中国メディアの環球時報は3日、「国産ロボットが中国の輸出急増をけん引」とする英フィナンシャル・タイムズの記事を紹介した。

記事はまず、「経済学者によると、低コストの自動化が、賃金が上昇する中でも低級製造業を維持する理由を説明できる」とし、「中国国産ロボットメーカーは低コストの自動化の波をけん引している。

国内工場はより多くの製品をより低価格で生産できるようになり、労働集約型製品においても輸出シェアの拡大を可能にしている。政府はロボットメーカーの育成と製造業への投資と信用貸付の注入に力を入れている」と伝えた。

その上で、国際ロボット連盟(IFR)によると、中国の工場では毎年、世界全体の半分に相当する約28万台の産業用ロボットが導入されていて、中国のロボット対労働者密度はドイツを上回り、世界首位の韓国に迫っていると紹介した。

記事によると、中国で新たに導入されるロボットの約半数が国内企業によって製造されたもので、国内企業は海外の競合他社よりも低価格で販売することで国内の顧客を獲得している。中国のロボットメーカー、成都CRPロボットテクノロジーのリー・リアンジュン最高経営責任者(CEO)は「誰もがアウディA8を必要としているわけではない。多くの場面において当社の機能性と安定性は十分に満たしている」と語る。CRPの溶接ロボットは、産業用ロボット4強と呼ばれる安川電機、ファナック、ABB、クーカの製品の約60%の価格で販売されている。

記事は「経済学者は、積極的な自動化が、賃金上昇とともに低級製造業が失われるという典型的な発展軌道に逆らった理由を説明する一助になるかもしれないと考えている」とし、ハーバード大の成長研究所がまとめた貿易データによると、中国は2019年から23年にかけて労働集約型産業の幅広い分野で世界輸出シェアを拡大し、中国のほうきやモップ、ペンなどの小型工業製品の輸出シェアは4年間で9ポイント上昇して52.3%となったこと、家具の輸出シェアは約1.5ポイント上昇したこと、玩具の輸出シェアは54.3%から56.9%に上昇したことを紹介。英キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、リア・フェイ氏によると、歴史的に見ると、国が発展し労働コストが上昇するにつれてこうした製品の生産から遠ざかっていくものだと伝えた。

記事によると、この傾向は南西部の四川省にある工場でも見受けられる。そこではCRPの溶接ロボットが鋼鉄片を溶接して三輪電動カートのシャーシを形成している。同工場を所有する企業の副社長によると、ロボットを導入するごとに人件費が半減し、効率も上がった。

同社は過去3年間で生産ラインの約半分を自動化し、日本企業製の数台の機械と比較検討した結果、数十台の国産機械を導入することを決定した。同工場は現在、6000元(約12万4800円)相当の貨物運搬カートとトゥクトゥク(三輪タクシー)を東南アジアやアフリカ、米国へ出荷していて、出荷量は増加の一途をたどっている。

記事は、CRPのリー氏によると、各地の工場が同社の比較的安価な国産ロボットを購入し、三輪カートや家具、フィットネス機器、自転車などさまざまな低価格商品を製造していて、かつて中国は豊富で安価な労働力に頼って製造業大国としての地位を築いてきたが、今ではロボットの労働力によって労働力の優位性を維持していると伝えた。

記事によると、同工場では、CRPの数十台のロボットが月給1万5000元(約31万2000円)にも達する溶接工の代わりを務めている。政府は、多くのブルーカラー労働者がスキルアップし、ロボット技術者の「パープルカラー」労働力として拡大していくことを期待している。

記事はまた、繊維産業の中心地である浙江省紹興市柯橋区のある企業が、労働者の代わりとなって生産性を高めてくれることを期待して数台の巨大な印刷機と刺しゅう機を購入したことを取り上げ、同社の経営者が「国産自動化機械のおかげで工場の生産量が倍増し、利益率も向上した。インドでは今でも刺しゅうは手作業で行われているが、私たちは機械を使っている」と語ったことを紹介した。(翻訳・編集/柳川)

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