中国国家インターネット情報弁公室(国家網信弁)は11日、中国の人気SNSプラットフォームの小紅書が「情報内容管理の主体責任を果たしていない」として、問題点や処置を発表した。国家網信弁は、小紅書の検索ランキングに芸能人の動向や些細な話題などの「不良情報」が頻繁に登場し、ネットワーク環境の質を損ねていると指摘。

さらに、小紅書の運営企業である行吟信息科技の所在地である上海市インターネット情報弁公室に対して、小紅書を事情聴取し警告して、期限を定めて是正を命じ、責任者を厳しく処分するよう求めた。英国メディアのBBC(中国版ウェブサイト)が伝えた。

小紅書は同日中に、「処罰を誠実に受け入れ、深く反省し、真剣に是正を実施する」ことと、「要求に従い作業チームを直ちに設立し、検索ランキングの環境を改善」すると表明する公告を発表した。

小紅書の検索ランキングの説明によれば、ランキング内の注目語句の順位は毎分更新される。計算式は検索数、拡散の速度、話題になった頻度、クリック率を加算するという。

翌12日に小紅書の検索ランキングを確認したところ、ランキングには芸能関連の用語や芸能人の名はなく、代わりに衣類や生活用品に関する語句が並んでいた。

同件については、多くのネットユーザーが、国家網信弁が言及した「芸能人」とは、チャオ・ルースー(趙露思)またはユー・シューシン(虞書欣)のことだとする推測を示した。

今年26歳のチャオ・ルースーは、もともとミニブログ投稿サイトの微博(ウェイボー)で3000万人以上のフォロワーを有していたが、8月に所属事務所との対立により、間もなくアカウントが削除された。その後、小紅書に移り、頻繁にライブ配信を行い、2日間でフォロワー数が2000万人を突破して小紅書としての記録を更新した。

小紅書の検索ランキングには、チャオ・ルースーに関連する語句が頻繁に登場するようになった。あるネットユーザーは、ランキングの上位10語句のうち、チャオ・ルースーに関連する語句が最多で五つもあったと紹介するスクリーンショットを公開した。語句の中には「ライブ配信で泣いた」「麺を食べに店に行った」「100通りの服の着方」などが含まれていた。

趙については、一挙手一投足まで情報が飛び交うことになった。

国家網信弁が言及した「もう一人の芸能人」ではないかとされるユー・シューシンは今年30歳で、テレビドラマでヒロインを演じたなどで知名度を上げたが、ここ数カ月は「マイナスの話題」が次々に取り沙汰された。

まずは家族の問題だ。ネットユーザーによると、ユー・シューシンの祖父はかつてある国有企業に勤務しており、父親は民間の鉄鋼企業の責任者だった。父親は5年間で祖父が務める国有企業に15億元(約300億円)以上の商品を販売したが、取引終了後すぐに会社を閉鎖したため、不正な取引をしていたと疑う声が出た。

そのほか、俳優のジャン・ハオユエ(張昊玥)がユー・シューシンによるいじめを告発し、自らがうつ病を患った原因と主張した。これらの情報が噴出すると、ユー・シューシンのフォロワー数はわずか1週間で72万人減少した。チャオ・ルースーもユー・シューシンも8月20日に投稿した後は投稿していない。

小紅書の運営会社の行吟信息科技は過去にも4回、小紅書について問題視され、当局から事情聴取や処罰を受けている。2021年には、商品広告に医療用語などを使用したため、上海市場監督管理局から2万元(約42万円)の罰金を科された。22年には、小紅書が未成年者の心身の健康を害する内容の投稿の削除や遮断などの措置を即座に実行しなかったとして、上海市文化観光局から30万元(約620万円)の罰金を科された。23年には、ネット出版管理規定に違反したとして、やはり上海市文化観光局から3万5000元(約73万円)の罰金を科された。

ただし、今回の処罰の理由と処罰を科した機関は、小紅書にとって初めてだった。(翻訳・編集/如月隼人)

編集部おすすめ