高市早苗首相が台湾有事を巡り国会で「存立危機事態になり得る」と答弁してから7日で半年がたった。
 台湾問題を最も重要度の高い「核心的利益」と位置付ける中国は、高市答弁を内政干渉だと猛反発し、矢継ぎ早に対抗措置を打ち出してきた。

 日本への渡航自粛呼びかけや軍民両用品目の輸出規制強化、国連を含む国際会議での名指しの批判…。
 中国の対応は執拗(しつよう)を極める。日本政府の安全保障政策を「新型軍国主義」と名付け、批判するようになった。関係改善の兆しは見られない。
 高市首相は「対話はいつもオープン」と言いつつも、中国が求める答弁の撤回には応じていない。
 中国は高市首相の答弁を口を極めて批判し、外交儀礼を逸脱した中国外交官の乱暴な言葉遣いに日本側が反発する。
 冷え切った両国関係を改善するためには、何らかの政治的な「きっかけ」が必要である。
 現時点でそれを見いだすのは容易でないが、何もしなければ、手詰まり状態がずっと尾を引くことになりかねない。それによって失われる経済的な損失も膨らんでいく。
 予約キャンセルと減便で日本人の中国旅行は大幅に減少している。旅行業界は日中の相互理解に一役買ってきたが、中国からの訪日客も同時に減っている。
 早急に日中の非公式なチャンネルをつくり、誤解を解く作業を重ね、首脳会談の実現につなげたい。

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 世界は今、大国の目に余る軍事力行使や中小国への威嚇・恫喝(どうかつ)による「力の支配」が常態化している。
 日本から見ると、中国の膨大な軍事支出や、東シナ海、南シナ海における力による威圧行動は、大きな脅威に映る。 
 中国から見ると、高市政権下の防衛費増額や敵基地攻撃能力の保有、武器輸出全面解禁、憲法改正などの動きは、どう映っているのだろうか。
 中国の「新型軍国主義」という言葉は、プロパガンダのための言葉なのか。それとも中国が最近の日本の動きに脅威を感じている表れなのか。
 対話を欠いた軍事力強化は、双方に疑心暗鬼を生じさせ、不確実性を高め、地域の安全保障環境を不安定にする。脅威をあおるのではなく、対話によって共通の利益を模索する取り組みが求められる。
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 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による米中首脳会談が14、15の両日、北京で開かれる。台湾問題も議題になるという。
 中国は、高市首相の国会答弁が日中関係悪化の「根本原因」だと指摘しているが、トランプ大統領は、どのように反応するのだろうか。
 トランプ大統領は、自国の利益を優先するあまり、価値観や同盟関係を軽視する姿勢が目立つ。日米が同盟関係を強化し一体となって対中包囲網を敷くという発想は危うくなっている。

 求められているのは自律性を高めることだ。
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