中国メディアの観察者網は、「中国人がオープンした日本料理店はどれだけの日本人を怒らせてきたのか」と題する文章を掲載した。

文章は、「近年、中国人が経営する日本料理店が国内外で急速に拡大している。

多くの店舗は『東京』『桜』『北海道』といった日本の地名やイメージを冠しながら、『宮保鶏丁寿司』など(中国風の)新しい創作メニューを提供している。これらの料理は、従来の日本料理のイメージを覆すと同時に、海外で日本人のビジネスを脅かしており、日本企業に強い危機感を生じさせている」と説明。「日本は長年、この現象を文化の盗用や本物の価値の理解不足と捉えていたが、中国人による日本料理店の勢いは衰える気配がない」とした。

その上で、こうした現象の背景には、食材供給のグローバル化と日本国内の資源の限界があると指摘。「たとえば、日本料理でよく用いられるサーモンは、日本国内で生産される量は極めて少なく、多くを輸入に依存している。サーモンはもともと冷たい淡水や塩分の低い海水を好むため、日本国内の供給は限られ、その結果、ノルウェー産のサーモンが大量に日本市場に流入することとなった。1980年代、ノルウェーは国内の生産過剰を背景に日本へのサーモンの売り込みを強化。95年までには、日本市場に浸透し、日本人の食卓に定着することとなった」と説明した。

また同様に、ウナギについても「日本の国内生産量は限られ、熱帯や亜熱帯に生息するため日本ではほとんど捕獲できない。結果として、日本国内のウナギの70%は中国からの輸入に頼っている。近年では中国のウナギ養殖量が世界の70%以上を占め、福建省などの養殖地域が国内外の需要を支えている」と言及。また、「日本はその他の食材も輸入に依存しており、モーリタニアの冷凍タコやロシアのウニ、中国のカニなど、さまざまな海産物を海外から調達している。

こうした状況は、原材料の調達や価格において日本の飲食業界が外部要因に左右されやすい構造を示している」と論じた。

文章は、中国人が経営する日本料理店の特徴として、「日本人が経営する店のような『匠(たくみ)の精神』に依存せず、マニュアル化や規模の最大化を徹底している」点を挙げた。「店舗マニュアルに沿った作業手順や、QRコードによる注文・決済システムの導入、メニューの簡素化などにより、効率的な店舗運営が可能になった。こうした手法により、店は短期間で複製可能となり、利益率を高めることができる」と説明。日本のいわゆる伝統的な日本料理については、「素材の選定、盛り付け、接客に時間をかける『プロセス重視』の文化を守っており、文化体験としての付加価値を提供している。しかし、その付加価値は客観的な価格基準が定まらない」と指摘した。

そして、「中国は高級食材分野でも世界市場を席巻している。フォアグラは山東省臨朐県で大量生産され、世界の45%のシェアを占める。キャビアや黒トリュフも中国での生産が進み、世界シェアの60~70%を占めるようになった。生存条件が厳しいサーモンは依然としてノルウェーに依存しているが、その他の食材は中国の養殖・加工技術で低コストかつ高品質に供給されている」と主張。その一方で、「日本では、輸入食材の国内産偽装もたびたび発覚している。中国産ゴボウを青森県産と偽装した事件や、中国や韓国産のハマグリを熊本県産として販売する事例が報告された」と言及。

「早くからこうした状況を見抜いていた日本の消費者は率先して行動に移しており、『中国産のウナギはサイズが大きく、量を重視する時には中国産を選ぶ』との声も聞かれる」と伝え、中国の“低コスト・高品質”の優位性を強調した。(翻訳・編集/北田)

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