バレーボール男子アジア選手権(福岡県北九州市)は9月13日に大会最終日を迎え、日本は決勝でイランと対決する。勝ったほうがアジア王者に輝くと同時に、2028年ロサンゼルス五輪の出場権を獲得する。

 日本は決勝トーナメントに入ってから、準々決勝(11日)のインド戦を3-0、準決勝(12日)の韓国戦を3-0と、いずれも相手を圧倒する内容で勝利した。振り返れば大会初日の予選ラウンド第1戦(4日)こそ2セットを連取してから第3セットを落としたものの、その反省を生かして以降は全試合でストレート勝ちを収めている。

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 今大会絶好調の髙橋藍(ボグダンカ・LUK・ルブリン/ポーランド)を筆頭に、レギュラーからリザーブまで全員がそれぞれの持ち味を最大限に発揮し、己の役割を果たす──。それが結果につながっており、チーム全体の完成度は決勝を前にして最高潮に到達しようとしている。

 対するイランも、ここまで負けなしだ。予選ラウンド第3戦(9日)の中国戦から、準々決勝(11日)のチャイニーズタイペイ戦、準決勝(12日)のオーストラリア戦と、こちらは3試合続けて1セットを落としているとはいえ、いずれも最終的には勝利を収めている。

 イランと言えば、アジア圏のなかでもフィジカルに優れ、多くの選手は自国のリーグでプレーしながら、あらゆる面で高いクオリティを備えている。近年ではアンダーエイジカテゴリー代表が国際大会で好成績を収めているほか、主力選手のなかには欧州各国のリーグに身を投じることでレベルアップを遂げ、それを代表に還元している様子が見られる。

 今大会でも、決勝を前にして大会の得点ランキングでトップに立つアウトサイドヒッターのポリヤ・ホセイン・ハンザデ・フィルジャは、その代表格。2024-25シーズンからイタリア・セリエAの強豪チヴィタノーヴァでプレーし、当時20歳の若さながら勝負強いサーブで強烈なインパクトを残していた。

【熱血漢の一面もあるピアッツァ監督】

 イランのここまでの戦いぶりを紐解くと、ブロック力の高さが光っている。モハンマド・ヴァリザデとセイエド・イーサー・ナセリ・チェナリの両ミドルブロッカーがそろって10本のブロックポイントを記録。大会全体では3位タイの成績だ(1位は12本の小野寺太志/サントリーサンバーズ大阪とネヘミア・モテ/オーストラリア)。

 攻守において、チーム全体の総合力は言うまでもない。日本にとってイランは、アジア最大のライバルだ。

 アジア選手権においては、第21回大会(2021年)、第22回大会(2023年)と決勝で激突し、対戦成績は1勝1敗。3大会連続のファイナル対決となる今回は、まさに決着をつける機会だ。なお、第21回大会は日本、第22回大会はイランで行なわれ、いずれも開催国が決勝で敗れて涙を呑んでいるわけだが......日本はそのジンクスをはねのけることができるだろうか。

 さて、そのイランを2025年から始まった新しいオリンピックサイクルで率いているのが、イタリア人監督のロベルト・ピアッツァ。バレーボール好きのファンなら馴染みのある名前のはず。イタリア・セリエAのパワーバレー・ミラノを昨季まで7シーズンにわたって指揮し、石川祐希(ジラート・バンク・アンカラ/トルコ)や大塚達宣(ミラノ)も指導した人物だ。

 とりわけ、石川がプロ選手としてのキャリアを着々と積み上げていったその歩みを、ともにしてきた監督である。2023-24シーズンには、石川のミラノ在籍中では最高となるリーグ3位の成績を残した。

 そのシーズンのミラノは、抜群のチームワークを誇っていた。戦術面においても、攻守の連係からブロックフォロー時の位置取りに至るまで、チーム組織として突き詰められていたのが印象的だった。

 ミラノでのピアッツァ監督は、理論的に采配を振る一方で、試合中も選手たちに檄(げき)を飛ばすこと(時には審判に対しても)をいとわない、熱血漢の一面が見られたものだ。チームづくりや采配の様子はイラン代表監督になっても変わらず、石川や大塚もこのように口をそろえる。

「クラブで指揮を執っていた時期と変わらない印象です。チームをしっかりとまとめ上げていると感じます」(石川)

「配信の映像などからも、ミラノで指揮を執っていた時期と同じようなバレーボールが見て取れます。それにタイムアウト中の声のかけ方や、選手たちへの鼓舞の仕方も、『あぁ、ピアッツァ監督だな』と感じますね。おそらくバレーボールのベースは同じなのだろうなと想像しています」(大塚)

【知っている監督のチームだからこそ】

 石川は4シーズン、大塚は昨季までの直近2シーズンで「選手と監督」の間柄だった。ただ、ピアッツァ監督は2019年から2024年までミラノと兼任でオランダ代表を指揮し、これまでも代表シーズンで日本と対戦したことがある。お互いに知り尽くした者同士、コートを離れれば気心の知れた仲だ。

 そんな相手がロサンゼルス五輪の切符を賭けた対戦国の指揮官として、最後に日本の前に立ちはだかる。

 石川は「明日(13日)は非常に厳しい戦いになるでしょう」と言葉に力を込め、大塚も「イランを倒さないかぎり、五輪の出場権は取れないわけですから」ときっぱりと語る。

 そして大塚は締めくくるように、声を弾ませてこう言った。

「知っている監督のチームだからこそ......勝ちたいっスね!」

 福岡からロサンゼルスへ──。

その目標を叶えるために、日本は今年最大の勝負に挑む。

坂口功将●取材・文 text by Kosuke Sakaguchi

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