2025年7月29日、台湾の女性ファッション誌・Bella儂儂は「SAKAMOTO DAYS」が、25年上半期にNetflix(ネットフリックス)で最も人気を集めた理由について考察した記事を掲載した。

記事はまず、「『SAKAMOTO DAYS』は、25年上半期にNetflixで最も人気を集めたアニメ作品だ。

再生回数は実に2440万回、視聴時間は1億時間を突破し、まさに社会現象級の存在となった。引退した殺し屋の日常を描いたこの作品がなぜこれほどまでに人気を集めたのか、主な理由を分析する」とし、「作品そのものの話題性の高さに加え、全世界独占配信というアドバンテージが大きな要因となっている。『ダンダダン』や『鬼滅の刃』、『SPY×FAMILY』といった他の人気作品は、配信権が複数のプラットフォームに分散しているため、再生数が分散する傾向がある。さらに『SAKAMOTO DAYS』はNetflix全体の映像作品の中でも33位という目覚ましい成果を収めている。これは、本作が単なるアニメファンの間だけでなく、一般層にも広く浸透し『ジャンルの壁』を越えて話題作となったことを証明している」と述べた。

次に、「『SAKAMOTO DAYS』の作者である鈴木祐斗氏は、30歳を少し過ぎたばかりの若手漫画家ながら、近年特に注目されている存在だ。『呪術廻戦』の芥見下々氏と同様、初の長編連載作品で一気にブレークし、その名を広く知られるようになった。高校時代に『勉強がしんどかった』という理由から東京藝術大学を志望し、日本画科に合格。プロの道へと進み、漫画家アシスタントとして絵コンテ制作で経験を積んだ後、ついに長編連載のチャンスをつかんだ。ユーモアに富んだ日常描写とテンポの良いバトルシーンを武器に、『SAKAMOTO DAYS』は瞬く間に人気を博し、シリーズ累計発行部数はすでに1200万部を突破。新世代の少年漫画市場を代表する作家の一人となっている」と紹介した。

続けて、「同作は、伝説の殺し屋・坂本太郎が愛する家族のために足を洗い、坂本商店の店長として静かに暮らすも、過去の因縁により再び抗争に巻き込まれてしまう物語だ。

このような設定はハリウッド映画ではおなじみのテーマで、リーアム・ニーソンの『96時間』、デンゼル・ワシントンの『イコライザー』、キアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』などが典型例だ。また、坂本の体型から発揮される身体能力の意外性はサモ・ハン・キンポーが『燃えよデブゴン』を想起させる。鈴木氏は、『SAKAMOTO DAYS』にもこうした名作映画のオマージュを多く盛り込んでおり、アニメ化によってそれがさらに明確に表現されている。例えば、チャウ・シンチーの『カンフー・ハッスル』に登場する弾丸を指で挟むシーンや『ジョン・ウィック』の鉛筆を使った殺し技ど、ファンが思わず反応するネタも随所にちりばめられている。このようなアクションの爽快感、懐かしさ、そして日常的なコメディーを融合させた独特な手法こそが、同作をヒットさせた大きな魅力の一つだ」と評した。

また、「主人公の坂本は、一見すると『スラムダンク』の安西先生のような穏やかな見た目で、普段は寡黙で家族思い、妻と娘を溺愛する癒し系パパのように見える。しかしひとたび戦いが始まれば、その温厚な外見からは想像もつかない圧倒的な実力で敵を軽々と制圧する。このようなギャップのあるキャラクター造形こそが作品最大の魅力だ。アニメでは、彼の日常的な憎めない姿を愛らしく描く一方で、アクションシーンではコマ抜きやスローモーションを用いたカメラワークによって、スピード感と力強い爆発力を際立たせ、視聴者の目を釘付けにする。『僕のヒーローアカデミア』のファットガムのように、戦闘時にカロリーを消費することで筋肉質な本来の坂本に戻る設定もあり、視聴者を引きつけてやまない」と論じた。

さらに、「殺し屋をテーマにしている以上、作品の世界観を構築することは、視聴者を引きつけるための必須条件だ。坂本はすでに現役を退いているが、元殺し屋のエスパー・朝倉シンと元・マフィアのお嬢様・陸少糖(ルー・シャオタン)という、個性的な仲間を迎え入れており、殺し屋の世界も坂本を放ってはおかず、日本殺し屋連盟(殺連)、スラー(X)、殺し屋養成所(JCC)といった勢力が次々と彼に接触してくる。

さらに、認知症のように見えるが実は剣の達人である篁(たかむら)や、奇妙な殺し屋コンビ・神神廻(ししば)と大佛(おさらぎ)といったキャラクターも登場し、個性豊かな裏社会の人物群像が鮮やかに描かれている」と言及した。

そして、「『SAKAMOTO DAYS』が激戦のアニメ市場で頂点を獲得した理由は、Netflixの独占配信というアドバンテージだけではない。真の強みは、アクション映画さながらの爽快感、日常系コメディー、家族愛を軸にした温かみのあるテーマなどの多要素融合にある。これが、25年上半期を代表するアニメとなったのも納得の結果だ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

編集部おすすめ