中国メディアの参考消息はこのほど、「香港メディアによると、人型ロボットの商業化で中国が技術進歩の先頭に立っている」とする記事を掲載した。

記事によると、香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)はこのほど、米国に本拠を置く世界トップクラスの人型ロボット企業のボストン・ダイナミクスが、油圧駆動の人型ロボットの開発を中止する代わりに、中国のハイテク企業による独占が進む電動モーター駆動ロボットの製造に注力すると発表したことを取り上げた。

それによると、同社はこのほど公開した動画で、同社が開発した人型ロボット「アトラス」の「現役引退」を発表した。人間のような敏しょう性と、時折アクロバットを成功させることで知られるアトラスは、世界中の観客を魅了してきた。

同社はアトラスの新しい全電気式後継モデルを発表し、その「現実世界への応用」を強調した。

油圧ロボットは四肢の強度に優れるが、油圧システムが複雑で応答が遅くなる。電気モーターは軽量で柔軟性が高く、高速で低コストだ。

油圧式ロボットから新しい電動ロボットへの転換は、中国企業が長年追求してきた戦略への移行を示すものだ。

中国の杭州に本拠を置くロボット開発スタートアップの宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)は先ごろ、電動人型ロボット「H1」がバック転をする動画を公開した。

同社によると、H1の電気駆動システムは「このクラスとして比類のない速度、強度、可動性、柔軟性を提供」し、秒速3.3メートルで移動でき、「世界最速」だという。

H1は、2023年に米テキサス州オースティンで開催された国際ヒューマノイド移動競技会で、障害物コースで1位、フリースタイルウオークで2位を獲得し、米アプトロニックの「アポロ」やスペインのパル・ロボティクスの「カンガルー」などのライバルを上回った。

ボストン・ダイナミクスは人型ロボット工学の主要企業だが、独立系テクノロジーブロガーのJizhishuo氏は「人型ロボットの商業化で、中国が技術進歩の先頭に立っているようだ」と指摘する。電気駆動ロボットは、より静かで効率的、液体漏れのリスクもなく、メンテナンスコストも低い。

中国の人民網研究院が23年11月に発表した人型ロボット技術特許分析報告書によると、中国は23年時点で人型ロボットの特許出願数と有効特許数の両方で日本を上回り世界1位だ。

この技術採用の相違は、上流のサプライヤーのイノベーションにも拍車を掛けている。東京に本拠を置く特許分析会社パテント・リザルトによると、2000年以降のライダー関連特許出願は、中国企業の2万5957件に対し、米国企業は1万8821件、日本企業は1万3939件だ。(翻訳・編集/柳川)