
束の間のオフを終え、各チームが始動。2025シーズン開幕の足音が徐々に聞こえてきました。
それぞれのチームが冬の移籍期間で選手と契約を更新、または別れを告げ、新たな仲間を迎え入れ、タイトルを勝ち取るために多忙なオフシーズンを過ごしていました。
J1の20チームで、今回は昨季2位フィニッシュを果たしたサンフレッチェ広島の戦力分析をしてみようと思います。最後までお付き合い頂けると嬉しいです!
サンフレッチェ広島
2024シーズン:2位
冬の移籍市場
【IN】
- 井上潮音
- 仙波大志
- 田中聡
- ジャーメイン良
- 菅大輝
- 中村草太
- ヒル袈依廉
【OUT】
- ゴンサロ・パシエンシア
- ピエロス・ソティリウ
- 志知孝明
- 棚田遼
- 住吉ジェラニレショーン
- 松本泰志
- 柏好文
- 木吹翔太
- 細谷航平
- エゼキエウ
- ドウグラス・ヴィエイラ
- 土肥航大
- 薄井覇斗
- 青山敏弘
2025シーズン背番号
1.GK大迫敬介
2.DF山﨑大地
4.DF荒木隼人
5.MF松本大弥
6.MF川辺駿
9.FWジャーメイン良
10.MFマルコス・ジュニオール
11.FW満田誠
12.サンフレッチェファミリー
13.DF新井直人
14.MF田中聡
15.MF中野就斗
18.MF菅大輝
19.DF佐々木翔
20.MF井上潮音
21.GK田中雄大
22.GK川浪吾郎
24.MF東俊希
25.MF茶島雄介
27.DFイヨハ理ヘンリー
30.MFトルガイ・アルスラン
32.MF越道草太
33.DF塩谷司
35.MF中島洋太朗
36.FW井上愛簾
38.GKヒル袈依廉
39.FW中村草太
40.MF小原基樹
44.MF仙波大志
51.FW加藤陸次樹
2025シーズン 開幕予想スターティングメンバー
パシエンシア移籍は「予想外」も迅速かつ的確な補強
昨シーズン、サンフレッチェ広島は他のチームに「俺たちは強いぞ」ということを示したシーズンになったと思います。多くのゴールを奪い、ボールを狩り続け、さらには夏に新たな選手を加えて大人なサッカーも出来るようになりました。
リーグ終盤は色んなものを背負い、足取りが重くなってしまって失速をしてしまいましたが、それでもその強さは2025シーズンも揺るがないものだと思います。
広島の今冬の補強は実に「的確なもの」だと僕は思います。ピエロス・ソティリウ、ドウグラス・ヴィエイラ、ゴンサロ・パシエンシア(予想外の移籍だと思います)とストライカー達が移籍する中、ジュビロ磐田で19ゴールを叩き込んだジャーメイン良をチームに加えました。
また柏好文と志知孝明の移籍の穴は菅大輝を補強、松本泰志の移籍は田中聡と井上潮音を連れてきました。退団や移籍したポジションをきっちり穴埋めして、さらに迅速にチームの特徴に見合った選手を連れてくることに成功しました。
もう1つ欲張るのならば、センターフォワード(以下CF)の補強でしょうか。きっとゴンサロ・パシエンシアの退団はあまり予測してなかったものだと思います。
2025シーズン、多くのコンペティションを戦い、たくさんの試合数をこなすので、ミヒャエル・スキッベ監督の基準を満たす選手を連れてくることは、移籍市場が閉じるまでにポイントになるかもしれません。
しかし改めて今冬の広島の補強は往々にして迅速かつ的確だと僕は思います。
ではここから個人選手について、触れていこうと思います。
ジャーメイン良は「攻撃力をさらに上のレベルへ引き上げる」
まずやはりジャーメイン良です。磐田で19ゴールを生み出したストライカーは、確実に広島のストライカーとして大きく貢献すると予想します。多くのクロスが入ってくる広島というチームにおいて、ボックス内ストライカーとして猛威を振るうことのできるジャーメイン良の加入は攻撃力をさらに上のレベルへ引き上げると思います。
