「オーシャンズ的、2022年ヒット予測」とは……

通勤場所に合わせて住むエリアを選ぶのがこれまでの当たり前だったが、テレワークが定着した今、事情はがらりと変わった。仕事は変えないまま、都心から離れた環境豊かな場所へ移住するケースは後を絶たない。


2022年は、どんな暮らし方がトレンドになるのか? 住まいの在り方をつぶさに見てきたSUUMOの池本編集長に語っていただいた。

語り手は……
戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUU...の画像はこちら >>

池本洋一●1995年、(株)リクルート入社。2011年より不動産・住宅情報サイト『SUUMO』の編集長を務める。


2022年の住宅トレンドはコレ!
[予測①] 移住ブームは継続する
[予測②] 注目の移住地は「御代田町」と「横瀬町」

[予測③] お買い得は、新築戸建て!?
[予測④] 家探しの“3Dバーチャル見学”が進む
[予測⑤] 省エネ基準が資産価値を左右する
[予測⑥] 都内は“各駅停車駅”が穴場!?


[予測①] 移住ブームは継続する

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


実は、2020年5月はSUUMOの閲覧数が過去最高のページビューを記録したんです。ちょうどコロナの第1波と時期が重なっているのがポイントで、閲覧が増えたエリアは、神奈川県の逗子や葉山、千葉県の館山、山梨の八ヶ岳あたり

閲覧したユーザーは2タイプいたと思います。一つは、もともと都心から離れようと検討していた潜在層。


もう一つは、テレワークが継続した場合、現状のアパートやマンションじゃ働きづらいよなって引っ越しを考え始めたケース。その動きが顕著だったのが2020年の夏前ですね。

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


時間が経つにつれて「テレワークでも仕事はできるし、会議もオンラインで大丈夫そうだね」っていう認識が、個人でも企業の間でも広がっていったのが2020年の冬頃。

でも、まだ制度としては整いきってないタイミングでした。そこで、実験的に都心を離れ移住をし、それでも今までと同じように仕事ができるかを試す社員が出てきました。

自然のある場所に移住したり、地元にUターンしたり、自分がしたい暮らしに合わせて住む場所を選ぶという動きが若い世代を中心に加速


僕らはそれを「クラシゴト改革」って呼んでいます。弊社でもそういう事例はたくさんありました。テレワークやフレックス制度など、会社の制度が整っていない会社では、自分が実験台になるからと、制度化を自ら会社に訴える会社員の方もでてきたようです。

改革とも呼べる変化は一時的なものではないので、そういう意味で、2022年も移住の流れは続くのではないかと見ています。

 

[予測②]注目の移住地は「御代田町」と「横瀬町」

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


おすすめの移住先はどこですか?って聞かれるんですけど、個人的には長野県の御代田町を挙げています。軽井沢から電車で15分のところにある小さな町ですが、軽井沢に隣接している分、インフラが充実しているのに物価は安い。

隣の佐久市に行けば大規模商業モールもあって買い物は便利だし、めちゃめちゃいい大きな病院もあるので安心です。
小・中の学校教育に力を入れているのもポイントですね。

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


ちなみに、関東近郊だと埼玉県の横瀬町に注目しています。池袋まで電車で1時間弱で行けるアクセスの良さはもちろん、秩父の山々に囲まれ、田んぼや畑も多いため、スローライフを楽しみたい人におすすめです。

最近では、サウナテントのイベントが開催されるなど、新しいことにチャレンジする気概が溢れています。
--{1/2}--

[予測③] お買い得なのは新築戸建て!?

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


みなさん気になるのが「今、家を購入するなら何がお得なのか?」っていう話ですよね。新築戸建てか中古戸建てか、もしくは、新築マンションか中古マンションなのか。今はお得度でいくと「新築戸建て」です。


事業者が“神風”っていう表現を使うくらい2020年6月あたりから首都圏の新築戸建てが爆発的に売れているんですよ。

技術革新が進み、簡単に家の骨組みを組み立てられるようになりましたし、木造建築はほかに競合がいないので、建築費用も2011年からずっと横ばい。物価の変動が少ないため、買う側にメリットがあるということです。

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


一方、災害復興やオリンピックで鉄筋のニーズが高まった影響で、マンションの建築コストは右肩上がりです。

ゼネコンや職人の数も足りない。そういう背景もあって、平米あたりのコストが2011年は18万円程度だったのに、今は26~27万円くらいまで跳ね上がってます。
建築コストはもちろん購入価格にも反映されるので、マンションマーケットの価格も上がり続けています。

ただ、その分、5年後、10年後、どっちの方がより高く上がり続けるかっていう視点で見ると、新築マンションのほうが高く売れる確率が高いというのが今の見立てですね。

ですので、資産性を重視する方には新築マンションもおすすめです。

 

[予測④] 家探しの“3Dバーチャル見学”が進む

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


テレワークやウェブ会議の拡大とともに、家探しもオンライン内見が急速に進んでいます。3Dのバーチャルで部屋の中をウォークスルーで見ることができる、いわゆるグーグルマップの室内版みたいなシステムもでてきています。

これは賃貸探しにおける数字ですが、オンライン内見の利用が契約者の約2割にまで普及しているというデータもあります。

3Dバーチャル見学は未完成の戸建てやマンションにも適用されており、竣工していない物件の外観や室内を見れるようになってきています。


また、中古物件でもバーチャル上で家具を配置してイメージしやすくするなどといった進化もあり、SUUMOでもこれらのサービスを強化しています。
--{次のページ}--

[予測⑤] 省エネ基準が資産価値を左右する

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


省エネ住宅かどうかは今後、資産価値を左右することになりそうです。昨年12月に自民党が出した税制改正大綱でも明らかになりましたが、カーボンニュートラルの流れの中で、借入限度額は省エネ性能の高いものほど手厚くしています

これからは家の売り買いをする際に「省エネ」は耐震基準と同様、避けて通れなくなるポイントになるでしょうね。

ちなみに資産価値という点では、「認定長期優良住宅」も注目しています。これは、「長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅」と国が認めたもの。

新築時に耐震性、省エネ性などの基本性能に加えて、メンテナンス性も含めて総合的に高性能な住宅となっているので、売るときも高く売れる確率が上がりますし、住宅ローンの控除額も高くなっています。

 

[予測⑥] 都内は各駅停車駅が穴場!?

戸建てvs.マンション、“買い”は? 移住ブームは? SUUMO編集長による最新住宅トレンド


都内に住むなら、各駅停車の駅の価値が見直されてきていると思っています。例えば、自由が丘みたいな商圏を近くに持つ、各駅停車駅の緑が丘とか奥沢とか。下北沢周辺なら、池ノ上や世田谷線の松陰神社前なんかですね。

会社に出社しないっていうことが当たり前になると、家の近くで顔見知りを作るっていう価値が見直されていくと思うんです。

自由が丘のお店では接客してくれる店員が毎日違うけど、奥沢は途端にローカルになって、客も地元の人ばかり。ちょっと語り合える人が近くにいるかどうかって、これからは大切になってくるんじゃないかと思います。


これからの住まい探しは、ライフスタイルに合った場所選び、環境にやさしい住宅、ローカルとのつながりがキーポイントとなりそうだ。

「オーシャンズ的、2022年ヒット予測」とは……
コロナに振り回された2021年だったが、“TikTok売れ”なる言葉が生まれ、大谷翔平の“リアル二刀流”が流行語大賞に選ばれるなど多くのトレンドも生まれた。さぁ、2022年は何がヒットする? 
上に戻る