プレジデントオンラインは、全上場企業の「平均年収ランキング(2025年度版)」を作成した。調査対象会社3709社のうち、自動車や自動車部品企業の多くが含まれる「輸送用機器」に分類される企業は88社だった。
1位はトヨタ自動車の982.5万円だった。平均年収ランキング「自動車業」編をお届けする――。(第3回)
■自動車業界1位はトヨタの982.5万円
プレジデントオンラインは、自動車業界に属する88社(※)の「社員平均年収ランキング(2025年版)」を作成した。基にしたデータは直近の年次決算期における有価証券報告書(2024年10月期~2025年9月期)。データ抽出では、経済・金融データサービスの株式会社アイ・エヌ情報センターの協力を得た。
今回調査した企業のうち、トップ10社の従業員平均年収額は857.7万円で前回から27.2万円増加した。表にしたランキング88位までの従業員平均年収額は665.0万円だった。
自動車業界の「給料トップ3」は、顔ぶれが前年と同様だった。
前年調査に引き続きトップとなったのはトヨタ自動車。前年から82.7万円の増加で、業界では唯一の900万円台となる982.5万円となっている。1月に発表したレクサスを含む2025年の世界販売台数は過去最高となる1053万6807台で、6年連続の首位を堅持している。販売台数同様、平均年収も「1000万」の大台を超える日は遠くなさそうだ。

■「トヨタ一強」はまだまだ続く
2位は日産自動車で、平均年収は895.6万円だった。前年からは18.5万円増加している。しかし、今後の見通しは暗い。
円安の影響もあって売り上げ・利益とも好調だった2023年度決算こそ好調だったものの、2024年度決算では過去最大の赤字を計上し、国内外で大規模な人員削減を進めている。コロナ禍以前まで売り上げの4分の1ほどを占めていた中国市場でふるわず、北米でも存在感を発揮できていない。
3位のホンダは、前年から64.4万円ふえて895.5万円。2位・日産との平均年収の差はわずか1000円まで縮まった。こちらも日産同様、2024年度は「絶好調」とはいえない決算となっており、直近では2026年3月期の純損益が最大で6900億円の赤字になる見通しだと発表している。純損益が通期で赤字になるのは1957年の上場以来「初」だ。「トヨタ一強」時代はまだまだ続きそうだ。
■日産、ホンダの役員報酬は…
役員報酬でも、トヨタは頭一つ抜けている。
社長(当時)の佐藤恒治氏は8億2600万円、最も高い豊田章男会長は19億4900万円だ。
一方、日産・内田誠社長(当時)は前年の6億5700万円→3億9000万円にダウン。ホンダ・三部敏宏社長も4億3800万円→4億1700万円に減少しており、両社長の年収を合わせてもトヨタの社長に及ばない状況となっている。
4位にはデンソーがランクイン。トヨタ自動車工業(当時)の電装部開発部門をルーツに持ち、豊田自動織機・アイシンと合わせてグループ御三家を構成する1社だ。前年は4位だったが、平均年収が24.0万円増加、863.0万円となった。御三家の中で最高年収を維持している。
トップ10まで名を連ねた企業の大半は自動車関連だった中、異色だったのが自転車部品を手掛ける企業のシマノだ。1921年に創業した老舗で、現在は釣り具なども手掛ける。前年は平均年収が減少していたが、今回の調査では9.4万円増加の856.2万円で5位にランクインした(前年は4位)。
ヤマハと川崎重工業の明暗
同じく、自動車関連を主軸としない企業ではヤマハ発動機が7位だった。前年から5.3万円の増加で、平均年収は817.5万円。二輪メーカーでは、川崎重工業も前年から平均年収が17.1万円減少しており、自動車関連企業が安定して2ケタの年収増を実現している中で伸び悩んでいる。

両社を見ると、二輪事業が好対照だ。2023年12月期は過去最高売り上げ・営業利益となったヤマハ発動機は二輪車事業も増収増益。特に新興国で好調だった。対する平均年収が減少してしまった川崎重工業は、2023年度に先進国・新興国ともに二輪車が伸び悩み、同事業を含むパワースポーツ&エンジンセグメントが減益となっている。
10位は前年から44.3万円増加し、平均年収が804.0万円となったNOKがランクイン。自動車のエンジンなどに使われる「オイルシール」と呼ばれる部品のほか、船舶、建設機器のパーツなど手広く事業を展開している。
■「トヨタ超え」の年収増のメーカー
今回、前年比で平均年収が最も伸びたのはスズキだった。平均年収トップのトヨタ(82.7万円増)をわずかながら上回る82.9万円の増加となり、784.9万円で全体の12位にランクインした。2023年度は売り上げが初めて5兆円を超え、営業利益も大幅に増加していた。
今回の年収増かについて同社に聞いたところ、2030年度に向けた成長戦略の達成に向け、2024年4月に人事制度を刷新した影響が大きいという。
「職階ごとにもとめられる能力を明確化したほか、初任給の大幅な引き上げなどを実施した。この改定により、大卒初任給は従来の22万円から25.1万円へと14.1%の引き上げとなっている」(スズキ広報担当者)。

スズキといえば近年は「ジムニー」が人気で、特に2025年1月に発売した「ジムニー ノマド」は、わずか4日間で5万台を受注して話題を呼んだ。一部では「納車まで4年待ち」という臆測も出ており、新古車の転売騒動にも発展している。この1月には転売対策を講じた上で受注を再開した。国外ではインドで好調が続いている。次回も安定した年収増が期待できそうだ。
反対に、平均年収が最も減少したのは26位のダイハツインフィニアース。2025年5月2日に「ダイハツディーゼル」から社名を変更した。1907年創業で、船舶用や陸用のディーゼルエンジンを中心に、産業機器なども手掛ける。同社の2025年3月期の平均年収は、43.1万円の減少で600.0万円となった(65位)。

(プレジデントオンライン編集部 図版作成=大橋昭一)
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