地上戦と空中戦、どちらも強いので前進の基準を作り出す事も可能な選手です。能動的なトランジションの発生は広島にプラスの要素をもたらすと思います。
次に田中聡です。湘南ベルマーレでディフェンシブMF(DMF)を完璧にこなしながら攻撃参加もお手のもの。ゴール前に入ってシュートを叩き込むことも可能です。
またボール奪取もリーグ随一のスタッツを記録しています。常にボールを狩りにいく広島のスタイルにおいて、「ボールを狩れる、回収できる」能力を持ち合わせているアンカーは必須です。そのバランス感覚を兼ね備えている田中聡はピンズドの補強と言えるのではないでしょうか。
同じ中盤でいうと井上潮音とザスパ群馬への期限付き移籍から復帰した仙波大志です。前者はセントラルハーフ(以下CH)が主戦場で、さらに彼もまたDMFとして振る舞えることのできるプレーメーカーです。
広島はCHが飛び出して行く回数が多いため、バランサーが必要になります。そのバランスを維持してくれる選手がまさに井上潮音です。彼がいることによって、よりボールを保持しながら攻撃を組み立てることが可能になるでしょう。
また仙波大志も同様にCHもしくはセカンドトップ(ST)でプレーすることができ、彼もまたプレーテンポを管理することが可能な選手です。狭いスペースでもプレーする確かな技術と、そのスペースを把握しつつクルクルと回りながら相手をいなすこともできます。
田中聡、井上潮音、仙波大志の復帰はこれまでの戦い方に加え、「ボール保持からの試合展開」を考えているように映ります。どのようなサッカーになるのか、楽しみが広がる補強だと思います。
そして左ウイングバック(以下WB)を主戦場とする菅大輝の加入です。北海道コンサドーレ札幌でも左WBを主戦場としているので、チームへのフィットは最もスムーズだと思います。当然コンサドーレとは違ったプレー文脈になると思いますが、それでもプレーの景色は変わらないので適応は早そうです。
やはり特徴的なのは攻撃方面にあり、両WBの攻撃参加が盛んなサンフレッチェ広島において、菅大輝は生き生きとプレーすると思います。また東俊希のライバルとして競争が生まれることも、菅大輝と東俊希に、そしてサンフレッチェ広島に小さくない影響と成長を提供できると思います。
最後に大卒ルーキー、中村草太とヒル袈依廉です。特に中村草太は「大学NO.1プレーヤー」という肩書きを引っ提げ、大いなる期待と共にサンフレッチェ広島に加入しました。
中村草太は攻撃の全てをこなせる選手で、いわゆる「全部できてしまう」選手です。何試合か大学サッカーを見させてもらいましたが、アタッカーとしての能力を全て兼ね備えている選手です。
ゴールに向かっていくための文脈も、味方にゴールを取らせるためのラストパスも、サイドからの攻撃も、全体を押し上げるためのドリブルも、剥がすドリブルも、本当に大学サッカーではレベルが違うところを見せていました。だからこそ、プロの試合でどのようなパフォーマンスを見せるかはとても楽しみです。
きっと今シーズンの広島も前からプレッシングをかえ、ボールを狩り取っていくサッカーを志向します。その中で中村草太がどのようなパフォーマンスをして、どのようにチームに貢献していくかは注目の1つであり、間違いなく大きな戦力となるでしょう。
昨シーズンの最後まで優勝争いを繰り広げたメンバーが多く残り、さらに新たなメンバーも加わったサンフレッチェ広島。
不撓不屈のこの紫のチームは、昨シーズンの悔しさを乗り越える強さを発揮するでしょう。頂の景色を見る準備は整っています。