「時は来た」
国会発議にめどが立った状態で、来年の党大会を迎えたいとの考えも明らかにした。
敵基地攻撃能力の保有に武器輸出の全面解禁。その先に待ち構える「9条改正」「緊急事態条項創設」を柱とする憲法改正。
「国のかたち」を大きく変えることになるこのような取り組みが、衆議院での数の力を背景に、十分な議論もないまま、急速に進むのは極めて危険である。
自民党の中では、9条改正について、1項、2項をそのまま維持した上で、別に新たに自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打つという案が有力である。
与党内には戦力不保持を定めた2項を削除し、自衛隊を外国軍隊並みに格上げすべきだとの意見も根強い。
だが、いずれのケースも、見過ごせない問題を抱えている。自衛隊や軍隊に対する憲法上の統制が明示されていない点だ。
緊急事態条項については、緊急事態が発生した場合の国会議員の任期延長案が検討されている。
自民党は、任期延長だけでなく、内閣が「緊急政令」を定める権限も求めている。
国会を通さずに、法律と同じ効力を持つもので、すぐに思い浮かぶのは戦前戦中の緊急勅令だ。
権利侵害への懸念は尽きない。
■ ■
日本国憲法は1946年11月3日に公布され、翌年の47年5月3日に施行された。
新憲法を審議した衆議院に、沖縄選出の議員はいなかった。米軍の占領下にあった沖縄県民の選挙権は、45年12月の法改正によって停止されていたのである。
多くの研究者が指摘するように、象徴天皇制をうたった憲法第1条と戦力の不保持を掲げた9条、沖縄の軍事化は分かち難く結び付いている。
天皇制を残すため、9条によって日本を非軍事化し、日本の安全を沖縄の米軍が担う、というのが連合国軍最高司令官マッカーサーの考えだった。
その後、講和条約によって米国が施政権を保持することになり、沖縄に憲法は適用されなかった。今も膨大な基地のくびきから抜け出せないでいる。
■ ■
憲法改正の国民投票が実施された場合、懸念されるのは、フェイクニュースが氾濫し、投票結果に影響を与えるのではないかという点だ。
イギリスは2016年6月、欧州連合(EU)からの離脱を巡って国民投票を実施し、投票者の51・9%がEU離脱を選択。20年1月、正式に離脱した。
投票後に明らかになったのは、虚偽の情報が拡散し、それが投票に影響を与えたことだ。
政治的レガシーづくりのために、国民投票を急ぐようなことがあってはならない。

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