大阪商工会議所と都市再生機構(UR)は、大阪府などが「ヒガシ」の拠点として開発を進める大阪城東部地区で、URの大型団地、庁舎建物を活用した実証実験を募っている。ロボット、ドローン、人工知能(AI)などの先端技術により、少子高齢化が進む同地区住民の暮らし向上につなげるアイデアが対象だ。

実証を経て、大阪発サービス、プロダクツの事業化も視野に入れる。

 大阪と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、梅田を中心とする「キタ」、繁華街・難波のある「ミナミ」、そして、来年の関西・大阪万博主会場となる湾岸エリア(西部)。残る「ヒガシ」は全国的な知名度も低いが、来年秋には大阪公立大学・都心メインキャンパスの開学も予定され、大阪府・市がイノベーション・フィールド・シティに育てる構想を描く重点エリアだ。


 実証実験の対象は、URの森之宮旧庁舎、森之宮団地(第2団地を含む2カ所)。企業などは、大阪商工会議所などのコーディネートで、必要に応じて住民の協力も得ながら実証実験を行える。2600世帯が居住する同地域は、全人口のうち高齢者が3割を超える一方、年少人口はわずか6%と少子高齢化が進行し、生活利便性の高いモールなどの商業施設も少ない。

住民の利便性を高めるべく、大阪メトロの新駅設置計画が進み、2028年に開業する見通しだ。

 森之宮団地の歴史は半世紀余りに及ぶ。次の時代へと変わりゆく時代の実証実験は、◇先進的なまちづくり◇モノのインターネット(IoT)◇自動運転◇ドローン◇人工知能(AI)◇ヘルスケア◇オープンデータ・ビッグデータ――の7分野。ロボットによる高齢者の買い回り補助や敷地内警備、ドローンを活用した構造物の点検、住民の健康サポートなど、幅広い内容を想定している。

 実証実験の実施期間は来年3月末まで。終了後は住民の反応や成果次第で、URによる事業化や全国展開についても話し合いたい考えだ。

 実証実験の公募は5月10日まで。大阪商工会議所は、街中を舞台に企業と住民が事業創出を目指して取り組む「まちなかリビングラボ」事業を昨年始動しており、今回の取り組みが本格的な第1弾となる。既に関心を寄せる企業からの問い合わせもあるといい、「大阪発のサービス、プロダクツをつくりだし、発信する大きな一歩にしたい」(西田昌弘産業部次長)と話している。