中国東部沿海の江蘇省南京市に位置する南京理工大学環境生物工程学院の張軒教授の研究チームは、新型ポリエステル逆浸透膜の開発に成功し、従来の商用ポリアミド逆浸透膜の多くの欠陥を克服し、次世代海水淡水化技術に新しいソリューションを提供しました。関連の成果は、19日付けの国際学術誌「サイエンス」に掲載されました。

「サイエンス」誌の査読者は、これはおそらくポリアミド逆浸透膜に匹敵するか、それを超える初のポリエステル膜であり、逆浸透膜研究におけるマイルストーン的進展であると評価しています。

逆浸透膜は海水淡水化施設の重要な装備で、現在主流となっている商用逆浸透膜は主にポリアミド素材をベースとして開発されたもので、米国、日本などの数社が国際市場シェアの大半を占めています。ポリアミド素材のろ過性能は優れていますが、工学的な応用には不十分なところがあります。耐塩素性を例に挙げると、海水は前処理の段階で塩素消毒が必要ですが、塩素系消毒剤はポリアミド膜の化学構造に不可逆的な損傷を与え、さらには直接分解してしまう恐れがあるため、海水は塩素消毒後に脱塩素処理を受けて初めて、逆浸透ろ過の段階に入ることができると張教授は述べています。

張教授の研究チームは、2014年から新しい逆浸透膜材料の研究を始めました。膜材料の化学的耐性の改良に着眼し、従来のポリアミド膜がどのように活性塩素の「攻撃下」で分解されるのかを解析しました。

最終的な目標はポリエステル素材に集中し、一連の技術革新により、新たなDHMBA型ポリエステル逆浸透膜を開発しました。

実験の結果によりますと、新型ポリエステル膜は耐塩素性などの指標において、従来主流となっている商用ポリアミド膜より大幅に優れており、一次浸透脱ホウ素率は93%に近いということです。一方、この新型ポリエステル膜は商用ポリアミド膜の生産プロセスを踏襲していることから、大規模生産への転用可能性があり、関連技術は現時点で、2件の中国国家発明特許を取得したということです。(提供/CRI)