両者をめぐっては、1月31日をもって契約が終了。米UMGは1月30日(現地時間、以下同)、公式サイトで声明を発表。TikTokとの契約更新の話し合いの中で、「アーティストとソングライターへの適切な報酬」「生成AIの有害な影響から人間のアーティストを保護すること」「TikTokユーザーのオンライン上での安全性」の3つの重要な問題で対立していることを公にしていた。
■米・ユニバーサル ミュージック グループのプレスリリースの抄訳
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ユニバーサル ミュージック グループ(以下、UMG)とTikTokはUMGのアーティスト、ソングライター、レーベルに業界をリードする大きな利益をもたらす新たな多角的ライセンス契約を発表しました。この契約により、TikTokの10億人を超えるグローバル・コミュニティにUMGの楽曲が戻ることになります。
本契約は、UMGのアーティストとソングライターが創造的かつ商業的な可能性を発揮できるよう支援するという共通のコミットメントに基づいており、両社の戦略的な協力の新時代を象徴するものです。
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■ユニバーサル ミュージック グループ会長兼CEO/ Sir Lucian Grainge コメント
TikTokとの新章は、音楽の価値や芸術性における人間の優位、クリエイティブ・コミュニティ共通の利益に焦点を当てています。私たちは、TikTokのチームと協力し、アーティストやソングライターへの利益分配を促し、SNS上における音楽の収益化を進めながら、ファンの皆さんとの交流にも革新をもたらすことを楽しみにしています。
■TikTok・CEO/ Shou Chewコメント
音楽はTikTokのエコシステムにとって必要不可欠であり、UMGと前進するための道を見つけられたことを嬉しく思います。私たちはUMGの素晴らしいアーティストやソングライターのために、彼らの価値を高め、楽曲のディスカバリーやプロモーションを促進します。そして彼らがTikTokコミュニティにおいて成功し、ファンの皆さんとの交流を深めるための協力を約束します。
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TikTokのファンは、UMGの楽曲の復活を楽しみにしており、世界有数のアーティストやソングライター、そして新しい才能を持つアーティストの楽曲を使用した動画の制作を再びお楽しみいただけます。
今回の合意の一環として、両社はTikTokのeコマース機能を活用し新たな収益化の機会を実現するために協力します。UMGのアーティストを支援するキャンペーンをジャンルや地域を超えてグローバルに展開します。
TikTokは、UMGのアーティストが成長中のプラットフォームでそれぞれの力を発揮できるようアーティストを中心においたツールの構築への投資を継続します。「Add to Music App(音楽アプリへの追加)」機能やデータ・分析の強化、チケット販売機能などのツールは、TikTokのコミュニティでのグローバルなファンベースの構築に加え、金銭的にもアーティストに利益をもたらします。同時にアーティストとそのファンのためのオンライン安全策も強化されます。
TikTokとUMGは、音楽業界全体に関わるAI開発において協力し、人間の芸術性とアーティストやソングライターの経済的な利益を確保することを目指します。また、TikTokはUMGと協力し、AIが生成した無許可の音楽のプラットフォーム上からの削除のほか、アーティストやソングライターなどの作品情報の表示について改善するツールも提供します。
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■TikTok 音楽事業開発担当 グローバル・ヘッド/Ole Obermann コメント
UMGとユニバーサル ミュージック パブリッシング グループ(UMPG)を再びTikTokに迎えることができ、嬉しく思います。アーティスト、クリエイターそしてファンの皆さんとの間に深いつながりを生み出す道を共に切り開いていくことを楽しみにしています。人間の創造性を守り、音楽の創造性とファンとの交流の新時代に向けて、AIツールが責任を持って開発されるよう、私たちは協力していきます。
ユニバーサル ミュージック グループ最高デジタル責任者兼EVP/ Michael Nashコメント
重要なイノベーターとの革新的なパートナーシップを築くことは、アーティストとソングライターが繁栄する環境を推進するというUMGのコミットメントにとって極めて重要です。
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UMGとTikTokは現在、UMG所属アーティストの楽曲・UMPGの管理楽曲を順次TikTokに戻すために作業を迅速に進めています。
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