──ここまで才木を演じてみての感想をお聞かせください。また、最初に抱いていた印象と、演じきった今とで印象に変化があれば、その点についても教えてください。
そうですね、印象は最初からあまり変わっていません。自分が異能力者という立場で、才木が24年間生きてきた中で辛いことや気持ちの良くない経験もたくさんあったけど、だからこそ「人には優しく生きよう」という信念を持っている、そんなキャラクターでした。優しさや真っ直ぐさ、そして周囲に譲れない強さ。たとえば、「ドーパーは殺さず逮捕して更生させるべきだ」という信念を持っていて、その頑固さが周りとぶつかることもある。でもそれは、彼自身の信念からくるものなんですよね。自分自身もそういう部分に共感するところがありましたし、それは演じていく中で最初から最後まで変わらなかった部分だと思います。特に後半では、その「頑固さ」がより強く出ていた印象もありますが、キャラクターの核はブレずに保たれていました。
──放送後の周囲の反響や、ご自身で映像をご覧になったときの感想について教えてください。
事務所の人たちも観てくれていて、「ドラマ見てるよ」と言ってもらえることも多いです。
──VFXを駆使したアクションシーンも今作の見どころの一つかと思いますが、実際に完成したシーンをご覧になっていかがでしたか?
毎回、VFXに頼りすぎず、現場でどこまで作り込めるかというのも一つの課題だったと思います。たとえば第3話の陣内さんと才木の戦いのシーンでは、CGを一切使わずに撮影されていて、幅広いアクションの表現ができていたと思います。今後もアクションシーンは見どころになってくると思うのですが、いわゆる「見たことある感じ」にはならないんじゃないかなと感じています。
──中村倫也さんと一緒に取材されたとき、「一緒にお芝居をしてみたかった」と話されていたかと思いますが、実際に共演されてみて、中村さんに対する印象はいかがでしたか?
最初から、倫也さんが登場するシーンが終わると「また早く出てきてほしい」と思うくらい、毎回クセになるような魅力があって。演技力や経験の豊かさはもちろんですが、奥底からにじみ出る人間としての魅力が、すごく印象的でした。
倫也さん自身は「ひねくれた人生を歩んできた」とおっしゃっていましたが、僕から見ると、様々な経験を通して自分なりの“攻略本”を作り上げてきた方なんじゃないかなと感じています。技術ももちろんすごいですが、それ以上に「人間としての芯の強さ」がある方だなと思いました。演じるうえでの技術や作り込みの魅力だけでなく、演じない良さ、人間性の良さ、すべてを内包しているような方。ご一緒できたことは、自分にとって本当に大きな経験になりました。
──その経験の中で「これは学びになったな」と感じたエピソードはありますか?
特定のエピソードというよりは、日々の現場での倫也さんの姿勢や視野の広さに学ばされました。シーンに求められていることを瞬時に察知して、正解へと導いていく速さには驚かされました。まるで部活の憧れの先輩のような存在で、「あの人の何を盗めるか」を常に考えながら、現場に臨んでいました。
──共演者との仲が深まったなと感じるエピソードがあれば教えてください。
自然とみんなが打ち解けていった現場でしたね。楽屋に戻らずに前室でワイワイ話すことが多かったですし、カットがかからない場面でも残って見守る人が多かったりして、「この現場が好きなんだな」と思える空気がありました。ご飯に行く機会もありましたが、それは作品が終わってからのこと。仲良くなったからご飯に行った、というよりは、現場での関係性が自然と仲を深めていったんだと思います。倫也さんが引っ張ってくれるリーダーのような存在で、でもみんなでワイワイできる、絶妙なバランスがあったと思います。
──現場で印象に残っている撮影エピソードはありますか?
具体的なことを言うと自分でハードルを上げそうなので…(笑)。ただ、才木という役は、今までの自分が演じてきた中でも、すごく真面目で、きっちり「仕事は仕事、家は家」と棲み分けているキャラクターなんです。でも、感情が我慢できずに泣くシーンも多くあって、とある場面では「演じている」という感覚がなくなるほど、自然に涙が止まらなくなってしまったこともありました。
──そのような感覚は初めてだったのでしょうか?
完全に初めてというわけではないですが、「役が抜けない」という感覚に近かったと思います。自分はあまりそういうのを信じてこなかったタイプなんですが、それでもカットがかかった後も涙が止まらないという体験は、かなり引っ張られていたんだと思います。そのシーンがどんな風に仕上がっているのか、自分でもすごく気になっています。
──挿入歌「I Know」についての思い入れや、反響があれば教えてください。
今回の挿入歌「I Know」は、これまでのようにドラマの要素をもらって作るというより、「『DOPE』に出る」と聞いた段階からKing & Princeチームで要素を想定しながら先に作って、こちらからプレゼンして採用されたという形でした。このような形で曲作りをしたのは初めてで、早い段階から作品と連動して作れたことが大きかったですし、現場のスタッフさんたちがこの曲をすごく愛してくれたのが、何よりうれしかったです。キンプリらしさとドラマの世界観、そのバランスがすごくうまくいったと思っています。
──本作『DOPE』はご自身にとってどんな作品になりましたか?
一つ、自分の殻を破れた作品になったと思います。これまで自分が得意としていた“生っぽい”芝居とは違って、しっかり作り込んだ上でさらにエッセンスを盛り込んでいくような演技スタイルは初めての挑戦でした。その中で、倫也さんのような技術ある共演者から多くを学び、才木という役も一緒に成長していけた実感があります。
──最後に、終盤に向けての見どころや視聴者へのメッセージをお願いします。
才木が特捜課に入り、揉まれながら成長していく姿から始まりましたが、物語は今、陣内さんの家族の話にフォーカスし始めています。ここからさらに、『DOPE』とは何か、才木が特捜課に入ったのは偶然か必然か…そんな核心に迫っていく展開が待っています。そして、才木自身もどんどん人間として変わっていく。後半はアクションもさらに激しくなっていくので、そこも見どころです。少年漫画や特撮ヒーロー、ファンタジーといったいろんなロマンが詰まった作品なので、それぞれの視点で楽しんでもらえたらうれしいです。ぜひ、最後まで目を離さずに観ていただけたらと思います。