代官山 蔦屋書店 重松沙織さん

5000円超の豪華な1冊が大人気。代官山に通うクリエイティブ...の画像はこちら >>


最近、本屋さんに行ったのはいつですか? ネット書店で買ったり、電子書籍で読んだりが主流で、もうしばらく店舗には行ってないな……という方も多いのではないでしょうか。

もちろんお目当ての本を検索して購入するのであればそれで十分ですが、「書店」という場所の魅力は、検索ワードだけでは辿り着けない思いがけない出会いがあること。この連載では、全国のさまざまな店舗で働く書店員さんが、プロの目線で担当ジャンルの「お金の本」をセレクトします。



今回お話を伺うのは、代官山 蔦屋書店のビジネスコンシェルジュ、重松沙織さんです。ビジネス書のスペシャリストが選ぶ、今こそ読んでほしい「お金の本」とは?

「法律書を見られる人がいない」から始まった

私が代官山 蔦屋書店で働き始めたのは2年ほど前からです。前職でも別の書店で働いており、ずっとビジネス書を担当してきました。

はじまりは、書店でアルバイトをしていた大学時代。商学部に所属しつつ法学部のゼミも取っていた私に、「法律関係の内容がわかるスタッフが他にいないから」という理由で(笑)、先輩社員のサポートとして白羽の矢が立ったのが、ビジネス書の棚を担当するきっかけでした。店舗は変わりましたが、気づけばそこからずっとこのジャンル一筋です。

とはいえ、この店舗でビジネス書の棚づくりをしていて改めて強く感じるのは、同じジャンルでも、以前勤務していた有楽町の店舗と比べて、お客様の層がまったく違うことです。

経営者の方や起業家、クリエイティブな職業の方も非常に多く、会社勤めのビジネスマン向けの困りごとを解決する本よりも、たくさんの人を率いていくリーダー向けの本や、会社をより大きくするための本がよく売れる傾向にあります。ですから、全国的なベストセラーとも売れ筋がまったく違って面白いです。

荒木俊哉さんの『こうやって頭のなかを言語化する。』(PHP研究所)や、藤原ヒロシさんの『FRAGMENT UNIVERSITY』(集英社)といった、クリエイティブに寄ったビジネス哲学の本がよく手に取られているのも、代官山ならではの特色だと思います。

5000円超の豪華な1冊が大人気。代官山に通うクリエイティブ層が読む「お金の本」とは?


世界的投資家、ウォーレン・バフェットの“右腕”の哲学

今回は「お金の本」ということで、難易度やターゲットのグラデーションを意識して、代官山らしいラインナップから若手向けまで3冊を選んでみました。

まずは、『Poor Charlie’s Almanack チャールズ・T・マンガーの金言』(日本経済新聞出版)を。

5000円超の豪華な1冊が大人気。代官山に通うクリエイティブ層が読む「お金の本」とは?
『Poor Charlie’s Almanack チャールズ・T・マンガーの金言』(日本経済新聞出版、ピーター・D・カウフマン編、貫井佳子訳)

ウォーレン・バフェットの右腕として、世界的な投資ファンド「バークシャー・ハサウェイ」の共同経営者を務めた伝説的な投資家、チャールズ・T・マンガーについて書かれた本です。

バフェットの本は数多く出版されていますが、マンガーの本は珍しく、待望の邦訳と感じた方も多かったようです。分厚くてお値段も張る(5500円)のですが、当店ではよく売れました。

特徴的なのは、具体的な投資の手法ではなく、人生やビジネスにおける「判断」に重きを置いている点です。心理学や歴史学、数学など、複数分野の知識を組み合わせて考える「多重メンタルモデル」という考え方や、「成功することよりも失敗しないことを考える」といった彼の哲学が詰まっていて読み応えがあります。装丁もシックで、重厚な紙の本で家に置いて置きたくなるような一冊です。

自由に人生を選択するための「お金」

2冊目にご紹介するのは、『外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。ベストセラーになっており、当店でもよく売れている旬な本ですね。

5000円超の豪華な1冊が大人気。代官山に通うクリエイティブ層が読む「お金の本」とは?
『外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、河村真木子)

親が子に伝えたいお金の話、という切り口ですが、単なる資産の「増やし方」だけではなく、お金でいかに人生の選択肢を広げていくかが説かれています。

「逆説的なのですが、『お金に縛られずに自由に選択できる人生』には、お金が必要不可欠です」というシンプルで力強いメッセージです。お子さんにお金についてどう伝えていいか迷っている親御さんに、ぜひ読んでいただきたいですね。

個人的に特に印象的だったのが、「モノよりも経験に投資する」という項目。知らない世界を知るために、あえてワンランク上のホテルに泊まってみるなど、“背伸びの体験”をすることが自分への投資になる、という考え方は、大人が読んでも気づきがあると思います。

20代は何を考えればいい? 今すぐ実践できるアクション

休日の代官山は、若いみなさんがお友達同士で遊びに来られることも多く、実は20代向けのお金の本や自己啓発本も人気です。そんな当店で長く売れているのが『【新NISA・iDeCo対応版】20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)です。



5000円超の豪華な1冊が大人気。代官山に通うクリエイティブ層が読む「お金の本」とは?
『【新NISA・iDeCo対応版】20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社、中村芳子)

働き始めたばかりで老後までのマネープランが見えていないという方に向けて、手取り足取り解説してくれています。これまで紹介した2冊が考え方自体を伝える本なのに対し、こちらは非常に具体的かつ実践的。「コンビニでの浪費をやめれば年間◯円貯まる」「20代でNISAを始めよう」など、今すぐ実践できるアクションが細かく載っています。

1冊読み通せば、人生に必要なお金のことをザッと見通せるはず。何から始めていいかわからない若い方の「最初の1冊」としてはもちろん、もう一度学び直したい大人の方にも役立つ、地に足のついた誠実な本だと思います。

本を中心に、ライフスタイルを提案する場所

代官山 蔦屋書店は「大人のための文化の牙城」をコンセプトにライフスタイルを提案しています。書籍を中心に雑貨や文具、食品など、驚くほどいろんなものを売っているんですよ。

店内には1000万円を超えるアート作品がドーンと置かれていたり、デザイン関連の洋書や海外の雑誌がかなりの数並んでいたり。週末には海外からの観光客のお客様もたくさんいらっしゃって、多国籍な空間です。

私が担当している人文・文学・ビジネス書のフロアは他の書店出身のコンシェルジュも多いですが、「書店員」の枠を超え、これまで扱った経験のないまったく違うジャンルのポップアップの企画・運営などもやっていて、本当にすごいな! と感心します。施設内でイベントをやっている日も多いので、ぜひお休みの日に遊びに来てください。

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