「ママ友」との付き合いはどうすればいいのか。上手に手を抜く子育てをする「ズル親マインド」を提唱する咲良ともこさんは「『ママ友とは仲良くなければいけない』は幻想に過ぎない。
むしろ本当に必要なのは、『しょぼい私』をさらすことができる仲間だ」という――。
※本稿は、咲良ともこ『ズルい親ほど子は育つ!』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■SNSの「キラキラママ」から生まれるストレス
心の余白を奪う原因のひとつに、人間関係があります。
たとえばママ友の「うちの子は塾で特待コースに入ったのよ」という話しや、SNSで流れてくる“キラキラママ”の完璧そうな育児風景。
そうした“他人の言葉”や“他人の生活”と、自分の中の「できていないところ」を比較してしまい、モヤモヤとした気持ちが生まれ、余白が奪われていきます。他人の価値観に振り回されて自分が何を大切にしたいのかわからなくなります。
アドラー心理学には「すべての悩みは人間関係」という言葉があります。
また人間関係の悩みの多くは「比較」から生まれます。
お金持ちになりたい? それはお金がある人とない人がいて比べるから。
やせたい? それは太っている人に比べて「やせてるほうがいい」とされているから。
つまり、悩みは必ず「人」が介入して生まれるものなんです。たったひとりでは悩みは発生しません。
無人島でひとり暮らしなら「私ってブス?」とすら思わないですよね。だって、比較する相手がいないのですから。
■「他人の正解=自分の正解」とは限らない
ただすべての比較が悪いわけではありません。自分の「現在地」を知るための比較はOKです。「あの人は目が大きい、私の目は小さい。でも小さい目もかわいいな」とか「彼女は優しい、私はせっかち。でもせっかちも役に立つな」という風に。
つまり他人との比較は、自分の個性や唯一無二の素晴らしさを確認するときだけ!
「やりたくないことリスト」に「他人と比べて自己否定すること」と書きましょう。
大切なのは、「他人の正解」をそのまま自分のものにしないことです。誰かにとっての最適解が、自分にとってもしっくりくるとは限りません。
人間関係も自分が心地よい関係、自分のペースでいられる人を選ぶこと。エネルギーを奪われる相手とは、距離を置いてもいいのです。
必要以上に合わせようとしない。それは自分を守るための賢い選択です。
■無理にママ友グループに属さなくてもいい
「ママ友づきあい」って、正直疲れませんか? 「今日もランチに誘われた」「グループLINEの返信に困る」と感じることはありませんか?
それなら勇気を出して、ママ友づきあいを「やらない」こと。あなたの心の中にある「ママ友とは仲良くすべき」という謎の「べき・ねば」に気づいてください。
私自身も子どもが幼稚園の頃から「一匹狼」でした。お迎えのときは門の外でひとり「仁王立ちポーズ」で待機し、子どもが出てきたらすぐに帰宅していました。ママ友と群れてランチに行くのが苦手で、行ったこともなかったほど。
でも今は、私の講座生は数百人もいて、本音で話せる女友達がたくさんいます。
そんな私が断言するのですから間違いありません。
ママ友とは、無理につきあわなくても、子どもの友達関係には影響しません。子どもが公園で遊びたいなら、別の公園に行けばいいのです。周りは知らないお母さんばかりで、まったく干渉されない公園に行けばいいのです。

