◆連続テレビ小説「あんぱん」
今作は、“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人が、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」に辿り着くまでを描く愛と勇気の物語。主人公の柳井のぶを今田、のぶの幼なじみで、夫の柳井嵩を北村匠海が演じる。脚本は連続テレビ小説「花子とアン」(2014年度前期)、大河ドラマ「西郷どん」(2018年)などを手掛けた中園氏が務める。
◆中園ミホ氏「あんぱん」キャストの芝居に驚かされたこと
— キャストの表現力に驚かされたシーンがあればお聞かせください。
中園: 登美子役の松嶋菜々子さんは強烈なキャラクターですよね。映像を観ているうちに、さすがにこれはお茶の間の皆さんが引いてしまうかもと思い、途中でいい母親にしようとしたんです。そうしたら松嶋さんが、監督を通して「いえ、私は(登美子が)死ぬまでこのままでいきたいです」と言ってくださり、それで吹っ切れたところがあります。松嶋さんは本当に大好きな女優さんですが、ますます尊敬しました。書いていても観ていても気持ちがいいです。観ている方の反応が怖かったのですが、女性は結構登美子が好きだと聞くので良かったです。
東海林明役のツダケン(津田健次郎)さんのことは、声優さんとしては存じ上げていましたが、俳優としての姿はあまり知りませんでした。でも、高知新聞社の面接のシーンを見て、ハッとしたのです。
— 久しぶりに松嶋さんとご一緒し、かつ新境地ともいうような役を演じているのをご覧になっていかがでしたか?
中園: 登美子をあんなにチャーミングで上品で美しく演じてくださって、やっぱり大好きな女優さんです。私は遅筆なのですが、登美子のセリフだけは淀みなく書けるので、ずっと描いていたいぐらい。実際、やなせさんのお母様は香水の匂いが強くて派手好きな方だったそうなので、お母様がドラマを観てくださっても怒っていないんじゃないかなと思います(笑)。
◆中園ミホ氏、北村匠海の芝居に驚き
— 書いているうちにキャラクターが育っていくという風にお話されていましたが、実際に執筆していく中で思わぬ方向に育っていったキャラクターや、当初から大きく違う方向に進んでいったキャラクターがいれば教えてください。
中園: 私はキャラクター像を固めてからじゃないと書けないタイプなので、大きく変わったキャラクターと言われると難しいのですが、北村匠海さんですね。今ややなせさんは、幼い頃に私が知っている明るくて声の大きな、やなせさんではなく、北村さんが演じる嵩のような人だったんだろうなと。一番自分の思ったキャラクターと違う方に育っていったキャラクターです。ものを描かれる方のナイーブな面を北村さんが繊細に表現してくださっていて、最初は驚きましたが、そういう化学反応こそドラマを作る楽しさだと思います。
◆「あんぱん」ミセス大森元貴・中沢元紀らキャスティング秘話
— 制作統括の倉崎憲さんは時間の管理が上手だというお話がありましたが、倉崎さんとのやり取りの中で特に印象に残っているお話があれば教えてください。
中園: 倉崎さんはキャスティング能力がすごいです。私が希望を出すこともありますが、いせたくや役のMrs. GREEN APPLEの大森元貴さんは倉崎さんが決めてきてくださいました。とにかく朝ドラは出演者も多く、スケジュール管理が大変ですから、難解なパズルのようで、スタッフの苦労も大きかったと思います。とても感謝しています。
— 若手のみなさんのお芝居も毎回すごく話題になっていましたが、いかがでしたか?
中園: みなさん本当にすごかったですね。千尋役の中沢元紀くんは、私がオーディションに呼んでほしいとお願いしたこともあって、親心のような気持ちで見ていました。本当に立派に成長して、これからもっと大きい俳優さんになると感じます。ケンちゃん役の高橋文哉さんは二枚目でクールなイメージが強かったので、そうじゃない面が見たいと思って書きました。ケンちゃんは出てきただけでその場が明るくなる存在。高橋さんにあの役を演じていただけてよかったです。彼はコメディーのセンスもあるし、これからもっと活躍する俳優さんだと思います。みなさんそうですが、ぜひまたご一緒にお仕事をしたいと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
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