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「Running Up-Date」とは……

リモートワーク推進をきっかけに職住融合が進み、新たな生活スタイルと向き合う人が増えている。

不動産の動きにもちょっとした変化が見られ、都心部から1時間ほどでリーチできる逗子・葉山では、物件への問い合わせが2倍に増えているのだとか。

自転車メーカーやアウトドアスポーツの商社などを経て、現在は静岡県磐田市にあるスポーツ関連企業でセールスマネージャーを務める竹谷 浩さんは、葉山へと引っ越したことをきっかけに今の会社への転職を決めた。

神奈川県の葉山町から磐田までの200km超を通っている? もちろんそんなはずはなく、もうかれこれ5年ほど、在宅ワーク中心で仕事をこなしている。


飲みニケーション代わりに、走りミーティング

「アウトドアが近いライフスタイルを求めて5年ほど前に葉山へと引っ越したのですが、その環境があまりにも良すぎて(笑)。この環境をフルに生かすため、在宅でできる仕事を探すことにしました」と、竹谷さん。

こうして見つけたのが、スポーツ向けのテーピングテープや、小規模メーカーのスポーツ・アウトドア用品の輸入などを行う会社のセールスマネージャー職。ごく少人数の会社であり、基本的に自分ひとりで各地の営業へと飛び回る仕事のため、本社に出勤する必要もなければ、都心部に住む必要もない。葉山の自然を身近に感じながら、仕事に子育てに打ち込める。

「営業先も東京やその周辺が中心で、自宅のある葉山から直行できます。本社のある静岡には出社せず、もっぱら近所のカフェなどにこもって仕事をしています」。

そこで気分転換になるのがランニングだ。

葉山在住の営業職ランナーが実践する、ランニングコミュニケーション術

「もともとは10年以上前、仕事の関係で参加したトレイルランニングのレースがきっかけでした。登山はしていたのですが、走るのは好きじゃなくって。いざ走ってみると、もちろんキツいのですが達成感が得られるし、体力がついてできることの幅が広がります。

しょっちゅうレースに出るわけではないのですが、そのときそのときの体力に応じて、少し背伸びしたくらいの目標を目指してレースにチャレンジしています」。

そして、ランニングをコミュニケーションの手段として楽しんでいるのが、竹谷さんの特徴かもしれない。昨今の社会情勢の中、外回りの機会が減って、ひとりで働く時間が増えてきたことも拍車をかけている。

「これは以前からですが、走るようになってから出張先でも夜のお酒の席ではなく、朝ランや登山をしながらのミーティングをすることが増えました。雑談ついでにポジティブなアイデアが出ることもしばしばで、円滑にコミュニケーションできます。イベントの打ち合わせがあるときはフィールドの現場で行えますし」。

葉山在住の営業職ランナーが実践する、ランニングコミュニケーション術

「今年に入ってから在宅時間が増えたことで、散歩がてら妻と一緒に走る機会が増えました。主に夜、子供たちが入浴している時間を利用して、5kmほどを無理のないペースで。面と向かって話すような感じでもないのですが、走りながらだと子供のこと、お互いの近況などを話す、ちょうどいい時間が取れるんです」。

これは良いことを聞いた。最近すれ違いが多いと感じている夫婦は、2人きりの時間が生まれるけれど息がつまることもない、ランニングコミュニケーションを取り入れてみると良いかもしれない。


乗り物では味わえないランニングのスピード感が好き

ランニングは移動のための手段だと考えている、と竹谷さん。

「走るという動き自体が楽しいというよりは、走ることのスピード感や機動力の振れ幅が楽しくって。出張先では必ず走るようにしていますが、歩きでは回り切れない範囲をフットワーク軽く回れるのがいい。

先日、出展を予定しているマラソン大会の下見で長崎に行ったときも20kmほど走ってきました。坂が多くって地元の人にはタイムを出しにくいコースなのでしょうが、観光客目線だと街並みを眺めて歴史を味わいつつ、観光として走れる。気が付いたらもう20kmなの?という感じで。このスピード感は、乗り物に乗っていては味わえません」。

葉山在住の営業職ランナーが実践する、ランニングコミュニケーション術

近所の仲間にはアクティブな友人が多く、それもランニングの継続にひと役買っている、

「毎週水曜日の朝に、葉山のホームマウンテンである仙元山を走るグループランをしています。7kmほどの距離を1時間強かけて走るのですが、走り終わってから都内へ出勤する電車に間に合うよう、6時スタートで集まっています。

毎週同じ時間に走ることで季節の変化を感じられるのと、それを仲間と一緒に体感できるでリフレッシュできます」。

葉山在住の営業職ランナーが実践する、ランニングコミュニケーション術

仙元山トレイルクラブと銘打って走り始め、もう4年目になるとのこと。自然豊かな葉山という環境を存分に活かしたランニングライフだ。

「アクティブな知り合いが多いので、突然の山遊びやランの誘いにも躊躇なくのれるような体力はこれからもキープしていきたい。

それと今は免疫力が低下してしまわないよう、疲れの残らないボリュームにとどめることも意識しています」。

走ることをひとつの手段として、仕事でもプライベートでもコミュニケーションを楽しむ。タイムを狙うランナーではないかもしれないけれど、これも立派なランナーの形で、そのためにも走ることを欠かさない。

竹谷さんは最近、年々硬くなる体を前に、ケガをして走れなくなることがないよう事前にケアをすることに注力しているという。後編ではそのあたりの秘訣やお役立ちアイテムを教わることにしよう。

葉山在住の営業職ランナーが実践する、ランニングコミュニケーション術

RUNNER’S FILE 22
氏名:竹谷 浩 
年齢:45歳(1975年生まれ)
仕事:スポーツメーカー セールスマネージャー
走る頻度:週1~2日程度

「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

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礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真