「失敗しないキャンプデビュー、基本の“キ”」●空前のキャンプブーム。“今日から俺も!”と思いつつ、どこから準備すれば良いのやら。
キャンプ人気は熱を増す一方だ。日本オートキャンプ協会によれば、国内のキャンプ人口は7年連続で増加。同時に「何から買い揃えていいかわからない」とお悩みのキャンパー予備軍も増えている。
そこで今回は、キャンプの達人として知られるスタイリスト・平健一さんと、アウトドアセレクトショップ「オレンジ」のマネージャー、堀西晃弘さんに協力を依頼。キャンプデビューにまるわる基本の“キ”を聞いてきた。
まずはビギナーにオススメの「テント」からご案内いただこう。
テント選びで押さえるべき「基本のキ」
まずはテント選びで注意すべきポイントについて。
「目的によって、選ぶべきキャンプギアや装備品も変わってきます。もちろん、テントも例外じゃありません。ファミリーやグループなら、やはり快適性の優先度が高いと思います」(平さん)。
ちなみに、テントのような大物は、安価ではないからこそ「安物買いの銭失い」にも陥りやすいのだとか。
「だからこそ、事前の下調べが大切です。
ということで、オレンジで実際に売れ筋で、かつキャンプ初心者にも人気のテントをご紹介いただこう。堀西さん、お願いします。
①テントに迷ったらこれ!の優等生
スノーピーク「アメニティドーム」M:定員3~5人
まずは入門用テントとして圧倒的な人気を誇る、スノーピークのベストセラーが登場。
「初心者でも買い求めやすい価格がいちばんの魅力です。
テントには軽量ながらも弾力性の高いフレームを使用。背が低く設計されているため、風にも強い。耐久性の高い生地には防水・撥水加工が施されているので、雨でもへっちゃらだ。
まさにコストの何倍ものパフォーマンスを誇る優秀テントで、エントリーには最適な一機である。
②MAX189kmの風速にも耐える悪天候キラー
ローベンス「ボイジャー 3EX 2020」:定員3人
デンマークのアウトドアブランド、ローベンスのアンダーのテント。こちらも5万円を切る価格帯だが、そのスペックは本物だ。
「手頃な価格ながら、驚異の耐風性能をもった強靭なテントです。設営も簡単で、収納もコンパクト。3人用ですが、ソロキャンプでも少し広めのテントとしてお使い頂けます」(堀西さん)
広々とした快適なリビングスペース、そして2つの大型ドア(メッシュ付)と広い前室を特徴とする。
特筆すべきは、MAX189kmの風速にも耐えられる強靭な造り。豪雨にも耐えられるので、悪天候でも余裕をもって構えていられる。内部に付いている吊り下げ式のギアロープやストレージポケットなど、便利なギミックも高ポイントだ。
③凡庸性の高さはキリマンジャロ級
ムラコ「グスタフ」:定員4人
いくらビギナーでも、「できればデザインにもこだわりたいんだよなぁ」というのが本音だろう。
「ムラコは、他ブランドではなかなかラインナップのないブラックカラーのテントをいち早く導入したブランドです。他人と被りたくないテントをお探しの方にはイチオシのテントですね」(堀西さん)
スタイリッシュなだけでなく、広々とした居住空間は快適なテントライフを約束。天井は高いが、6本組みのジオデシック構造を採用しているため、圧倒的な耐風性を誇る。
テント内の通気性を保てるよう計6カ所にベンチレーションを設けており、日本の蒸し暑い気候にも対応してくれる。前室の荷物スペースも十分に広く、キリマンジャロ登山のツアー会社「タスカー・トレイル」社に正式採用されたモデルという点にも説得力がある。
④眠りを妨げない耐日差し最強テント
コールマン「タフスクリーン2ルームハウス」:定員4~5人
8万1800円/コールマン(オレンジ 0736-20-1329)「まるで家のような快適性、利便性を持つ2ルームテントですが、なかでもこのモデルは初心者でも購入しやすい価格設定で大人気です。簡単に設営できるアシスト機能付きなので、不慣れなの方でも安心してご使用いただけるはずです」。
もともとコスパに定評があるコールマンだが、この2ルームテントの新作に触れれば、「8万円だとこんなにもハイスペックなテントを作るのか!」と驚かされるに違いない。
インナーテントサイズはファミリー向けのドームテントに匹敵。だから、本当に寝室が快適。日光は90%も遮断でき、温度上昇を軽減してUVをブロックする“ダークルームテクノロジー”を搭載しているため、陽差しが強い日中でもキャンプが楽しめる。
⑤自然と調和する憧れのシルエット
セインアーツ「ゼクーM」:定員4~6人
8万4480円/セインアーツ(オレンジ 0736-20-1329)「新進気鋭ながらも、手頃な価格とは裏腹にスペックの高さが魅力のブランドです。こちらはブランドのフラッグシップモデルですが、10万円を切る価格のワンポール構造なので、初心者の方でも簡単に設営が可能です」。(堀西さん)
一般的に、ワンポール構造は圧迫感が最大デメリットだと言われる。しかしこのテントはフレーム組みでその悩みを払拭し、ミドルサイズの床面積とは思えない開放的な居住空間を保証。その広さは、チェアを4脚置いてものびのび過ごせるほどだとか。
リビングシートも付いているので、ピクニックのように地面に座ってテントライフを楽しむことも可能だ。
ビギナーキャンパーは予行練習を忘れずに!
さぁ、お気に入りのテントを見つけたらさっそくキャンプ場へGo!……の前に、平さんからアドバイスが。
「家族キャンプでかっこいいお父さんを演じるためには、購入したテントの試し張りはしておきましょう。勉強にもなるし、不具合のチェック、付属品(テントを張るペグやポールなど)の確認にもなります。メーカーのホームページではテントの組み立て方を動画で紹介していることも多いので、それを参考にしてみてください」(平さん)
予算は抑えめでも、モノを選べば末永く使える本格スペックのテントは多々ある。安物買いの銭失いにも、宝の持ち腐れにもならないよう、大いに参考にしてほしい。
次回は、ビギナーキャンパー憧れの“焚き火台”をご紹介しよう。
取材に協力してくれたのは……
アウトドアセレクトショップ「オレンジ」●定番商品からガレージブランドまで、アウトドアギアやアウトドアアパレルを豊富に取り揃える。コールマンやユニフレームなどの認定ショップでもあり、無料設営講習を実施するなど、玄人にも初心者にも優しいアウトドア用品専門店。
〒749-7113
和歌山県伊都郡かつらぎ町妙寺488-4
0736-20-1329
https://shop-orange.jp/
市川明治=取材・文