◆松本潤主演「19番目のカルテ」
本作は、富士屋カツヒトによる連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」(ゼノンコミックス/コアミックス)を原作に、「コウノドリ」シリーズ(同局系)の坪田文氏が脚本を手掛ける。病気を診るだけでなく、心や生活背景をもとに患者にとっての最善を見つけ出し、生き方そのものに手を差し伸べる19番目の新領域・総合診療医を描く新しいヒューマン医療エンターテインメントだ。
清水は、松本演じる徳重晃と同じ病院で働く内科専攻医・鹿山を熱演。「考えても答えが出ないことを考えるのは無駄」と達観しており、同期の滝野(小芝風花)の実直さに呆れる姿を見せる。
◆清水尋也、松本潤に相談したワンシーン
― 初めて医師役を演じるにあたって、役作りで意識されたことなどがあれば教えてください。
清水:専門用語の多いセリフや聞いたことがない言葉が沢山台本にあって、医療系の作品は初めてだったので、そういった部分をどこまで役と体に馴染ませるかが1番の課題だと思っていました。なので、話すときのリズムだったり、言葉や単語の区切り方をなるべくナチュラルにして、浮いて聞こえないようにしていました。元々、音読をして聞こえ方を確認するタイプなんですが、そこは特に意識しました。
あとは、医療監修の先生に、実際の診察のときはどういう仕草や向き合い方で診察を進めていくのかをお聞きしました。患者さんに対しての圧力になるから、(カルテを入力する)タイピングのスピードに気をつけているという先生もいらっしゃって。限られた時間の中で、多くの患者さんを診療していかないといけないというプレッシャーもありながら、病気に対してアプローチをしていかないといけない。お医者さんにも、いろいろな都合があって、心理的な影響が行動に出ることもあったりだとか、そういった部分をなるべくリアルに、お医者さんにみえるように、意識してお話を聞いたり、考えたりしています。
― そういった役作りについて、共演者の方々に相談されたことはありましたか?
清水:診察に関してはそれぞれ専門が違うので、僕は基本的に医療監修の先生にお話を伺っていました。でも、4話で徳重先生と滝野と3人でご夫婦の診療に関してお話をしているシーンで、自分の気持ちからは自発的には出づらいセリフが1つだけあって。その1個前が松本さんのセリフだったので、松本さんに「目線を一瞥だけくれませんか?」とお願いをしました。その一瞥があれば、「鹿山としてもセリフが出る気持ちに持っていけます」とお伝えして松本さんも「もちろんいいよ!」と言ってくださって。こういうふうに、日々現場で僕も意見を言わせていただきながらシーンを作っています。
◆清水尋也「頭が上がらない思い」松本潤を絶賛
― そんな松本さんにどんな印象をお持ちですか?
清水:今回、共演させていただくのは2回目になるんですが、以前からの印象は変わらず「ものすごく現場が見えていらっしゃる方だな」と思っています。スタッフの皆さんもおっしゃっていますが、「目が何個ついているんだろう」と。そのくらい現場を把握しているんですよ。カメラのこともそうだし、照明のこともそうだし…撮影の都合を全部考えた上でお芝居を作っていらっしゃるので、スタッフさんからしたら、すごく頼りになるだろうなと思います。
松本さんは「ここにいたらカメラに被るな」「ここにいたらこの人が映らないな」と瞬時に判断して、自分で「これ違うね」とすぐ修正していらっしゃるんです。僕は、言われてから「すみません。こっちに変えます」と修正することが多いので、その頭の回転の速さと視野の広さは羨ましいなと思いますし「さすがだな」「すごいな」と頭が上がらない思いで日々勉強させていただいています。
― 現場での振る舞いに尊敬する場面が多いんですね。
清水:自然と士気が上がる立ち振る舞いといいますか。現場には程よい緊張感ももちろん必要だと思うんです。松本さんのオーラには、「よし、頑張らないと」と自然とメンタル面でみんなを引っ張り上げてくれる力があります。現場での細かい気づきもそうですし、若手のスタッフさんに対しても的確なアドバイスをされていて、現場が円滑に進んでいく。スタッフの方にとっても、それが気づきになって学びになっていく、という場面をよく目にします。そういうところで「やっぱりすごいな」と。
― 松本さんは、ほかの出演者の方ともよくお話されるんですか?
