米軍基地周辺で有機フッ素化合物(PFAS)が検出されている問題で、今度は浦添市の牧港補給地区(キャンプ・キンザー)周辺から高い数値が出た。調査のたびに新たな問題が明らかになり、住民の不安は高まるばかりだ。

 キンザー周辺は2024年度までの全県調査で国の指針値を超えていたが、調査地点が少なく、基地との因果関係ははっきりしなかった。そこで改めて24~25年度にかけて追加調査が行われ、雨水排水路から指針値の6倍強の数値が出た。
 県は「牧港補給地区内に汚染源が存在する可能性も考えられる」と初めて言及し、基地への立ち入り申請を検討している。
 キンザーの近くには大型商業施設があり、海岸で潮干狩りなどを楽しむ人も多い。汚染源特定に向け、より詳細な調査を望みたい。
 これとは別に、普天間飛行場周辺を対象にした25年度の調査結果も明らかになった。
 今回は宜野湾市大山側で調査地点を増やし、その一つの湧水から指針値の60倍の数値が出た。地下水の流域が異なる新城側でも高い濃度が検出されており、複数の汚染源があるとの専門家の見立てがさらに補強された形だ。
 一連の調査で、PFAS汚染が基地由来である蓋然(がいぜん)性は一層高まった。普天間飛行場については、県の専門家会議が汚染源だと結論付けている。こうした客観的な分析やデータを、日米政府がないがしろにすることは許されない。
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 基地周辺でPFAS汚染が表面化したのは16年だ。

 県はこれまで普天間飛行場、嘉手納基地、キャンプ・ハンセンへの立ち入り調査を米側に求めてきた。しかし米側は「科学的根拠が明確なサンプル調査のデータがない」などと理不尽極まりない理由で拒否している。日本政府も米側の言いなりで、翻意させようという意気込みはまるで見えない。
 基地内の環境対策は、日本環境管理基準(JEGS)に基づき、日米のうちより厳しい方の基準を採用する原則がある。15年には環境補足協定が結ばれ、立ち入りを認める規定が盛り込まれた。
 しかし実際には抜け穴が多く、むしろ米軍が立ち入りを阻む根拠に利用されている。制度の趣旨に立ち返り、立て付けや運用をより良い方向に見直していくことが必要だ。
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 日本維新の会の柏倉祐司衆院議員がPFAS問題を巡り、「偏った思想、政党が反国防的な運動として使っているのではないか」などと10日の衆院環境委員会で発言した。政治家失格とも言える暴言だ。
 国際がん研究機関(IARC)は23年、PFOAの評価を最も高い「発がん性がある」に引き上げた。基地への賛否ではなく、健康や命の問題に他ならない。
 住民の不安解消に向け、日本政府の責任で立ち入り調査を早急に実現するとともに、国と米軍、県の3者による協議の場を設置するよう求めたい。
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