異能の編集工学者・松岡正剛さんの一周忌に合わせ、謎に包まれたその生涯と秘策を自ら語り明かした初の自伝『世界のほうがおもしろすぎた――ゴースト・イン・ザ・ブックス』(松岡正剛著、晶文社、税込み2090円)が発売された。ロングインタビューによる最初で最後の「自伝」だ。

 1944年生まれの松岡さんは、生命・歴史・文化にひそむ仕組みを「編集」の観点でとらえ、方法的に用いて新たな仮説や問いを創造する「編集工学」を確立。『知の編集工学』『知の編集術』『花鳥風月の科学』『17歳のための世界と日本の見方』『日本流』『日本文化の核心』など多数の著書がある。2000年からネット上でブックナビゲーションサイト「千夜千冊」を連載、2018年から文庫シリーズ「千夜千冊エディション」を30冊刊行した。

 あらゆるレッテルを嫌い、「生涯一編集者」であることに徹した松岡氏の歩みは、理科少年の時代に抱いた自己同一性への疑問に始まっていた。十数時間におよぶ、生前最後にして初の自伝インタビューを完全再録した一冊。付録として、未発表稿と年譜も掲載している。

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