みなさんは「マッチョ介護」という言葉をご存じでしょうか。
マッチョが介護…?異色な言葉の掛け合わせながら、妙に納得感のある不思議な言葉です。
マッチョな介護士たち
この「マッチョ介護」で介護業界に新風を巻き起こしているのは、愛知県に拠点を構える介護福祉施設グループ「ビジョナリー」です。
「ビジョナリー」の所属選手たちは、その筋骨隆々のガチムチなスタイルでフィットネス大会を席巻する強者ぞろい。その彼らが、普段は介護ワーカーとして働いているからこそ「マッチョ介護」というわけなんです。
まずは、引き締まった筋肉が美しい加藤友太郎さん(選手兼介護士)をご紹介します。

いかがでしょうか?
トレーニング中の厳しい表情とは打って変わって、介護されている時はほがらかで優しそうな表情。介護を受ける皆さんからも大好評だそうです。
いきいきとする“マッチョ”な介護現場
このユニークな「マッチョ介護」について、株式会社ビジョナリー・人事の加藤大輝さんに詳しくお話を伺いました。
―― そもそも「マッチョ」と「介護」を掛け合わせようと思われたきっかけを教えてください。
(加藤)私たちは、介護や福祉の仕事をクリエイティブな仕事だと捉えています。「福祉こそ色々なカタチがあっていい」。代表のそのような考えのもと、ひとつのクリティブな働き方としてフィットネス実業団を取り入れたんです。
所属選手たちは、フィットネスで活躍する夢を追う選手としてだけでなく、介護職員としても働いています。
会社としても、介護ワーカーとして働く選手たちの夢を積極的に応援していきたいと考えています。

―― 「フィットネス」と「介護」の2つの仕事を並行して行う発想なのですね。介護現場を拝見しましたが、いきいきと楽しそうに働かれていたのが印象的です。
(加藤)トレンドの言葉でいえば、パラレルワーク、という発想です。そのため、就労時間についても工夫をしています。
実は、6時間の介護業務+2時間の筋トレで計8時間の業務としているんです。筋トレの時間を、敢えて業務として組み込んでいるからこそ、介護の仕事にも全力で取り組めると考えています。
また、職場の平均年齢が27歳という若さも影響しています。同年代で同じ夢を追いかけているから、公私の相談もしやすく、働きやすい環境だということもあるでしょう。

―― 介護ワーカーの皆さんは、この「マッチョ介護」についてどのように捉えているのですか?
(加藤)「介護職のイメージが変わった」「夢を追いかけながら働けるのがありがたい」といった声がよくあがりますね。
また、一般的な会社で働いていれば、食事の回数を分けて摂ることができなかったり、白米と鶏むね肉を食べていると白い目で見られることがあるようです。しかし、私たちの事業所では決してそんなことはありません。
むしろ、仲間から称賛されるくらいです。全社的に「筋肉作り」を応援してもいるので、タンパク質の補給には全力で取り組んで欲しいと思っています。
―― 一方、利用者の方々からはどのような声がありますか?
(加藤)安心感がある、というお声を寄せていただいております。特に移乗介護は肉体労働ですから、安心して身を預けられるそうです。また、明るいスタッフが多いので、「お話をしていて楽しい」といったポジティブな反響もよく頂きます。

施設運営の採算性は⁉
―― 介護事業所として筋肉作りを応援されていることが、利用者の満足にも繋がっているのですね。
(加藤)筋トレ時間を設ける以外にも、何か筋肉へのサポートはありますか?
フィットネスの選手たちには特殊雇用手当という枠があり、毎月20,000円をプロテイン代として支給しています。それだけでなく、フィットネスの大会出場の費用や出場の際の交通費、大会の出場に向けたプロテイン代も支給しています。
また、フィットネスの選手だけでなく、例えば、週1勤務のパートさんたちにも、ジム利用などのケアを無料で受けられるようにしています。健康に気を遣いたいスタッフや運動不足を解消したいスタッフにも福利厚生として利用してもらっています。

―― 介護ワーカーの皆さんへの手厚い支援の導入にあたってコストの負担についてはいかがでしょうか?
(加藤)確かに、私たちも採算性に関しては当初少し不安がありました。しかし、「マッチョ」の皆さんに魅力的な職場にすることで、採用コストを抑えることが出来ているんです。
一般的な採用では、1人採用するために想定年収の30%前後を紹介会社に支払っている会社が多いはずです。早期離職のリスクを抱えながら、多くの企業が利用しているのではないでしょうか。
介護業界はどうしても仕事がキツイイメージがあり、人手不足が深刻です。
私たちは、そうしたネガティブを払拭するような職場を作り上げることで、モチベーションの高い働き手を集めることが出来ていると自負しています。
最近は、「マッチョ介護」の取り組みをSNSでも発信しているのですが、SNS経由で入社してくれる方も増えています。
SNSは弊社の代表が先頭に立って発信をしています。