今年は、初日のヘッドライナーにファンク界のキングと最強軍団 GEORGE CLINTON & PARLIAMENT FUNKADELICを、2日目にジャズ/ソウル/ヒップホップシーンのスーパースター TERRACE MARTIN、ROBERT GLASPER、KAMASI WASHINGTONがタッグを組んだ超豪華プロジェクト・DINNER PARTYという、超大物アーティストを迎えたことでも大きな注目を集めた。そして今年のグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされたDOMi & JD BECKの出演も大きなトピックスになった。さらに2月に公開され大ヒットを記録したジャズをテーマにしたアニメ映画『BLUE GIANT』の劇中で、バンドのライブシーンの演奏を担当したサックス奏者・馬場智章と、ドラマー石若駿という現在のジャズシーンの牽引する二人が、自身のリーダーセッションで出演することでも話題を集めていた。
ラブシュプはドーム型の屋根が特徴的な「THEATRE STAGE」と芝生エリアの「GREEN STAGE」という2つのステージと、「DJ TENT」でアーティストとDJが一日中素晴らしい音楽を響かせた。
初日の「THEATRE STAGE」のトップバッターは馬場智章も参加している、石若駿率いるAnswer to Remember with HIMI / Juaだ。
世界を虜にするZ世代のデュオDOMI & JD BECKがステージに登場すると大きな歓声が上がる。この日出演している多くのアーティストも客席後方から見守り、注目度の高さがわかる。ドラムのJD BECKとピアノのDOMiが向き合うセット。便器を模した、トイレットペーパーも付いたDOMiのイスに目がいってしまう。DOMiは鍵盤を左手でベースラインを弾き、右手で旋律を奏でる。JD BECKの超絶技巧のドラムと重なり、二人だけのミニマムな空間から超高速グルーヴが放たれる。
この日は「THEATRE STAGE」にAI, bird, 家入レオ with SOIL&”PIMP”SESSIONS、ALI、「GREEN STAGE」に海野雅威 with Special Guest 藤原さくら、4 Aces with kiki vivi lily、
MoMo(OPENING ACT)が出演し、セッションを繰り広げた。
初日のヘッドライナーはGeorge Clinton & PARLIAMENT FUNKADELIC。「THEATER STAGE」に“総帥”ジョージ・クリントンが、スパンコールのロングジャケットを纏い登場すると、伝説を目撃しに来た客席から大歓声があがる。
2日目、14日の「GREEN STAGE」に馬場智章がバンドを率いて登場。馬場がこのステージの前に出演した「THEATRE STAGE」でのPenthouseとのライヴを観終えた多くのリスナーが、そのまま移動してくる。
SOIL&"PIMP"SESSIONSは今年はレジデンシャルバンドとして出演し、2日目の「THEATRE STAGE」では、SKY-HI & BMSG POSSE with SOIL&"PIMP"SESSIONSとして熱狂を作り出していた。まずはSOILが「Meiji-Jingumae ‘Harajuku’」を披露。それぞれのソロプレイに客席は引きつけられる。そしてSOILの“社長”が“社長(SKY-HI)”を呼び込み、SKY-HI率いるBMSG POSSEが登場すると大歓声が沸き起こる。ジャズアレンジされた「何様」からセッションがスタート。SKY-HIの切れ味鋭いラップが会場中に襲い掛かる。そこにREIKOのソウルフルで美しいボーカルが加わる。Debra Lawsの「Very Special」を、MANATOとREIKOでカバーし、さらにSOILの楽曲「comrade」をMANATOがカバーした。SOILの演奏と歌が交差し、心地いいグルーヴを生み出す。SKY-HIは「今日は誰が一番楽しむかが勝負」と自身もステージ上でワインを楽しみ、メンバーも自由にステップを踏み楽しんでいる。Aile The Shotaは「DEEP」とSOILの楽曲「ユメマカセ」を披露するなど、昨年「GREEN STAGE」に出演してから一年、進化したその歌を聴かせてくれた。また、ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO& SOTA from BE:FIRSTとしてはSOILの生演奏でThinkin' bout youを披露するなどこの日だけのセッションは続き、ラストの「オプティミスティック」では打合せなしのフリースタイルセッションで、とことん自由にそしてクールにステージを楽しみ、楽しませてくれた。
