朝の情報バラエティ番組のMCにも就任し、本業の役者以外にもマルチな才能を開花させている吉沢 亮さん。

今注目の人に、人生を楽しむためのヒントをインタビューする。

 


今いちばん楽しいことは「仕事です」

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吉沢 亮である。昨年は、NHKの“朝ドラ”において、主人公の初恋相手を好演し、来年の大河ドラマの主人公にも抜擢された。いずれ「国民的」とさえ呼ばれるであろう俳優のひとり。トップブランドの新作を身に纏い、ときにクールで、ときに楽しげな表情をカメラに見せてくれる。

「根暗なんです、僕。漫画とアニメが大好きで、普段は口数が多いほうでもないですし、声も小さいんです。ヤバイやつですね(笑)」と、自虐で和ませてくれる。

早速、本企画のテーマとして掲げる、今いちばん楽しいことは何かと水を向けると、まっすぐ「仕事です」と返ってきた。

オーシャンズ世代の我々も振り返ってみれば、ガムシャラに日々を過ごしていた20代。学生ノリに別れを告げ、社会というものを肌身に感じる時期と思えば、現在26歳になったばかりの吉沢が仕事に夢中なのも共感できる。

「前に出る性格ではないので、別人格になりきれることが、演じる仕事の醍醐味。見ている人に、役の人物の感情を伝えるのが仕事。吉沢 亮が演じる虚構を、まるでリアルな出来事のように見せることにやりがいを感じています」。


難しいからこそ、コメディを演じるのは面白い

俳優・吉沢亮に聞く。ファッション、アウトドア、仕事のこと

出演する最新映画『一度死んでみた』は、朝ドラでも共演した広瀬すずさんとの再会でも話題のコメディ。広瀬さん演じる主人公、デスメタルバンドのボーカルをサポートするゴースト社員役を吉沢は務める。

「自分の素のヤバイ感じを、そのまま役にフル活用したのでめちゃくちゃ楽しかったです(笑)。基本的に役柄を作り込むほうではないからなおさら。自分が役に入るときは、脚本を読み込んで、受け取った人物像を自然に膨らませていくタイプです」。

目の前の仕事を、楽しみながら自分なりの見せ方を模索している真摯な姿勢も垣間見える。

「コメディは、見るのも好きですが、演じるのも好き。

シリアスな芝居をするとき、例えば、悲しい表現は、感情のままに入り込めば演じられます。けれど、笑わせるには、それだけではダメで、間とか言い方とか、技術的にもさまざまなものが求められます。しかも自分だけが楽しめばいいわけじゃないですし……それがやっていて難しいです。その点、今回共演した堤 真一さんとリリー・フランキーさんの掛け合いは、抜群の安定感。とても勉強になりました」。

テレビCMやコント番組などで、コメディセンスも感じさせる吉沢。

やはりお笑いも大好きだという。

「今は、金属バットさんやからし蓮根さんが好きですね。彼らの動画もよく見ています」。


漫画もファッションも買い物も好き

俳優・吉沢亮に聞く。ファッション、アウトドア、仕事のこと
コート79万円、Tシャツ4万5000円、パンツ7万5000円/すべてグッチ(グッチ ジャパン 0120-99-2177)

いわゆるお笑い第7世代と呼ばれるニューカマーにも着目しており、仕事も趣味も掘り下げるのが好きな模様。とりわけ冒頭でも語った漫画&アニメは別格で、スマホアプリを複数ダウンロードし、電子書籍で日夜閲覧しているそうだ。

「どんなジャンルでも構わずに読みます。複数の作品を並行して読んでいると、どのアプリで何巻まで読んでいたのかわからなくなって、たまにあたふたしています(笑)。

おすすめは、王道かもしれませんが、『ブルージャイアント』シリーズ。ジャズで一旗揚げようとする、真っすぐな主人公の成長ストーリーは、完結した日本編から連載中の海外編まで、ぶっ通しで読んでほしいです」。

一方でファッション好きな一面も。今年早々、パリで行われたディオールの2020-’21年AWコレクションではショーを彩るセレブリティのひとりとしてフロントロウに招かれた。その件に触れると「仕事とはいえ、あれはアガりました。街の中心地で堂々と開催されて、国全体がファッションを応援している雰囲気が素敵でした」と述懐する。

「着るのも好きですが、何より買うのが好き」と、買い物フリークであることを吐露。「ストレス発散ですね。店では、自分の好みを厳選しているつもりなんですが、なぜか大量になってしまう。結果、部屋には一度も袖を通していないニットが何着も転がってます(笑)」。


アウトドアは、完全な御膳立てがあれば(笑)

俳優・吉沢亮に聞く。ファッション、アウトドア、仕事のこと

趣味に関してはインドア派を自任する吉沢にとって、アウトドアの遊びはどう映っているのだろう。

「釣りは、絶対ハマると思うんですよ。以前釣り堀に行ったときに、アタリをじっと待っているのが性格的にも合っているなと思ったんです。でも、釣った魚は触れません(笑)。僕を楽しませてくれるよう完全にセッティングをしてくれて、手取り足取りエスコートをしていただけたら、重い腰を上げるかもしれません。でも、虫も苦手だからやっぱりダメですかね(笑)」。

多忙な中、リラックスできるのは、友人たちと酌み交わすお酒だそう。

「そうした時間が取れるのは、出演する作品と作品の間。このときは本当に何も考えなくていいので」。

最後に、役者として今いちばんチャレンジしたいことを聞いた。

「本格的な舞台です。これまではミュージカルなどが多かったので、芝居で見せる本格派をぜひ。お客さんを生で感じられる舞台で、生身の演技をして、役者としても成長していきたいです」。

よしざわりょう●1994年、東京都生まれ。2009年、アミューズ全国オーディション「THE PUSH!マン」で審査員特別賞を受賞し、芸能界入り。2月より朝の情報番組「ZIP!」の金曜パーソナリティに就任。3月20日(金)より、CM「三太郎シリーズ」で知られる浜崎慎治監督の映画『一度死んでみた』が全国ロードショー。「何も考えずに楽しめる痛快コメディです!」(談)。

赤木雄一(eight peace)=写真  荒木大輔=スタイリング  小林正憲(SHIMA)=ヘアメイク  髙村将司=文