趣味に没頭する男が口にしがちな「自分だけがわかればいい」的な発言。そりゃ誰もに理解される必要はないが、一歩間違えればただのワガママ男だ。
特に危険なのはギア関係。やたらとアップデートして最強装備を整えても、無駄遣いの烙印を押されちゃ、家に置いておくのも気を遣ってしまう。
では、コチラの自転車と釣竿はどうか。それぞれ50万円超えだが、「たかが」と片付けられない納得の理由がそこにはある。読めばきっと欲しくなるので、“言い訳”の準備も兼ねて早速見ていこう。
「未来の乗り物⁉︎」=55万円也
コチラは6月に日本上陸した、シンガポール発コーストサイクルズの「バズローX」。スポーツタイプの電動アシスト自転車、いわゆるEバイクである。
メイン価格帯は25万円前後といわれるEバイク市場において、この黒ずくめの「バズローX」はなんと55万円。
ブランドのなかでも最高級モデルに位置付けされるが、メイン価格帯の倍もする理由は如何に。
まず、目がいくのは武骨なデザインだ。
ファットタイヤやロングシート、ダイレクトにハンドルに繋がる直線フレーム…… スマートな見た目のEバイクが多いなか、男らしさ炸裂の佇まいは異彩を放つ。
これはミニバイクの構造を踏襲したもので、ハンドル位置など、乗ったときの格好までバイク風になるように計算しているという。
スゴイのはそれだけじゃない。
Eバイクでは珍しい、8段変速ギアとダブルサスペンションを搭載することで、未舗装路や悪路を走るときの衝撃が軽減され、乗り心地が格段にアップされている。
これで木立の中を縫うように走ったり、砂浜を疾走したユーザーの声は「まるで未来の乗り物のようだ」というから、体験した者にしかわからない爽快感があるのだろう。
また、自転車における必須装備であるフロントライトと泥除けが付いていないのは、自分好みにカスタマイズできるようにするため。
手に入れたあとにも、自分色に染められる余白が残っている。これもまた“男のロマン”に繋がる要素かもしれない。
釣竿界のベントレー=55万6600円也
釣りは、魚との格闘だけでなく、美しい自然を満喫できることも魅力。
なかでも、綺麗な山間の川をフィールドにした鮎釣りは“ツウな遊び”として知られ、その分、ギアにもこだわりの逸品が多く用意されている。
そこでこの「エクセルシオ ノブレス」。老舗・がまかつが手掛けた専用竿は一本、なんと55万6600円だ。
針にかかった鮎が逃げないよう、竿は柔軟にしなることが求められる。高い反発性を持ちながらも、決して折れない強靭性。それでいて、細かなロッドコントロールを可能にする軽量性も必要だ。
そんな理想を追求しまくった結果、素材に採用したのが超高弾性カーボン。
これはとにかく扱いが難しく、がまかつの熟練した職人にしか製造できないのだとか。そのほか、竿と人を一体化させる企業努力は山ほどあれど、当然すべてを明かすことはできないので、感動のつづきは手に持って確認してみて。
また、専門の色付け師によって描かれる美しい装飾にも目を奪われる。朱色をベースに黒と金で彩った竿は、もはや伝統工藝品のようだ。
好事家にとってこれを手にする喜びは、もはやプライスレスといえるのかもしれない。
ということで、「バズローX」と「エクセルシオ ノブレス」が欲しくなった人、我々が用意した言い訳を駆使して、身近な大蔵省にプレゼンしてくれたまえ。
[問い合わせ]
マットボルトガレージ
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がまかつ
www.gamakatsu.co.jp
村野いつき=文