「愛しのパタゴニア バギーズ・ショーツ」●夏の大本命にして大定番、パタゴニアのバギーズ・ショーツ。誕生から約40年、その輝きは増すばかりだが、世のバギーズ・ラバーズはどう着こなしているのか。
1982年に誕生し、今もパタゴニアの超定番アイテムとして愛され続ける水陸両用ショーツの元祖“バギーズ”。その恩恵にあやかっている人は多く、40年近く経った今でも夏が近づくと品薄状態に。
その引力の源は? 年を重ねた今、どのように着こなす? ラバーズたちの声からバギーズの魅力を探る本企画。
まずは数多のシューズをPRする三浦由貴さんを通し、その魅力に迫ろう。
“初”バギーズで知ったリアルな便利さ
「古着シーンでもよく知られた存在ですし、水と陸をつなげた功績は色褪せない。今となっては水陸両用なんて珍しくもないわけですから、余計にその功績は際立ちますね」。
休日は釣りを嗜む三浦さんにとって、パタゴニアのバギーズはこの時季、非常に頼もしい存在だ。しかも自宅時間が増えた昨今、「水陸両用」のみならず、「家街両用」としても活躍しているのだとか。
「休みの日とかはほとんどこれ。すごくラクですし、機能的だからアウトドアでもとにかく便利ですよね」。
しかし、意外にもこの日着用しているアイテムが“初バギーズ”だという。
「7、8年前、とある雑誌の撮影でハワイへ行ったとときのことでした。
それまで、パタゴニアは「スタンドアップ・ショーツ派だった」という三浦さん。
「バギーズなら雨の日も気にせずはけるし値段もお手頃。いいじゃん!ってことで、それからはき続けています」。
オールドスケーター風で魅せるバギーズの最適解
実を言うと、三浦さんのワードローブに黒は珍しい。馴染みのある色で、しかもシンプルなデザインだからこそ、着こなす際には周囲のアイテムで“クセ”をつけたいと三浦さん。
「派手な色をほかで使ってみたり、オールドスケーターっぽい感じやゴリゴリのアウトドアっぽい雰囲気に合わせることが多いですね。言い変えれば、それらを受け止められる一本なんだと思います」。
今回トップスに合わせたのは、かなり年季が入ったスケートT。
「昔からステューシーやサンタクルーズなどのTシャツは結構持っていて、今日は中でもお気に入りのインディペンデントの’90年代初期の一枚に合わせてみました」。
足元は、オールドスケーター風に、ハイカットのラインソックスや派手めなコンバースのオールスターを選択。
なぜ、バギーズに黒を選んだかは自分でも不思議と語る三浦さん。ただ、バギーズの良さに気づいた今、次はサーモンピンクや柄物に照準を絞っていると買い足しに前のめりだ。
こんなパタゴニア ショーツも見せてもらいました!
「付き合いで言ったら、こっちの方が古い」と語るのが、先の話題にも出てきたスタンドアップ・ショーツ。パタゴニアのウェア部門は1973年からスタートするが、当時から今の今までカタログに掲載され続けている大定番である。
パタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードが仲間たちと鍛冶場で物作りに励んでいた際、はいていたワークパンツに着想を得て生み出したとされている同作。
「これはずっと好きでカラバリ、または年代別で何枚か持っていました。これがいちばん古く、’70年代のアイテムですね。しかも、サイズがぴったり合うのはなかなかないので、ちょっと手放せないです」。
特徴的なのは、ヒップの生地の上からさらに大柄な生地を貼り付けることでポケットを作るとともに耐久性もアップさせたバックポケット。ワークパンツのダブルニーと似たような構造のこちらもまた、三浦さんを惹きつける誘引である。
今となっては廃盤となってしまった5インチ丈で、余計に稀少価値が高まったこの一本だが、「でも、今はくなら機能性や気楽さも考えるとバギーズですね」。
リラックス感たっぷりのはき心地に加え、場所を選ばない高い汎用性を知った今、もはやバギーズの渦から抜け出せそうにない三浦さんだった。
恩田拓治=写真 菊地 亮=取材・文