俳優の清原果耶が主演、成田凌、ナ・イヌが共演する、TBS系火曜ドラマ『初恋DOGs』(毎週火曜 後10:00)。TBSと韓国の制作会社STUDIO DRAGONによる初の共同制作という、前例のない挑戦を成し遂げた宮崎真佐子プロデューサーにインタビュー。
撮影を終えた今だからこそ明かせる、撮影現場での意外なエピソードから、韓国ドラマの制作手法から得た気づき、そして世界配信への手応えまで、本作に隠された制作こぼれ話を語ってもらった。

■俳優・スタッフ・動物たちが作り上げた撮影現場の温度

――撮影を終えた今の心境を教えてください。
日韓の制作体制もそうですし、ナ・イヌさんをはじめ韓国の俳優さんにも参加していただいたので、普段とは違う刺激がありました。だからこそ、無事に撮影を終えられて本当に良かったなと思っています。反響で言うと、韓国の俳優さんが出演していることもあってか、「韓国ドラマっぽい雰囲気」と感じてくださる方が多いようです。日本のドラマとも韓国のドラマともとれるような、新感覚のドラマだという感想を見て、「そういうふうに受け取ってもらえているんだ」と感じました。

――出演者の中で、最初の印象から変わった方はいますか?
大きく変わった方はいませんが、その中でもナ・イヌさんは特に印象的でした。日本語のセリフが多く大変だったと思いますが、最後まで見事にソハを演じてくれました。しかも、セリフを話していない時の表情も素晴らしくて、やっぱり言語は異なっていても気持ちはお芝居で伝わるものだなと思いながら見ていました。最後まで圧巻でしたね。

――全話を通して、特に印象に残っている撮影シーンはありますか?
しろさき動物病院のメンバーや岸谷五朗さん演じる本澤恵太が率いる本澤・マッカーシー法律事務所の面々、そして深田恭子さん演じる宮瀬優香と萩原利久さん演じる渡辺功介の年の差恋模様のやりとりも、台本以上に自由にお芝居してくださったおかげでシーンが広がっていったのが印象的です。毎回台本で読むよりもさらに面白いシーンにしてくださるので、撮影現場で見ていてもとても楽しかったです。


岸谷さんと(日下部謙役の)宮崎秋人さんの掛け合いも悪役ポジションだったりするのですが、どこか可愛らしかったり、今回珍しく陽気なキャラを演じている萩原くんや(大城貴司役の)なだぎ武さん、(杉本みちる役の)野呂佳代さんも台本以上にすごく膨らませてくださいます。その雰囲気に成田さん演じる快もだんだん打ち解けていき、最終話でしろさき動物病院メンバーにいじられる場面では、新しい快を見てもらえるんじゃないかと思います。

――愛子と快をつなぐ将軍とサクラについてはいかがでしたか?
本当にすごかったです。将軍なんて、「用意!はい」できちんと本番モードの表情をして、最後はセリフをしゃべり出すんじゃないかと思いました(笑)。
サクラはほぼ初めての映像作品だったので、最初は落ち着かずにぐるぐると回ってしまうこともありましたが、最後にはきちんとその場でじっとできるようになっていて。この3か月での成長ぶりに驚きました。

■主題歌が物語と自然に重なる理由

――主題歌であるSEVENTEENの「愛が通り過ぎた跡」(HYBE JAPAN)について教えてください。
毎話の主題歌のかけどころを、本作ではあまり迷わずに決められました。企画書をお渡しした段階でしっかり読み込んでくださって、「こういう話になっていくだろう」ということを理解した上で曲を作っていただけたからだと思います。かけどころに悩むこともあるのですが、今回は最初から「ここだ!」というポイントで掛けることができました。

――WOOZIさんが書き下ろした楽曲ですが、ドラマ側からのリクエスト以外にやりとりはありましたか?
最初にいただいたデモ音源からとても良くて、ドラマのメッセージを汲み取ってくれていて、そこから歌詞を少し調整してもらった程度で、ほとんど変わらず今流れている曲になりました。
企画書とは別に「初恋や愛犬…」などのキーワードをまとめてお渡ししたんです。
きっとそれを読んでくださったんだとは思います。“春の午後”というフレーズがきっと“夏”を表していると思うのですが、天才!って思いました。また、個人的には“愛が通り過ぎた跡に 咲かない花が揺れている”というフレーズがとても好きで、初恋をこじらせ素直になれない登場人物たちの未来を言っているようでとても素敵だなと初めて聞いた時に感動しました!

■「過去よりも現在」韓国ドラマ的発想に刺激

――最初のインタビューで「スタジオドラゴンと互いに高め合える関係性を築きたい」とおっしゃっていましたが、振り返っていかがですか?
やはり様々な事の考え方のベースが違い、正直大変なことがたくさんありました…(笑)が、それがいい意味で常識にとらわれない発想につながりました。「これまで当たり前だと思っていたことは、そうじゃないのかもしれない」と気づけたんです。「いい作品を作りたい」という思いは一緒で、環境の違いから考え方は異なっても、大事な部分は共有できている。その確認ができて、新しいドラマの作り方に挑戦する面白さを感じました。

――今回の経験は今後にどう生きていきそうですか?
ストーリーの展開に対する考え方が印象的でした。例えば「元恋人が出てこない理由」を尋ねたら、「過去のことに視聴者はそこまで興味を持たない。現在進行形で起きていること、これから起きることにワクワクするはず」と言われて。序盤にその考えを聞けたのは大きかったです。現在をどう面白く転がしていくかを重視している点が新鮮で、とても刺激を受けました。

――世界配信についてはいかがですか?
韓国でどう見られるのかも常に意識していました。
「TVING」での配信でこの作品を見ていただいた方々は「純粋な韓国ドラマでも日本ドラマでもない合体バージョンで新しい」と受け取っていただいているようです。韓国ケーブルテレビチャンネルの「tvN」での放送も始まり、さらに多くの方に見ていただけると思うので、とても楽しみです。

――最終話(9月2日)の見どころを教えてください。
弁護士と獣医師、そして韓国の御曹司・ソハという3人が最終的にどうタッグを組むのか、その集大成をぜひ楽しみにしていただきたいです。また、弁護士事務所や動物病院のメンバー、そして優香と功介の恋模様にも注目してほしいです。そしてもちろん、愛子、快、ソハの恋と友情の結末をぜひ見届けてください!
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