中国メディアの参考消息は2日、「米国の専門家によると、エネルギー覇権を巡る世界的な戦いが始まるかもしれない」とする記事を掲載した。
記事によると、米コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターのタチアナ・ミトローバ氏とアンヌ=ソフィー・コルボー氏はこのほど、米誌ナショナル・インタレストへの寄稿で、「世界のエネルギー秩序は、根本的な再編の時代を迎えている」との見方を示した。
両氏によると、米国、サウジアラビア、ロシアという三大化石燃料大国(石油国家)が影響力を強化している一方で、新興の電気国家である中国が欧州の環境保護目標に沿った異なる技術の方向性を追求している。その結果として、エネルギー覇権を巡る不安定で非対称な争いが生じ、今後10年間のエネルギーと地政学の展望を決定付ける可能性がある。
米国、サウジ、ロシアの3カ国には、特に米国のシェールオイルがサウジの優位性を脅かしたことを考えると、共通点がほとんどないように思えるかもしれない。しかし今や、特に化石燃料を通じたエネルギー支配へのコミットメントを共有しており、炭化水素からの移行を支持する国は皆無だ。
この3カ国とは対照的に、中国は経済の電化を驚異的な速度で進めており、それは特に交通分野で顕著だ。2023年までに電化率は26%に達し、欧州と米国を上回った。再生可能エネルギー分野では世界をリードし、原子力発電所も急拡大している。太陽光発電とバッテリーのサプライチェーンの80%以上を支配し、エネルギー転換に不可欠な鉱物資源のほとんどを加工している。脱炭素を目指す国にとって中国は不可欠なパートナーと言える。

中国は依然として世界最大の石油・天然ガス輸入国だが、その長期的な軌跡は炭化水素依存型から電化された世界秩序の主導権を握る勢力への転換を示唆している。
中国は石油供給国にとって重要な市場でもあり、興味深いことに、サウジとロシアは中国と強固なエネルギー関係を維持している。過去10年間でサウジと中国はエネルギー関係を深めてきた。
エネルギーの新たな二極化が生まれつつある。一方では、石油国家(米国、サウジ、ロシア)が化石燃料への依存と輸出を強化し、もう一方では、中国が主導し欧州も加わりつつある電気国家が、電化や大規模再生可能エネルギー、クリーンテクノロジーのサプライチェーン支配を通じて優位性を築いている。炭化水素と電子のこの非対称な競争はエネルギーシステムだけにとどまらず、世界的な影響力や経済の回復力、経済モデルを巡るより根深い争いを反映している。
化石燃料は古い力の源であるのに対し、電子と重要鉱物は新しい力の源だ。しかし、状況はより複雑で、これらの国々はハイブリッド戦略を追求している。石油国家は多様化を図り、サウジは二酸化炭素回収と水素に投資している。一方、米国では州レベルでより複雑な状況が見受けられる。テキサス州は大規模な石油・ガス生産州であると同時に再生可能エネルギーの主要拠点でもある。
一方、典型的な電気国家である中国は、供給途絶や化石燃料輸出国による市場操作のリスクを軽減するため、貯蔵能力と取引インフラを急拡大している。
重要な問題は、石油国家が需要減少の中で市場シェアを争うのではなく、炭化水素市場を調整する意思と能力を持つかどうかだ。
これから待ち受けているのは二元的な衝突ではなく、旧来のエネルギー大国と新たなクリーンエネルギー覇権国との間の不安定な争いだ。石油国家は価格決定力と化石燃料による収入に固執するかもしれないが、電気国家は産業技術と環境への影響力において圧倒的な地位を占めつつある。両陣営は内部的に分裂しているが、特に中国においては、その規模や速度、国家間の連携こそがポスト炭化水素時代の国際秩序における最終的な勢力バランスを決定付ける可能性がある。(翻訳・編集/柳川)