■人間関係のイライラのほうが子育てには悪影響
私の講座生の中には「子どもが友達だから親も仲よくしなきゃ」と無理してつきあっていた人がたくさんいました。
でもよく考えてみてください。友達と遊びたいなら、幼稚園で充分遊んでいます。
ひとりで遊びに行けるようになれば、友達の家に呼ばれたときは子どもにお菓子だけ持たせて送り迎えだけすればいいんです。子どもがひとりで遊んだり、遊びに行ったりできるようになれば、親同士がつながる必要なんてなくなります。
ですから、ママ友と我慢してつきあうことをやめて、あなたの心の平和を大切にしてください。嫌な人とつきあい続けることで、あなたがイライラして子どもに怒ってしまうなら、それこそ家族みんなに悪影響を与えます。
嫌な相手からは、角を立てないようにそっとズルく離れればいいんです。
■嫌われたって実害はほとんどない
「そうは言っても、ママ友の輪から急に抜けられるわけがないじゃん」
そんな人に効く、マインドの変え方をお伝えしますね。
まず「ママ友と仲間は違う」と捉えてください。
ママ友はあくまで“友達”であって“仲間”ではありません。
“友達”とは日和見のどうでもいい話をしたり、ダラダラと話す相手のこと。
「大変だよね」「旦那さんひどいね」と言い合って気分よくつきあうだけの関係です。
“仲間”とは同じ思いを共有する人のこと。自分が本当になりたい自分や目指す世界について話せる人です。
たとえば「イライラしないママになりたい」という目標に向かい、「私はこんなことで悩んでいる」と本音で話せる相手こそが“仲間”です。
もしあなたに「怒らない母、幸せな親子になりたい」という夢があるなら、ママ友づきあいなんて断ってもいいのです。
あなたが夢を描いて進んでいるのにそれを笑ったり、邪魔しようとしたりする「どうでもいいゴミみたいな人」が現れるかもしれません。あなたを嫌って、根も葉もない噂を流すかもしれません。
確かに、周りのママ友と違うことをすると嫌われる可能性はあります。でも、それでどんな実害があるかというと、意外とないもの。だから気にする必要はありません。
「ママ友づきあいをやらない」と、「やりたくないことリスト」に加えておきましょう。
それより、本当の“仲間”を探して大事にしていきませんか。
昔からの友達でも、オンライン上での知り合いでもいいので“仲間”とつながっていきましょう。
■群れなくても情報はネットに転がっている
「ママ友グループから離れづらい」という人に、知っておいてほしいことがあります。
女性が群れるのは原始時代からの本能だという事実です。
男は狩りに行って、女は家を守る。そこからたどっていくと、女性たちは情報を共有しないと生きていけませんでした。「あっちに貝がいっぱいあるよ」「あっちに行くとおいしい木の実が採れるよ」といった情報交換が必要だったのです。
昔はそういった輪の中にいないと、情報がもらえない=死を意味するので、群れておかないといけなかったのです。今でも私たち女性が情報を共有するのはこのため。
でも今はネットがこれだけ発達しているわけですから、リアルに群れなくても知りたい情報は十分得られます。ママ友づきあいにこだわらなくていいんです。
それより、たった一人でもあなたが夢に近づくための“仲間”(あなたの理解者)がいればいいんです。
それは、ネット上でたまに見かける「あの人」でもいいんです。

そう思うと、気持ちがちょっとラクになりませんか。
■本音を先にさらして「仲間」を見つける
ではいったいどうすれば“仲間”を見つけられるのでしょうか。
まず、あなたが先に本音をさらすことです。もちろん、キラキラママぶりや自分のすごさをアピールするのは、逆効果。「やらない」ことにフォーカスをして話すと、相手も心を許して共感してくれるようになるでしょう。「しょぼい私」をさらしてまずは自分から「こういうことで悲しいんだよ」「本当はこういうことがしたいんだよ」とぶっちゃけて、理解してくれる人を見つけることです。
私の講座生さんたちはよく「女性の友達がほしい」と言いながら「女の人が嫌い」と言います。その真意を聞くと「本音でしゃべりたいのに、相手は建て前で話してくることもあるから何を考えているのか分からないから本音を話すのが怖い」とのこと。
本音で語れるママって、最強なのです。

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咲良 ともこ(さくら・ともこ)

育児ナレッジメンター

P&Gで研究開発・生産技術を担当。結婚を機に退社後、専業主婦に。趣味のパン作りをきっかけに、パン教室を7年間運営。さらに卸販売2年、通販1年半を経て、2023年に法人化。2025年現在は、既存の2社に加えマレーシア法人を設立し、計3社を経営中。10年間にわたる自己否定と葛藤の末、「叱らない・怒らない育児」へと考え方を転換。その実体験を基に、「できない自分を責めがちなママ」に寄り添う独自のメソッドを確立し、「叱らない育児」を通じて母子の幸せを支援する、育児ナレッジメンターとして精力的に活動している。SNSの総フォロワーは10万人を超え、これまでの講座受講者は延べ1,135名に達するなど、多くのママたちから支持を集める。「すべての母親が幸せである社会」の実現を目指し、育児分野での発信と実践を広げている。

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(育児ナレッジメンター 咲良 ともこ)
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