※本稿は、白澤卓二監修『科学的に正しい一生老けない方法100』(宝島社)の一部を再編集したものです。
■肌の健康を保つにはビタミンB群が大事
私たちの体は、毎日の食事によってつくられています。健康的な食習慣は、見た目の若々しさや美しい肌を保つためにも欠かせません。なかでも、美肌づくりに大きく関わっているのがビタミンB群です。ビタミンB1、B2、ナイアシン、葉酸などの栄養素は、肌の細胞のターンオーバー、つまり新陳代謝を正常に保つ役割を果たしています。
肌の細胞は、表皮の最も深い部分で生まれ、徐々に表面へ押し上げられ、やがて古い細胞として自然に剝がれ落ちていきます。このサイクルがスムーズに行われている状態が、若々しく透明感のある肌につながります。
理想的なターンオーバーの周期は28日。しかし、年齢を重ねるにつれて代謝は低下し、この周期が乱れがちになります。そんなときに、ビタミンB群を意識して摂取することで、細胞の再生が促され、皮膚や粘膜の健康が維持されやすくなるのです。
■納豆は「最強のアンチエイジングフード」
では、ビタミンB群を効率良くとれる食品とは何か。その代表格が「納豆」です。
さらに納豆には、アンチエイジングに効果的とされる鉄分やカルシウム、食物繊維なども含まれており、まさに栄養の宝庫。毎日の食事に取り入れやすく、スーパーで簡単に手に入る身近な食品であることもうれしいポイントです。調理も簡単で、ごはんにのせるだけでも十分に栄養を摂取できます。
肌の調子が気になる方、加齢による変化を感じ始めた方は、まずは食生活を見直してみましょう。なかでも、ビタミンB群を多く含む食品を積極的に取り入れることが、美肌への第一歩です。納豆のような手軽で栄養価の高い食品をうまく活用し、内側から若々しさを育てていきましょう。
■健康的な体を維持するためのたんぱく質
人間の体を構成する主成分の一つが、たんぱく質です。筋肉はもちろん、心臓や肝臓などの臓器、さらには皮膚や髪の毛、爪に至るまで、たんぱく質が材料となっています。そのため、若々しさや美しい肌、健康的な体を維持するには、毎日の食事からしっかりとたんぱく質をとることが重要です。
たんぱく質を多く含む食品として、特におすすめしたいのが「卵」。
アミノ酸は全部で20種類あり、そのうち9種類は体内でつくることができない「必須アミノ酸」と呼ばれています。これらは食事から摂取しなければなりません。
そして、食品に含まれる必須アミノ酸の質を示す指標として、「プロテインスコア」や「アミノ酸スコア」が用いられます。これらのスコアは、食品中にどれだけ理想的なバランスで必須アミノ酸が含まれているかを数値化したもので、100点満点が理想です。
■卵1個で必須アミノ酸をまんべんなく摂れる
卵はこの両方のスコアで満点を獲得している、まさに理想的なたんぱく質食品です。他の食品では、どちらかのスコアが高くても両方満点というケースは珍しく、卵の栄養価の高さが際立っています。つまり、卵を一つ食べるだけで、体に必要な必須アミノ酸をまんべんなく摂取できるのです。
さらに、卵は調理のバリエーションも豊富で、朝食から夕食までさまざまな料理に取り入れやすいのも魅力。目玉焼き、ゆで卵、卵焼き、スクランブルエッグなど、飽きずに毎日でも食べられる万能食材です。
健康的な生活を送りたい方、肌の調子を整えたい方、年齢とともに体力の低下を感じている方は、日々の食事に卵を取り入れてみてはいかがでしょうか。手軽に食べられ、しかも栄養価の高い卵は、まさに“完全食品”とも言える存在です。
■体の「錆びつき」を防ぐ「美容ビタミン」
私たちの体や肌を老化させる要因の一つに、「活性酸素」があります。酸素は生きるために欠かせないものですが、紫外線やストレス、喫煙、大気汚染などの影響を受けると、一部の酸素が活性酸素という物質に変化します。
この活性酸素は体内で細胞を酸化させる働きを持っており、その結果、肌にシミやシワ、たるみといった老化現象が現れるだけでなく、がんや生活習慣病の引き金にもなります。
こうした体の「錆びつき」を防ぐためには、活性酸素のダメージを抑える「抗酸化作用」のある栄養素を日常的に摂取することが重要です。抗酸化力に優れている栄養素として知られるのが、ビタミンC、ビタミンE、そしてビタミンA(β-カロテン)です。
ビタミンCとEは「美肌ビタミン」と呼ばれ、肌のハリや透明感を保つ役割を果たします。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあり、乾燥や肌荒れを防いでくれます。これらのビタミンをしっかりとることで、体の内側から肌の老化を抑え、若々しさをキープすることができます。
■美肌を目指すなら「毎日キウイ」
これらの栄養素をバランス良く含んだ食品の代表がキウイです。キウイは“フルーツの王様”と称されるほど栄養価が高く、ビタミンC、E、A(β-カロテン)をバランス良く含んでいます。皮膚科医の中にも、美肌を目指すならキウイを日常的に食べるよう勧める人が多いのも納得です。
さらに、これらのビタミンは野菜にも多く含まれています。特におすすめなのが、ブロッコリー、ニンジン、カボチャ、赤ピーマン、トマト、絹さや、ニンニクの芽、シシトウなどのカラフルな野菜たち。これらは抗酸化作用の高い成分が豊富で、肌や体の老化対策に役立ちます。
意外と見落とされがちですが、大根の葉にもビタミンAやCが多く含まれているので、捨てずにみそ汁や炒め物などで活用すると良いでしょう。
■食べれば食べるほどいい“夢のような食材”
キノコは、ダイエット中の方にとって非常に心強い食材です。なぜなら、キノコは全般的にカロリーがとても低く、量を気にせずたっぷり食べることができるからです。栄養価にも優れており、健康にも美容にもうれしい効果がたくさんあります。
なかでも注目したいのが、キノコに含まれる「キノコキトサン」という特有の成分。このキノコキトサンは、体内で脂肪の吸収を抑える働きがあり、余分な脂肪を体外へ排出する手助けをしてくれます。さらに、排便を促す作用もあるため、便秘の改善にも役立ちます。
加えて、キノコは食物繊維がとても豊富。腸内環境の改善や代謝の活性化にもつながり、内側から痩せやすい体質づくりをサポートしてくれます。
■少なくとも3日に1回はキノコを食べよう
さらにおすすめの食べ方は、キノコをみそ汁に入れて食べることです。キノコは種類によってそれぞれ異なる菌を含んでいますが、みそに使われている麹(こうじ)菌と一緒に摂取することで、腸内に届く菌の種類が増え、より相乗的な効果が期待できます。異なる菌を同時にとることで腸内環境が整い、免疫力アップや肌の調子改善など、さまざまな健康効果をもたらしてくれます。
ただし、これらの菌は体内にずっととどまるわけではありません。口からとり込んだ菌は、腸内で約3日間ほど生きたあと、便と一緒に排出されてしまいます。そのため、せっかくの良い菌の効果を持続させるには、少なくとも3日に1回はキノコを取り入れることが大切です。
シイタケ、シメジ、エノキ、マイタケなど、さまざまな種類のキノコをローテーションで使えば、飽きずに続けられます。炒め物や煮物、鍋料理にもぴったりのキノコを日々の食事に取り入れて、健康的な体を目指しましょう。
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白澤 卓二(しらさわ・たくじ)
白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長
医学博士。お茶の水健康長寿クリニック院長。白澤抗加齢医学研究所所長。
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(白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤 卓二)