この日はBlue Lab Beats featuring 黒田卓也、 西口明宏with 鈴木真海子(chelmico)、ARIWA(ASOUND)、Penthouse with 馬場智章、Kroi、BREIMEN、soraya(OPENING ACT)といった、様々な音楽を奏でる注目アーティスト達が、素晴らしい演奏で、客席を沸かせた。
2日目のヘッドライナーは、DINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTONという、待ちに待ったステージが実現。客席はすでに総立ちで、大きな歓声と拍手がスタートの合図だ。Jahi Lake のDJプレイの後、まずはゲストボーカルのArin Rayを迎えた「Sleepless Nights」からスタート。Justin Tyson (Dr) 、Burniss Travis(B)という強力リズム隊が生むドープなリズムに、早く客席は酔っている。「Breathe」ではカマシとテラスのWサックスでで、気持ちいいグルーヴが生まれる。「Need U Still」はグラスパーがエネルギッシュなキーボードソロを披露し、徐々に熱を帯び、強固で熱いリズムと絡み、熱狂が生まれる。この日はそれぞれのソロもたっぷりと披露し、レジェンドそれぞれが持つエネルギーが音になって放たれ、客席を熱くさせる。永遠に聴いていたい、そう思わせる演奏の数々だった。ラストは再びArin Rayが参加した「Freeze Tag」。カマシとテラスが曲の印象的なラインを一緒に演奏し。カマシの色気とパワーを感じさせてくれるソロに、客席の熱量が高くなる。まさに夢のような約80分のステージだった。
出演者もリスナーも、自由なスタンスとスタイルで音楽を楽しむ。それがこのフェスの醍醐味だ。開催前にSOILの社長が語っていた「世界の最前線で今のジャズを牽引するバンドと、JAZZの歴史を作ってきたレジェンドと、それらをミックスしてグルーヴを繋ぐDJという、JAZZの進化に欠かせない3つの要素が全て楽しめるのは『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL』しかありません」という言葉が実感できた2日間だった。
全出演者の記事を収めた本レポートは近日公開となる予定。
text by 田中久勝
『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023』
<日時>
5月13日(土)
12:00開場 / 13:00開演(予定)
5月14日(日)
12:00開場 / 13:00開演(予定)
<出演>
5月13日(土)
【THEATRE STAGE】
GEORGE CLINTON & PARLIAMENT FUNKADELIC with Special Surprise Guest / DOMi & JD BECK / AI, bird, 家入レオ with SOIL&"PIMP"SESSIONS / Answer to Remember with HIMI, Jua
【GREEN STAGE】
ALI / 海野雅威 with Special Guest 藤原さくら / 4 Aces with kiki vivi lily / OPENING ACT : MoMo
【DJ TENT】
荒田洸(WONK) / SHACHO(SOIL&"PIMP"SESSIONS) / 柳樂光隆(Jazz The New Chapter) / Chloé Juliette
5月14日(日)
【THEATRE STAGE】
DINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTON / SKY-HI & BMSG POSSE(ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO&SOTA from BE:FIRST / REIKO) with SOIL&"PIMP"SESSIONS / Blue Lab Beats featuring 黒田卓也, 西口明宏 with 鈴木真海子(Chelmico) , ARIWA(ASOUND) / Penthouse with 馬場智章
【GREEN STAGE】
Kroi / BREIMEN / 馬場智章 / OPENING ACT : soraya
【DJ TENT】
荒田洸(WONK) / SHACHO(SOIL&"PIMP"SESSIONS) / 柳樂光隆(Jazz The New Chapter) / Chloé Juliette
※モノンクルはメンバーの体調不良に伴い、出演キャンセルとなりました。