な文化財が数多くある西本願寺の境内には、防火設備が多く備えられています。

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(浄土真宗本願寺派 警備・警防担当 大下眞史さん)「レバーで角度をつけて向きを調整して水を飛ばすような仕組みになっている」

OBの僧侶による熱い指導も

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大会は西と東がこうした消防技術を切磋琢磨する場となっています。敬礼など細かい手の動きも審査基準になっていて、OBの僧侶が指導していました。

【訓練の様子】
(大下眞史さん)「気を付け!敬礼!…(敬礼は)つばに対して斜め45度から入る」

(髙塚純正さん)「(Q大下さんはふだんどんな人?)ふだんは厳しいです。目の前であまり言えないですけど。でも必要なことなので。本山を守るという意味で大事だと思います」

「やるからには勝ちたいという思いが強い」

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大会の過去10年の対戦成績は、西本願寺が9勝と大きく勝ち越しています。

勝ち負けに「強いこだわりはない」といいますが…

(亀井恵慶さん)「(Q東本願寺に対してライバル意識はある?)やるからには勝ちたいという思いが強いです」

大火にあった歴史から対策整える東本願寺

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一方、本番で西本願寺と対峙する真宗大谷派の本山・東本願寺。こちらでも訓練が行われていました。

指導するのは隊長の藤波龍曇さん(29)です。僧侶として朝のお勤めを終えると、業務をはじめる藤波隊長。担当する業務の1つが「防災」です。

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木造建築の多い寺にとって、防災対策は欠かせません。今年、京都府亀岡市の千手寺では、寺の住居部分が全焼したほか、8月、京都の高台寺では塔頭寺院の離れが焼失する火事がありました。

東本願寺では過去4回、大火にあった歴史から対策を整えてきました。防災センターでは24時間体制で火災に備えているほか、遠隔でお堂に放水する設備も備えています。

初挑戦の3人を引っ張る隊長「率先して声を出したいなと」

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ただ、初期消火に重要なのはやはり「人の力」です。大会本番は負けられない対決となりますが、出場する4人のメンバーのうち3人が初挑戦です。

この日の訓練では、ホースを運ぶ途中で落としてしまいました。連日、地道な練習が続きます。

また、唯一の経験者である藤波隊長が気にしていたのが隊員の「かけ声」です。はきはきした声を出し合って連携するチームワークも審査の重要な基準の1つになります。

(東本願寺・自衛消防隊隊長 藤波龍曇さん)「みんな優しいんですよね。根が真面目で優しい子ばかりなので。言ってあげないと声が出てこないので、率先して声を出したいなと思って声はかけています」

迎えた大会当日 気合みなぎる隊員たち

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過去10年、西本願寺には大きく負け越している東本願寺。積年の悔しさを糧に大会に臨みます。

迎えた当日、雨は降りましたが大会は決行されました。小型動力ポンプ部門は最後です。

東本願寺の僧侶たちは直前まで細かい動きを確認していました。

まずは東本願寺からスタート。かけ声もしっかり揃い、ミスなく機敏な動きで的に放水しました。ふだんの訓練以上に気合がみなぎっていたといいます。

東西が会心の消火活動を披露!その結果は…?

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続いては西本願寺。威勢の良いかけ声に、審査基準として重要な一糸乱れぬ連携も見せ、放水作業は成功。西も東も本番で会心の消火活動を披露します。

そして、結果は…。

(アナウンス)「最優秀賞…西本願寺!」

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抱き合って喜ぶ西本願寺の面々の中、涙を見せる亀井さん。

(西本願寺・自衛消防隊隊長 藤澤顕実さん)「隊員のみんなと一緒に練習してきて、いい結果にできて本当によかった」
(亀井恵慶さん)「プレッシャーはありました。無事終えて安堵しているというのが率直な思いです」

(藤波龍曇さん)「(西本願寺は)うまかったな、すごかったなという印象があった。訓練の中では一番大会で良いものを持ってこれたので良かった」

東本願寺と西本願寺、お互いの消防技術を高める対決はこれからも続きます。

(2026年9月9日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『密着』より)

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