2025年7月24日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、米国のトランプ政権が新たな人工知能(AI)計画を発表したことを報じた。

記事は、トランプ米大統領がかねてより中国がAIで米国を追い越す可能性に警鐘を鳴らしており、今回発表されたAI計画は中国の技術発展と市場拡大に対抗して技術的優位性を確保し、「AI競争」に勝利することが目的だと紹介。

バイデン政権における安全保障を主眼においたAI政策から市場志向の政策へと大きく転換する内容になっているとした。

そして、国内政策としては「言論の自由と米国の価値観」を擁護すべく、AI開発における州・連邦レベルの環境・多様性保護のための規制や目標を緩和し、気候問題に関する政策制限を撤廃するとした。また、データセンター建設手続きを加速するとともに、AIおよびクラウドコンピューティング需要による電力不足に対応すべく、関連法規制を緩和して連邦政府の土地での電力供給データインフラ建設を許可すること、企業の負担を軽減するために、州ごとの規制を配して連邦で統一されたAI関連法や基準を確立することなどを紹介した。

さらに、中国を念頭に置いた国際競争戦略では、商務省が主導して中国への先端チップおよびチップ製造装置の輸出における既存の抜け穴を塞ぎ、最終利用者への追跡監視を強化するほか、中国などの「懸念国」が禁令を迂回することを技術特定・検証措置を通じて防止するとした。また、欧州・アジアの同盟国と協力してグローバルなチップ・AI技術輸出管理体制を推進すると同時に、ハードウエア、ソフトウエア、関連サービスを含む米国式の「フルスタックAI輸出キット」開発を主導し、中国モデルの普及を抑制すると伝えた。

記事は、新たなAI政策はNvidia、AMDといった半導体企業のほか、Microsoft、OpenAI、Metaといったテクノロジー企業が大きな恩恵を受けることになると紹介する一方、消費者擁護団体からは「企業への大盤振る舞い」であり、ペナルティーが少ない状況の中で未検証のAI製品が続々リリースされたり、環境の安全や情報の透明性を確保するメカニズムが形骸化したりといった懸念が生じるとの批判も出ていると指摘した。

その上で、トランプ政権の立場は「積極的な行動と迅速な展開だけが、米国が主導的地位を維持できる唯一の方法だ」というものであるとし、中国の猛追は米国国内の規制が原因であり、規制を続ければ中国に抜かれることになるとするバンス副大統領の話を紹介した。(編集・翻訳/川尻)

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