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「逃げ恥」で家事代行サービスに追い風? 男手限定「ナギサさん...の画像はこちら >>

1月2日、新垣結衣、星野源の共演で「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!」が放送された。放送後、「#逃げ恥」がSNSで世界トレンド1位になるなど、新年から話題をさらっている。

2016年に放映されたこのドラマが斬新だったのは、ヒロイン森山みくりが「家事代行」という職業をいかして契約結婚したことだったが、家事代行といえば、昨年ヒットしたドラマ『私の家政夫ナギサさん』でもフォーカスされていた。製薬会社のMRとしてキャリアアップを目指す、家事が大の苦手のヒロイン、メイ(多部未華子)のもとに家事代行サービスの男性スタッフ・ナギサさん(大森南朋)が派遣されるというストーリーだ。

かくのごとく、「家事代行」はすでに時代のトレンドの一つだ。そして、「ナギサさん」のストーリーを地でいくような「男性による家事代行サービス」を提供する企業がある。

男性スタッフが自宅を訪問、力仕事を含む家事を引き受けてくれるのだ。

その名も「マッスルベアーズ」。提供元の大手家事代行サービス会社「ベアーズ」取締役副社長、高橋ゆき氏は冒頭の「逃げ恥」で家事監修も務めたという。ベアーズの担当者に話を聞いた。


ニーズに応えるために生まれた男性スタッフの家事代行

家事に関する日本人の傾向として「自分でやらなければ」という意識は強い。欧米など諸外国に比べると、ハウスキーパーやベビーシッターなどのアウトソーシングに抵抗を感じている人は少なくないだろう。しかし、その空気が変わりつつあるのだ。

家事代行サービスを提供するスタッフは女性が多いが、前述のドラマのナギサさんのように、男性による家事代行サービスが国内に存在している。大手家事代行サービス会社ベアーズが運営する「マッスルベアーズ」だ。

ベアーズは1999年創業より、女性スタッフによる家事代行サービスを行ってきた。しかし「高い所の電球交換やホコリ取りのような、ちょっとした力仕事を頼めない?」というリクエストに応えるべく、2005年、男性版家事代行サービス「マッスルベアーズ」を開始する。

男性スタッフは通常のハウスクリーニングサービスも行う。そこへさらに重い家具の運搬など力仕事などを積極的にサポート。

ベアーズのスタッフ研修では、マナー、接遇、コミュニケーションなどのトレーニングも行っているため、丁寧な対応にも満足の声が届いているそう。

「マッスルと聞くとムキムキの男性を想像しますが、マッスルなのは『心』、心をこめたサービスで対応します」

「逃げ恥」で家事代行サービスに追い風? 男手限定「ナギサさん」派遣も
写真提供:ベアーズ

「逃げ恥」で家事代行サービスに追い風? 男手限定「ナギサさん」派遣も
前述のドラマの家政夫ナギサさんも、紳士的な人柄とハイクオリティな家事の手腕が魅力。男性家事代行サービスに拒否反応を示していたメイも、絶大な信頼をおくようになった。

『私の家政夫ナギサさん』ドラマ放映後の影響についてベアーズでは、家事代行利用に対する心理的ハードルが軽減したのではないかと考えているそう。

ドラマ放映後の利用者の男女比は通常と大きく差がみられなかった。一方、今まで30~40代の共働きや子育て中の利用者が大きな割合を占めていたのに対し、30代のシングルやDINKsからの問い合わせが増えつつあるという。


withコロナでさらに多様化するライフスタイルと家事代行ができること

2020年はコロナウイルス感染拡大防止により、ライフスタイルに大きな変化が生じた。外出自粛やリモートワークによって家で過ごす時間が増えた結果、ベアーズへの問い合わせには次のような影響がみられた。

「家事ストレスの増加がみられるようで、宣言解除からは問い合わせが増加し、昨年と比較して150%近くの月もありました」

コロナ過のベアーズへの問い合わせでは、キッズ&ベビーシッターや料理代行の依頼が増加し、好評を得ているそうだ。感染予防・衛生管理の要望もあり、除菌や買い物代行の依頼も増えているという。

ベアーズの家事代行サービスの利用者の内訳をさらに詳しく教えてもらった。

・共働き家庭の利用が約50%

・シングル、シニア、専業主婦家庭の利用はそれぞれ15%前後

・問い合わせの男女比はおよそ3:7

マッスルベアーズの利用者に関しても女性からの依頼が大半ではあるものの、シニア男性の利用もみられるそうだ。年齢による筋力や体力の衰えで、男性といえど力仕事がままならないこともあるだろう。「思うように家事ができない」という悩みごとは、同性の方が頼りやすい。

「逃げ恥」で家事代行サービスに追い風? 男手限定「ナギサさん」派遣も
Getty Images

また、人気が高い依頼は掃除サービス。その他、買い物や洗濯、アイロンがけ、布団干し、食器洗い、ゴミ出し、ボタン付け、上履き洗い、靴磨き、片付けなどにも対応している。ライフスタイルが多様化している昨今、コストコへの買い物代行、片付け後の不要品のフリマアプリへの出品代行、イケアの家具の組み立て、WiFi接続などにも対応可能だ。

変化が著しい社会のなかで、自分らしく生きたい、自由な時間を楽しみたいという悩みを抱えている人は多い。家事代行は、単純に家事作業を代わりに行うだけではなく、人生のサポートも担うサービスとしてこれからもニーズが高まっていくかもしれない。

 

上沼祐樹=文 石井節子=編集

記事提供=Forbes JAPAN