「ザ・ベストダウン 2020」とは……
今回からは人気セレクトショップの一軍ダウンをパパラッチ! トップバッターはビームスだ。
ドンズバのオーシャンズ世代、ビームス プラスのMD(マーチャンダイザー)・長谷部慎之介さんの着こなしから、今冬ダウンスタイルの攻略法を探っていこう。
着るだけでサマになるオーシャンブルー
「この青いダウン、実はマーモットとビームスのコラボレーションアイテムなんです。通常、アウトドアブランドだと、胸元にロゴが入ることが多いですが、これは袖口のマジックテープ部分にさり気なく型押しロゴが入っているだけなのでパッと見だと分からない。そこがいいんです」。
さらにステッチがないスッキリした見た目が特徴的なマーモット×ビームスのダウン。表地に「GORE-TEX Products 2L」の防水生地を使用し、中には撥水加工を施した750フィルパワーのダウンを搭載することで、極寒にも耐えられる防寒性の高い仕上がりに。
「発色のいいブルーのダウンジャケットは、着るだけでサマになります。なので、それ以外は裏地のブラックを拾って、モノトーンに寄せてコーディネイトしました。
フードは取り外しできるので、スタンドカラーにしてインナーにパーカーを合わせるのもあり。シルエットも大きめなので、ボリューム感のあるミドルレイヤーの上からでも羽織ることができたりと、幅広いレイヤードが楽しめる一着です」。
ちなみに、ベースになるモデルは、マーモットで過去に熱狂的な支持を集めたマンモスダウンパーカー。2000年代から毎年発売される度にニューヨーク・ストリートカルチャーの住人の間で大流行し、争奪戦が展開されたという逸話が残る伝説のジャケットである。そんな背景も男心をくすぐる。
アークティックパーカがモダンに高機能化
「ウールリッチが2年前から展開しているモダンアウトドアというラインのアークティックパーカです。アークティックパーカ自体は、もともと南極探検家用に作られていたモデルということで、使い勝手は折り紙付きなのですが、より機能性を高めるためにGORE-TEXを採用しています。
充填するのは650フィルパワーのダウンで保温性抜群。フードのファーは、よりリアルさを追求したフェイクファーで、イージーメンテナンス仕様にアップデートされている。
「リアルっぽいんですがフェイクファーです。真冬じゃなければ取り外して着てもいいのかなと。
スナップボタンやジップといったパーツまですべてブラックなので、インナーは対極的にホワイトのケーブル編みのニットでニュアンスを。
トップスにボリュームがあるときはボトムスを細身にする、これってオーシャンズっぽくないですか(笑)」。
清潔感と品の良さ、いいとこ取りのクラシカルダウン
「先の2つとは違って、クラシックで光沢のあるデザインが特徴的なビームス プラスオリジナルのダウンジャケットになります。
ベースは70~80年代にエディー・バウアーが出していたカラコラムダウンパーカー。それをオリジナルファブリックのミニリップストップナイロンで作りました。着丈の長さや肩まわり、シルエットなどのパターンを現代的にアップデートしています」。
機能重視のハイスペックダウンも悪くないけれど、やっぱりアメリカナイズされたデザインにはどうしても心が揺らいでしまう。このなんとも言えない絶妙な配色もビームス プラスの成せる技か。
「冬に白いアイテムを取り入れるのが好きで、この淡いブルーとも相性がいいんです。なので、ダウンのクラシックなデザインに合わせて、パンツもコーデュロイ地にして季節感を出しつつ、キャップはマドラスチェックのものを、シューズもスニーカーではなくモカシンを合わせて、クラシックだけど都会的な装いを意識しました」。
襟元のコーデュロイ部分は首裏に配して素材の付着を防ぎ、フード部分はフラップのディテールを追加して、首元から入る風の侵入を防いでくれる。ヴィンテージライクな雰囲気は残しつつ、より防寒性を高めるべくダウン量も多めに設定しているという。
実用的な側面が強いからか、カジュアルな印象を持つダウンジャケットを、ニットやモカシンと合わせて色気のあるスタイルに。若者には出せないこの風格。真似したいものである。
「ザ・ベストダウン 2020」とは……
冬アウターの王様、ダウン。その温かさ、存在感、使い勝手の良さはアウター界で他の追随を許さず、だからこそ各ブランドは毎冬、渾身作を世に送り出す。さぁ、2020年のキング・オブ・キングスを決めようか。
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佐藤 裕=写真 中田 潤=取材・文