香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストはこのほど、「中国と韓国が先進的な造船受注を争う」とする記事を掲載した。

中国メディアの参考消息が要約して伝えたところによると、記事はまず、「中国の国有造船会社は、数十億ドル規模の契約でカタールの石油・ガス事業者向けに大型タンカー艦隊を建造する契約を結んだが、これは高級海運部門における韓国の優位性にさらに挑戦するものだ」と伝えた。

記事によると、中国の国有造船大手、中国船舶集団は4月29日の声明で、カタールエナジーの発注により、個別容量27万1000立方メートルのタンカー18隻を製造するとし、液化天然ガス(LNG)を輸送する通常の船舶より57%大きいと述べた。さらに、この歴史的な合意は「超大型LNGタンカー建造の研究、開発、能力における中国の急速な進歩を象徴するもの」であり、それらの進歩は「世界をリードするという目標に向かって前進させている」と付け加えた。

カタールエナジーの最高経営責任者(CEO)でエネルギー問題担当大臣でもあるサード・シェリダ・アル・カービ氏は、同日の契約調印式で「これらの超近代的で史上最大サイズのLNG船の総額は約60億ドルであり、今日私たちが署名した契約は、業界史上最大の単一造船契約だ」と述べた。

記事は「韓国は長年、LNG船や客船など世界最先端の船舶を製造することで知られてきた」とし、フランスの投資銀行ナティクシスのアジア太平洋地域担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレーロ氏のコメントとして「韓国は本当に懸念している」と伝えた。

記事によると、韓国産業通商資源部は4月初旬、同国が3年間失っていた世界最大の造船所の座を、世界新規受注の観点から2024年第1四半期に中国から取り戻したと発表。増加の理由として「環境に配慮した高付加価値船」の受注を挙げた。

カタールエナジーは、中東諸国で発見されたLNGを中国を含む海外の消費者に輸送するためのタンカーを必要としている。Q-Maxと呼ばれるカタール建造のLNGタンカーの容量は26万6000立方メートルで、同様の船舶の標準よりも大きい。

エネルギー情報会社S&Pグローバル・コモディティー・インサイツによると、カタールエナジーは2月、LNG生産能力を現在の年間7700万トンから30年までに年間1億4200万トンに増やす目標を発表した。同社の拡大推進の背景には世界的なLNG需要の高まりがある。

中国船舶集団によると、新たに発注された船は長さ344メートル、幅53.6メートル、深さ27.2メートル。カタールエナジーによると、18隻のうち8隻は28年から29年にかけて引き渡され、残りの10隻は30年から31年に引き渡される予定だという。

米ウィラメット大学経済学主任教授のリアン・イエン氏は「中国がカタール向けに建造する大型タンカーは、サイズが大きいため輸入市場に比較的早くガスを届けることになる。実際には、LNGを輸出するまでの時間や効率を高めることが問題だ」とし、これらの出荷の一部が中国に届くことを期待していると語った。リアン氏によると、北京に本拠を置く中国船舶集団は、19年の合併以来、この種の企業では世界最大手であり、より多くの輸出用船舶の製造に熱心に取り組んでいる。

業界調査誌ザ・マリタイム・エグゼクティブは昨年、韓国の造船会社であるHD現代重工業、ハンファオーシャン、サムスン重工業のカタール向けLNGタンカー40隻で90億ドルの収益が見込まれると報じた。

ソウルの梨花女子大学国際学教授であるリーフエリック・イーズリー氏によると、LNGタンカーの生産は韓国の一部地域で雇用を創出しており、「国民経済にとって政治的に重要」で、「韓国の造船業は、輸出主導型の発展で急速に近代化した半島国家としての国家アイデンティティーの一部だ」という。(翻訳・編集/柳川)