アニメソング(アニソン)を語る連載、第一回目は『呪術廻戦』1期のED曲であるALIの「LOST IN PARADISE」。米津玄師さんやKing Gnu同様、海外でも高い評価を受けている本楽曲の魅力とは?
カルチャーライターの曽我美なつめと申します。様々なアニメやマンガをこよなく愛するガチオタクである一方で、これまで約10年ミュージシャンとしても活動し続けるかたわら、現在は音楽ライターとしても活動している私。
今回はそんな私が皆さんにおすすめしたいアニソンを、音楽オタク&アニメオタクの両側面からご紹介していきたいと思います!
第一回目となる今回ピックアップしたのはアニメ『呪術廻戦』1期EDともなったALI『LOST IN PARADISE』です。
ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」期間生産限定盤(CD)画像
via ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」期間生産限定盤(CD)よりALI『LOST IN PARADISE』が海外でウケた理由とは?
今や爆発的人気を誇るアニメ『呪術廻戦』。元々アニメやマンガが好きなオタクの人々からすれば、OP『廻廻奇譚』を歌唱した元ボカロP兼歌い手のEveさんの方が馴染みが深い、という方もきっと多いことでしょう。事実『廻廻奇譚』のMVは、2021年3月時点でYouTubeにて8300万回再生を突破。アニメの世界観を深部まで落とし込んだMVや歌詞の内容が、大勢のファンの心を掴んだポイントとも言えます。
一方で再生回数こそ劣るものの、ALIの『LOST IN PARADISE』もまたそのお洒落でハイセンスなEDが話題ともなりましたね。ポップな色彩とラフなタッチで描かれた、『呪術廻戦』メインキャラたちのオフを描いた可愛いイラスト。その映像にこれまでのアニメEDの概念をひっくり返された方も、もしかしたら多いのではないかと思います。
楽曲自体も、一言で言えば非常にスタイリッシュで都会的なサウンドのこの曲。アニメに詳しくない人が一聴しただけでは、きっとアニメのED曲だとは想像も付かないことでしょう。
そんないい意味で「日本のアニソンらしさ」がない点が大きな魅力のこの曲。それが功を奏してか、この楽曲の魅力はなんと国境を越えて海外でも大きく評価されているのです。
主にアメリカで、日本のアニメ配信サービスとして大勢に支持を得ている「クランチロール」。
現在ユーザー数が約9000万人とも言われるこのサービスでは、毎年ファン投票で18部門の受賞を決めるアニメアワードを主催しています(ちなみに日本で最も人気の配信サービスであるAmazon Primeの会員登録者数は2020年6月時点で約850万人)。
実はそのクランチロールのアニメアワード2021にて先日、この『LOST IN PARADISE』が栄えある「最優秀エンディング賞」を受賞!
TVアニメ『呪術廻戦』ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」
via www.youtube.com『呪術廻戦』という作品としては、今年度の最優秀作品賞である「Anime of the Year」、本作のキャラクターである両面宿儺に贈られた「最優秀悪役賞」と並ぶ最多の3部門受賞を達成しています。さらにこの『LOST IN PARADISE』を歌うALIは、アニメ『BEASTERS』楽曲『WILD SIDE』にて「最優秀オープニング賞」も受賞。同一アーティストの二冠達成は史上初として、海外のアニメファンからも注目の熱いアーティストとして一躍有名になりました。
ジャンルレスなALI。ポスト米津玄師やKing Gnuになる?
元々この楽曲を歌うALIというアーティストは、7人組の多国籍バンド。自身がハーフであったり生まれと育ちの国が違ったり、メンバー全員が複数の国をルーツとしている非常にユニークなユニットです。#呪術廻戦 を通して出会った皆様へ
— -Leo Imamura- 今村怜央 (@ALI_EN_LIBERTY) December 25, 2020
最高の人生の瞬間をありがとう。
青春をありがとう!
美しい瞬間が、
みんなの楽園で永遠に放浪し続けますように。
ED https://t.co/HzO4oyPeoJ
MVhttps://t.co/y5FrwFEkUm pic.twitter.com/Cf8KADJuwx
リーダーのLEOは『呪術廻戦』の舞台でもある渋谷で生まれ育ったため、この作品への参加に関しても喜びもひとしおだった様子。
しかし同時にこの渋谷を拠点として、彼らは現在国籍や国境、あるいは音楽やアニメ、ファッションなど。様々な面においてボーダーレス、ジャンルレスな活動をモットーとしているのです。ALIと同様に海外でも高い評価を受けているアーティストがいます。
それは日本の音楽界でも絶大な人気を誇り、昨年発売の作品が世界的アルバムチャート「グローバル・アルバム・オール・フォーマット・チャート 2020」で7位を獲得した米津玄師さん。
同じく国内外を問わず大勢のファンを持ち、海外でのライブ経験を経た後に自身の音楽を世界に向けてメイドインジャパンを意味する「トーキョー・ミクスチャー」と表明したKing Gnu。
世界にも通用するであろう彼の共通点はアニメのOP・EDへの曲提供を行なった経験があるということです。
『僕のヒーローアカデミア』2期アニメOP『ピースサイン』、先日舞台化も決定した『BANANA FISH』アニメED『Prayer X』。これらの洗練された楽曲に耳を奪われたアニメファンは多いのではないでしょうか。
『僕のヒーローアカデミア』×米津玄師「ピースサイン」スペシャルミュージックビデオ
via www.youtube.com今や日本のものだけではない、ジャパンメイドのアニメ作品。その広まりは物語本編だけではなく、映像を彩る音楽の側面に関しても言えることです。
そういった意味でこの『LOST IN PARADISE』は、国境を越え多くのアニメファンに愛される曲であり、ひいてはこの曲を歌うALIも、ポスト米津玄師・ポストKing Gnuともなりうる次世代のネクストアーティストとしての注目度が今音楽業界において急激に高まっていることもまた事実なのです。
(執筆:曽我美なつめ)
『うっせぇわ』Adoはニコニコ動画世代・最後のアーティストか。“あるオタク層”に共感を呼ぶワケは|numan

『鬼滅の刃』煉獄杏寿郎と宇髄天元の“死の価値観”とは。遊郭編は無限列車編との対比性に注目|numan

大ヒット連発の黄金期。もう一度聴きたい!懐かしアニソン7選『スラダン』『ハガレン』『銀魂』etc...|numan
