読売テレビは8日、毎週水曜日と日曜日の深夜にショートドラマを放送する「ドラマのシュララ」枠の第5弾として『サヨナラ港区』(毎週水曜・日曜 深1:30頃~)を14日から放送すると発表した。今回は、「全映像の生成AI制作」に初めて挑む。


 「ドラマのシュララ」は、4月にスタートした新ドラマ枠。若年層を中心に人気を集めるショートドラマを地上波放送に“逆輸入”。SNSを中心に大きな話題を集めている。

 「全映像の生成AI制作」に初チャレンジした今作は、オリジナル脚本に沿って映像を生成。人間の手による編集を加え、セリフは声優陣によるアフレコ、効果音・音楽は通常のドラマ・アニメと同様の制作手法をとった。あくまで映像素材の生成に限って生成AIを活用した。

 現時点での動画生成AIによるストーリーコンテンツ制作の「可能性と限界」を知ることを一つの目的とし、通常のショートドラマでは実現の難しい映像表現や、AIならではの映像表現を意識して制作されている。映像の制作を行ったのは、CM制作などで海外での評価も高いAIクリエイター・宮城明弘氏。約50分に渡る本編映像の制作のために、1万5000カットに及ぶ映像を生成し、試行錯誤を繰り返した。

 AIによる映像として、フェイク動画や権利の侵害に当たりかねないものが散乱していることへの危機感から、同作では、制作におけるガイドラインとして「実在の人物や作品の名前をプロンプトに使用しない」「プロンプトの記録と保存」「生成したキャラクター等の画像検索による類似性の排除」を重視して制作した。

 『サヨナラ港区』は、近未来の港区を舞台にした「港区SF」。厳しすぎる倫理観の先に、出生率が低下し各国の支配下に落ちたトーキョー。
そんなトーキョーを取り戻した「港区レジスタンス」が、やがて権力を握り、トーキョーは港区の独裁状況に陥った。「20歳の誕生日を迎えたトーキョーの女子は収監され、港区女子としての訓練を始める」という法律の下、港区に連れ去られた幼なじみのレナを救うために、セタガヤの青年・キリヤが立ち上がる。トーキョー各地に点在する「シブヤギャル」「ハチオウジDIY」「アサクサ漫才師」などのレジスタンスと協力し、港区に染まっていくレナを救い出すことはできるのか。

■汐口武史(プロデューサー)コメント
動画生成AIには大きな可能性がある一方で、ネガティブな声も多く耳にします。今作でトライしたのは、きちんとしたルールの下で制作し、「現状何が出来て、何ができないか」「これから何ができるのか」をクリアにすることです。そのうえで、今までやりたかったけどさまざまな制約で出来なかった表現をふんだんに盛り込んでいます。逆説的ではありますが、人間の力のすごさを改めて思い知りました。一つの挑戦として、温かく見守っていただけますと幸いです。
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