2025年10月23日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国への依存が自国の繁栄を脅かしているとするドイツメディアの評論を紹介した。
記事は、ディ・ヴェルトとケルン・シュタットアンツァイガーのドイツ紙2紙による、対中依存リスクに関する評論記事を紹介している。
そして、中国が医薬品や半導体、レアアースといった多くの重要分野で独占的な地位を確立しており、いつでも「致命的な攻撃」を仕掛ける準備ができていると指摘。最近の例として、中国企業傘下でオランダに本社がある安世半導体(Nexperia)製の特種半導体チップについて、中国政府が輸出規制を発動したことで、フォルクスワーゲンが短時間労働の計画を立てるなどドイツの自動車生産ラインが生産停止の危機にある現状を挙げた。
チップの生産はほぼオランダで行われているものの、最終工程のパッケージング(封止)を中国国内で行う必要があるため、中国政府の規制によって輸出が滞ってしまうのだという。
ディ・ヴェルトはその上で、現在ドイツの自動車メーカーが直面する窮状について、長年にわたり対中依存の危険性に関する警告を無視し続けた企業幹部たちによる「自業自得」の結果であると厳しく批判。中国への一方的な依存を大幅に減らすことが喫緊の課題であり、重要製品の大規模な備蓄と、代替的な貿易関係の確立が急務だとし、そのためには困難があろうとも米国とのパートナーシップを継続することが不可欠な選択肢だと評している。
ケルン・シュタットアンツァイガーは、Nexperia事件について「米中という二大経済圏のはざまで生き残りを図る欧州の困難な状況を露呈した」と指摘。依存関係の低減はリスク管理に役立つものの完全な依存脱却は不可能であること、中国が西側の技術に、西側が中国の原材料に依存するという相互依存関係自体が現在の国際政治の安定要因となっており、一方的に中国への依存から脱却すれば国際政治リスクが高まる恐れがあることから、対中依存脱却について過剰に反応すべきでなく、リスク管理としての低減にとどめるべきとの見解を示した。
一方で、欧州は環境保護、人権、高い社会基準など、道徳的・倫理的に正しくても到底実現不可能である「崇高な目標」を追い求めるばかりで、経済的な競争力や技術革新を強化して国際的な影響力や発言力を得るための「切り札」の育成を怠ってきたとも指摘。この怠惰がたたり、現状で米中に頼らざるを得ない弱い立場に陥ったとして、欧州の政治姿勢を批判した。(編集・翻訳/川尻)