清水:そうですね。とても気さくにお話を聞いてくださいますし、ときには冗談を言って、現場で大爆笑が起きることも。結構お茶目な部分もあると思います。
― それでは、松本さんが演じる徳重にはどのような印象をお持ちですか?
清水:徳重先生の話し方がある種独特で。喋るトーンや声もそうですし、テンポが落ち着いていらっしゃって。
◆清水尋也「この数年間で日々気づいて」10代から変化した考え
― 清水さんは「無駄なことはしたくない」という鹿山の生き方に共感する部分や逆に「違うな」と感じたところはありますか?
清水:10代のときの方が「こうしたい」「こうなりたい」という欲求に対しての必要な努力にまっすぐだったので、逆にそれ以外のことを自分の中で無意識に排除してしまっていたと思います。それが20歳を超えて、30歳に近づいていくにつれて、少しずつ、1個1個の物事に対して向き合うことの大切さだったり、誠実に何かに向き合うことの大切さにこの数年間で日々気づいています。なので、鹿山の「無駄を省いて効率重視」みたいな部分も、もちろん大事だと思うけれど、僕としては「前はそう思っていたかな」という感覚で、今は共感する部分はあまりないかもしれません。
― その考え方が変わることになったきっかけはありますか?
清水:仕事でも私生活でも、頭を抱えるような嫌なこと、楽しかった思い出、忘れたくない思い出、それぞれやっぱりある。元々は、仕事とプライベートを切り離して考えるタイプだったんですけど、感情を取り扱う仕事なので、どんな場面でも自分が感じたことや経験したことは全部役に活きてくるんだなというのを日々実感しています。だから、誰かに何か言われてというよりかは、自分の周りにいる友達や先輩、いろいろな人がそれぞれ抱えている悩みや、ぶつかっている壁を客観的に見たときに、悩んでいる今の自分とちゃんと向き合えるようになりました。
「何で悩んでいて、何が足りなくて、それを得られれば自分はこうなる」「こうすれば、ああなれる可能性があるかも」と悩んでいる状況も次のステップに進むための助走なんだなと。年を重ねていく中で、少しずつ築いてきたかなという感じです。
◆8月10日放送・4話のみどころは?
― 4話のみどころや注目すべきポイントを教えてください。
清水:3話までは、鹿山のちょっとひねくれた部分が見えていたと思いますが、鹿山も医師という仕事に対しての向き合い方、仕事として折り合いをつけていかないといけない部分にすごく葛藤しながら、自分の中で考えて生き方を探している人間です。
4話では、患者さんの悩みや葛藤、ときには掛け違えてしまう思いやりを鹿山が自分に投影しながら成長していく姿が描かれます。鹿山は僕自身とも近い世代のキャラクターですが、僕たちの世代って、「諦めている」人が多いのではないかと思うんです。遠い先にある成果や夢を追い求めるために前に進んでいく人よりかは、険しい道をかわしていく生き方をしている人が結構増えているのではないかなと。鹿山の姿を通して、医師という仕事に限らず、人生や仕事に対していろいろな人に何か伝わるメッセージが届けられたらいいなと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
◆清水尋也(しみず・ひろや)プロフィール
1999年6月9日生まれ。東京都出身。主な出演作品に映画「渇き。」(2014年)、「ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判」(2015年)、「ちはやふる 上の句・下の句/結び」(2016、2018年)、「東京リベンジャーズ』シリーズ」(2021、2023年)「さがす」等。近年では、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」(2023年)、映画「リボルバー・リリー」(2023年)、「オアシス」(2024年)、2024年放送のTBS系ドラマ「Eye Love You」、「海に眠るダイヤモンド」などの話題作で存在感を放っている。「第11回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞」を受賞。
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