1980年代に生まれたデートカーという言葉には明確な定義はない。強いて言えば「女子にモテる」クルマだということだろうか。
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「女子にウケる」という点では映画やドラマの影響も大きい。とくにバブル絶頂の80年代後半から公開された、ホイチョイプロダクションズ製作の3部作はその代表だ。若者のオシャレなトレンドやライフスタイル、恋愛を描いたこれらの映画は大ヒットを記録。なかでも「私をスキーに連れてって」は、スキーブームとともに4WDブームも巻き起こし、劇中で登場したクルマに乗ることがオシャレと、男女問わず大人気に。
1987年に公開された大ヒット映画『私をスキーに連れてって』に登場したなど【写真13枚】
『私をスキーに連れてって』 1987年に公開された大ヒット映画。ゲレンデで出会った2人のラブストーリーを、松任谷由実の楽曲にのせてファッショナブルに描いた傑作だ。原田知世の白いウエア姿と三上博史の華麗なスキーテクニックは、当時の男子と女子をとりこに。この映画を見て若者たちはゲレンデに詰めかけ、スキーブームに火を付けた。また、最新の流行やファッションを散りばめたトレンディドラマの原点でもある。
ST165 CELICA 走り始める前にドアを開けて路面を触り、「凍ってるね」と言うシーンは、今でも語り継がれる名場面。また、チェーンを装着しているFF車を横目に「所詮4駆の敵じゃないね」というセリフも強烈。そこで出てくるのが、このセリカGT-FOUR。雪道やゲレンデをときにジャンプしながら豪快に駆け抜けるセリカに若者たちは心を奪われ、「スキーに行くなら4WD」、もっといえば「セリカでスキーに行くのがカッコいい」と、若い男女からもてはやされた。
『彼女が水着にきがえたら』「私をスキーに連れてって」に続き、バブル期映画の代名詞ホイチョイプロダクションズが手掛けた第2弾。
『波の数だけ抱きしめて』 ホイチョイ・ムービー3部作の完結編として91年に公開。舞台は82年の湘南。西海岸文化全盛の頃、学生時代最後の思い出に本格的なFM局の設立をめざす若者たちのひと夏の夢と恋を、潮風と波、心地よいユーミン・サウンドにのせて描いた名作。
BMFS FAMILIA 80年代前半に陸サーファーが流行したように、海は重要なデート&ナンパスポット。海を舞台にした「彼女が水着にきがえたら」、「波の数だけ抱きしめて」でもオープンカーが登場しているように、海にはオープンカーがよく似合う。ただ、オープンカーは数が少なく、スペシャリティーカーやスポーツカーから派生したオープンカーが主流。そんななか、ファミリアのカブリオレは実用性を備えたコンパクトなオープンカーとして重宝された。
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初出:ハチマルヒーロー 2014年 5月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
女子のハートを独り占め! 魅惑のデートカー(全4記事)
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