※本稿は、ミニマリストTakeru『お金の増え方は9割部屋で決まる 人生を豊かにするミニマリスト思考』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
■部屋を片付けたら、格段に貯蓄スピードが上がる
僕は部屋を片付けたことをキッカケに、貯蓄スピードが格段に早くなったことを実感しています。「部屋を片付けるだけで、そんなに変わるの?」と半信半疑になっている人もいると思いますので、僕の暮らしがどう変化していったのか、順を追って解説します。
① 不用品を売って現金化できる
僕はまず、不用品を売ることに専念しました。当時は生活が困窮していたこともあり、不用品を売ることで生活の足しにするためです。あなたの家にも「使ってないけど売れるモノ」があるはずです。
[例]貴金属、家具、家電、パソコンやスマホ、ブランド物、化粧品、洋服、着物、本、CD、ブランドモノ、子どものおもちゃ、ベビー用品、腕時計、ジュエリー、趣味のモノ、コレクション、ゲーム、アート、楽器など。
こうした不用品を売ることで、あなたは臨時収入を得ることができます。僕も今までに数多くの不用品を売ってきましたが、ミニマリスト生活10年間で百万円ほど現金化できたと思います。
② モノが少なくても生きられることに気づく
片付けを進めていくと、ほぼ9割近くのモノが不用品で、必要なモノはたったの1割でした。「あ、僕はこれだけのモノで生活できるんだ」と新たな発見になったのを今でも覚えています。
だから結果的に質の高いモノだけが残り、家に残ったモノを長く愛用できる。余計なモノを必要以上に増やすこともありません。
③ 「必要」と「欲しい」を区別できる
僕は、片付けを通じて「必要なモノ」だけ残しました。だから、自分には何が必要で、何がなくてもいいのかを区別できるようになったのです。「必要なモノ」とは生活に欠かせないモノで、それがないと不便になるモノ、生活に困るモノです。
たとえば、僕1人が生きるために最低限必要なモノを例に挙げるとご覧の通りです。
[例]家具2点(イス1脚・テーブル1つ)、家電5点(エアコン・冷蔵庫・乾燥機付き洗濯機・照明・掃除機)、寝具5点(敷布団、掛け布団、枕、毛布、夏用冷感パッド)、服10着、ハンガー10本、肌着12点(夏用上下2組、冬用上下2組、夏用靴下2組、冬用靴下2組)、歯ブラシ1本、スマホ1台、手帳型スマホケース1つ、iPad 1台、三脚1本、イヤホン1つ、充電ケーブル2本、ペン1本、リュック1つ、靴1足、傘1本、衛生用品5点(爪切り・耳かき・全身シャンプー・カミソリ・ハンドソープ)、タオル3枚、食器7点(茶碗・大皿・小皿・コップ・箸・スプーン・フォーク)、調理器具6点(鍋・フライパン・ザル・包丁・まな板・おたま)、食器用洗剤、スポンジ、ウタマロクリーナー、クレジットカード1枚、健康保険証、マイナンバーカード、運転免許証、年金手帳、通帳、印鑑、家の鍵など。
合計88点。これらは僕にとって何一つ欠けてはいけません。ないと困るし不便になるからです。
その一方で、「欲しいモノ」とは、なくても生活できるモノです。たとえば僕の場合、腕時計やゲーム、手帳、財布などは今後買うことはないでしょう。現に、今もなくても生活できています。そして、今以上の靴・鞄・洋服、食器や調理器具は必要ないし、今以上に「もっと欲しい」はならなくなりました。
僕は買い物の際、「必要なモノ」は買いますが「欲しいモノ」は買いません。「欲しいモノ」はなくても生活には困りませんし、お金の無駄だと思うからです。
■1人暮らしで月10万円稼げれば生活できるようになるワケ
④ 「大事なもの」が失われていることに気づく
僕はモノを手放していくごとに、大事なものが失われていたことに気づきました。モノを増やせば増やすほどお金を失い、生活スペースも狭くなり、生活費が高くなったぶんだけ労働時間も長くなって、健康も家族との時間も失われていく。そして、自分のやりたいことを我慢して働かなければいけない。
つまり、物欲に負けてモノを増やすと、「お金」「空間」「健康」「時間」「家族」「やりたいこと」を失うことに気づきました。これこそ、本当にもったいないですよね。
だからこそ僕は、モノを必要以上に増やしたくない。なぜなら、本人が気づかないうちに多くのものを失っているからです。僕は片付けを通して「モノより価値あるもの」に気づくことができました。
⑤ お金や仕事と真剣に向き合える
「モノ」は「お金」が形を変えたもの。片付けで1つ1つのモノと向き合ったことで無駄遣いしていることに気づき、家計簿を徹底的に見直しました。その結果、当時1人暮らしで月10万円稼げれば生活できるようになったので、自分のやりたい仕事を自由に選ぶことができました。
だからこそ仕事選びも真剣になったし、無駄に生活費を上げないようにお金にもシビアになりました。生活費が高ければ転職するのもリスクが伴うし、好きな仕事だけで生活することはとても大変です。
僕は今、自分の想いや経験談を多くの人に届けられる「ユーチューバー」という仕事を選び、今ではこうして5冊目の本を執筆しています。
もちろん、好きなことを仕事にできる人は一握りかもしれません。でも、モノを減らしたことで時間的にも余裕が生まれ、生活費も必要最低限に抑えることで、最初は「副業」から好きな仕事に挑戦することができます。
僕は運よく、好きなことを仕事にすることができました。
なぜなら、僕は稼いだお金を贅沢に使うために働いているのではなく、自分の仕事にはやりがいがあって、楽しみながら働いているからです。つまり、必要以上に稼げたとしても贅沢なことに使う必要がないのです。
そして、運よく好きなことを仕事にできたからといって、収入がずっと右肩上がりで上がり続けるわけではありません。だからこそ僕は、好きな仕事でお金が稼げているだけでもとても贅沢なことだと思うのです。
⑥ 「引き算思考」になる
多くの人は何か問題が起こったときに、モノを買って解決しようとしたり、やることを増やして解決しようとします。これは「足し算思考」の特徴です。
その一方、僕はミニマリストになったことで物事は「引き算」でも解決できることに気づくことができました。これが「引き算思考」の特徴です。
たとえば、次のような問題が出てきたとき、あなたはどう解決しますか?
