言いにくいことを上手に言うにはどうしたらいいのか。心理カウンセラーの五百田達成さんは「お詫びをする時やお誘いを断らないといけない時の返答のしかたで、その人の会話IQが高いか低いがわかる」という――。

※本稿は、五百田達成『本当に頭がいい人の話し方 会話IQ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
【謝罪力】
■×「怒らせたならごめん」と謝る ○「本当にごめん」と謝る
×「怒らせたならごめん」(謝る気ある?)

×「そんなつもりじゃなかったけど、気に障ったならすまん」(どんなつもり?)

×「誤解があった点については、陳謝いたします」(誤解って何?)
怒っている相手に対して、条件を限定して謝る人がいます。
「怒らせたならごめん」「誤解させた点は謝る」……。そこには「ホントは悪くないんだけどな~」という、保身の気持ちが透けて見えます。
責任をあいまいにしたい、なるべく「自分が悪い」とは認めたくない。何なら「君にも問題がある」と、責任を押しつけたい。そういう逃げ腰で卑怯な狙いがバレバレです。昨今、政治家や企業トップの謝罪会見で多く見られる話し方です。
相手としては、当然納得いきません。
自分の不快感や怒りが軽視されているように感じられて、モヤモヤすることに。「気持ちが受け止められてない」「表面的な謝罪だ」とかえって怒りが増します。
まるで、金網の向こうに避難して、そこから力ないボールをひょいと投げるようなもの。
相手としてみれば「まじめにやれ」と怒りたくもなります。
■謝ると決めたら保身は忘れる
○「本当にごめん!」(まあ、いいよ)

○「不快な思いをさせちゃったね、すまん! 今後気をつけます」(気をつけてね)

○「責任は私にあります。大変申し訳ありませんでした」(わかったよ)
会話IQが高い人は、中途半端に謝りません。
謝るという行為の目的は「相手の怒りを鎮火する」ことにあります。そのことを優先するなら、条件をつけたり、自分には非がないとアピールしたりしてる場合ではないのです。目的に応じたコミュニケーションを、混じりけなくシンプルに遂行できる能力こそ、会話IQです。
まずは真摯に謝る。変に限定せず、とことん謝って相手に許しを乞う。
相手の怒りが多少おさまったら、ようやくそこで「行き違いがあって」と事情を説明してもいいですし、「今後は気をつけます」と改善策を提示してもいいでしょう。「許してもらう→釈明」というこの順番を間違えると「言い訳するな」と火に油を注ぐことになります。
大前提として相手は怒ってるわけです。
どうでもいい相手なら、おざなりに謝ってもいいでしょう。
ですが、今後も関係を維持したい大切な相手であれば、一歩も逃げずに立ち向かう必要があります。そしてそういう姿勢こそが、多くの言葉を並べたてるよりもよほどいい、効率的な謝罪となるのです。
キャッチボールで言えば、まずは金網からグラウンドに出て、相手の真正面に立つ。すべてはそこからです。
★頭がいい人は、全力で謝る
【辞退力】
■×「行けたら行く」とあいまいに断る ○「行きたい! でも~ 」と断る
×「行けたら行くよ(きっと来ないな)

×「今のところ空いてる」(来たくない?)

×「ちょっと予定見てみるよ、いつまでに返事したらいい?」(他の人誘おう)
人から誘いを受けたときに、あいまいに断る人がいます。
「行けたら行く」「今のところ空いてる」など、歯切れの悪い返事をする。あるいは、「調整してみる」「いつまでに返事すればいい?」「他の人の都合を優先してほしい」など、後ろ向きなニュアンスを匂わせる人もいます。
背景には「嫌われたくない」という防衛の気持ちや、「判断を遅らせたい」「なるべくいい条件で参加したい」という打算の気持ちがあります。
相手としては、モヤモヤします。
「乗り気じゃない」「優先順位は低い」と言われているようなものなので、まず悲しい。それだけでなく、中途半端に返事されると、その後もフォローしなくてはいけないので、とてもめんどう。明確な返事がないままに、「他に誰が来るの?」「何時までやってる?」などと質問されるのも煩わしく、「誘わなければよかった」とガッカリし、「次は絶対誘わない」と決心を固めます。

言うなら、中途半端なスピードで、何とも言えない方向にボールを投げるようなもの。相手としてはやる気があるのかないのかわからず、困ってしまいます。
■前向きな意志を即答する
○「ありがとう! もう少し近づいたらまた連絡する」(こっちからも連絡する!)

○「いいね! でもちょっと他の予定が入っちゃいそう、残念!」(じゃあ、また!)

○「ぜひぜひ! 最終返事、来週でもいいかな?」(了解!)
会話IQが高い人は、あれこれ言わず、「行きたい!」と即答します。
どんな誘いに対しても、まずは「行きたい」「ありがとう」「ぜひぜひ」というポジティブな意志を伝える。もうその時点で、相手としては「誘ってよかった」とうれしい気持ちになります。
その後でなら「でも、直前にならないとわからない」「でも、今回は難しい」と断られても、保留されても、不思議と嫌な気持ちがしないのです。
① 「お誘いありがとう!」という感謝 ②「行きたい」という意志 ③「~~で行けない」という理由 ④「残念」という名残惜しさ ⑤「次回こそぜひ」という今後の展望 以上5ポイントを過不足なく伝えれば、次回以降も必ず誘われます。
これぞ会話IQです。
キャッチボールは「上手」である必要はありません。「懸命に」ボールを捕ろうとし、「楽しそうに」投げ返すことが、何よりも大事なのです。
逆に「この人の誘いには絶対に行きたくない」「二度と誘われたくない」場合は、前記5項目になるべく触れないことが重要。「行けません」「無理です」「予定がわかりません」と、すげなく断ればOK。
これも会話IQです。
★頭がいい人は、いつも誘われる

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五百田 達成(いおた・たつなり)

作家・心理カウンセラー

1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。

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(作家・心理カウンセラー 五百田 達成)
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