2025年7月28日、観察者網は、中国の自動車産業において「トラックの新エネルギー化」が新たな切り札になりうるとする記事を掲載した。

記事は、中国が世界最大のトラック生産国であり、19年の生産台数が220万台以上だったと紹介する一方、乗用車の新エネ普及率が50%を超えているのに対し、トラックでは20%にとどまっていると指摘。

それでも4年前の1%未満からハイペースで普及が進んでおり、トラックの新エネ化は「政策主導の導入期」から「市場主導の成長期」へと移行しつつあるとした。

そして、トラックの新エネ化、特に電動化が進む要因について、電気コストが燃料コストよりもすでに低く、今後さらにコストダウンできると予測されていること、環境騒音や二酸化炭素排出削減に関する規制が厳しくなっていること、電気自動車(EV)トラックへの優先的な通行権や電動化に対する補助金といった政策面からのバックアップ、そして充電・バッテリー交換技術の発展に伴う航続距離の不安低減の4点」を挙げた。

その上で、今後の展望について、まず都市部や農村部での配送に使われる中・軽型トラックのEV化が先行することで、生活の質の向上に貢献することができるとした。また、大型トラックでは 鉱山トラック、港湾地域、建設現場で使用されるダンプカーやコンクリートミキサー車など、日常の走行距離が短いトラックのEV化が先行する可能性があると伝えた。

さらに、新エネ化は純電動化だけでなく、ハイブリッドやレンジエクステンダー、水素燃料化といった複数のアプローチから進行していくとした。

記事は、中国が乗用車と公共交通機関の電動化ですでに世界をリードしており、次にトラックがこの流れに続くと予測。環境保護を出発点とする欧米の新エネ開発は「富裕層のおもちゃ」になりがちであるのに対し、低コストと持続可能性を出発点とする中国の新エネ開発こそが正しい道だとの見解を示した。

また、中国では低コストの石炭火力発電をベースとして新エネを発展させることで電気料金がさらに低下し、世界との発展のスピード差を広げることに繋がるとともに、物流コストダウンにも大きな役割を果たすと論じた。(編集・翻訳/川尻)

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