[例1] モノが多くてしまう場所がない。
足し算思考の人→新しい収納を買ってきて、モノを全部詰め込む。
引き算思考の人→不要なモノを減らして、収納にしまう。
[例2] 生活費が高くなってしまった。
足し算思考の人→労働時間を増やす。もっと仕事を頑張る。
引き算思考の人→無駄な支出を削り、生活費を下げる。
一見、どちらも問題を解決できそうですが、僕は断然、「引き算思考」をオススメします。なぜなら、「引き算思考」は誰にでもできる解決法だからです。「足し算思考」で物事を解決しようとすると、いずれ限界が来ます。
僕はミニマリストになる前、すべての問題に対して「足し算思考」で対処していました。収納を増やし、仕事も増やして、やるべきこともどんどん増えて忙しくなっていく。お金も貯まらないし、毎日が忙しい。全然余裕ができなくて生活がずっと苦しい。
「引き算思考」ならどうでしょうか。今の僕は、何か問題が起きたときは「何か減らせるものはないか」と考えるようにしています。不要なモノや無駄遣い、日々のタスクやスケジュールだけではなく、人間関係や情報まで、優先順位の低いものからどんどん減らしていくのです。
そうすれば、「収納が足りない」「お金が足りない」「時間が足りない」「忙しい」「余裕がない」「ずっと生活が苦しい」といった問題を解決することができます。
■人生の目的がハッキリすると貯蓄スピードが格段に早くなる
⑦ 人生の目的が見えてくる
僕はミニマリスト生活で、優先順位の低い「モノ」や「支出」、「仕事」や「人間関係」、「タスク」や「スケジュール」、「情報」などたくさん手放してきました。
「手放す」とは、自分と向き合うことです。何を選び、何を削るか。選んだものは、自分にとって重要なもの。そして、手放したものは自分にとって価値が低いものです。つまり、多くを手放すと「自分にとって重要なもの」が見えてくるのです。
自分が好きなもの、嫌いなもの、やりたいこと、やりたくないこと、どう人生を生きたいのか、何を成し遂げたいのかまで、自分を深く理解できるようになります。
人生の目的が明確になれば、時間やお金の使い方がガラリと変わります。無駄遣いがなくなり、余計なモノを買わなくなり、人生の目的を果たすために仕事にも打ち込む。だから、人生の目的がハッキリしている人は、貯蓄スピードが格段に早くなるのです。
あなたは人生で何を成し遂げたいですか? 何を叶えたいですか? どんな暮らしがしたいですか? あなたの理想を叶えるためにも本気で片付けましょう。大事なものだけ身の回りに残すことで、それらが羅ら針しん盤ばんとしてあなたを導いてくれるはずです。
■●ここがポイント
▼ 不用品を売って現金化せよ。
▼ モノが少なくても、十分生活できる。
▼ 「必要」と「欲しい」は別物。
▼ モノが多いと、多くのものを失う。
▼ お金と仕事に真剣に向き合うべし。
▼ 「引き算思考」がすべての問題を解決する。
▼ 余計なものを削ぎ落とせば、人生の目的が明確になる。
▼ 人生の目的がある人は、格段に貯蓄スピードが上がる。
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ミニマリストTakeru(ミニマリストタケル)
YouTuber
登録者は10万人超、月間200万PV以上のYouTubeチャンネルを運営。「ミニマリスト」を目指し始めたのは2015年。難病が再発し、収入も貯金もゼロになったことで心機一転。3000個以上のモノを手放し、住環境や人間関係、家計管理を見直して、一度人生をリセット。ゼロから生活を見直し、節約・貯金・複業・投資を経て、2021年にFIRE(経済的自立)を達成。「モノはより少なく、自由で豊かな人生」を実現するためのミニマリズムを世界に広めている。主な著書に『月10万円でより豊かに暮らすミニマリスト生活』『月10万円でより豊かに暮らすミニマリスト整理術』(ともにクロスメディア・パブリッシング)。
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(YouTuber ミニマリストTakeru)