中国共産党は10月の20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、「第15次五か年計画(十五五)」(2026~30年)の基本方針を決定した。十五五は建国以来、15番目の五カ年計画。
中国通信社(CNS)は「十五五の期間は中国が社会主義現代化をほぼ実現するための基盤を固め、全方位で発展を加速させる重要な時期となる」と報道。清華大学中国発展計画研究院の董煜常務副院長は構造的課題と技術革新の機会が交錯するこの時期に中国経済が直面する問題と新たな産業の可能性について見解を明らかにした。
董氏によると、今後5年間の中国経済は産業構造・地域構造・都市農村構造・人口構造の四つの側面で構造的課題を抱えている。産業構造では不動産など従来の成長エンジンの勢いが弱まる中、「新興支柱産業」を育成して新たな経済の柱とすることが最大の課題となる。
地域構造については従来の東西格差という視点に加え、「主体機能区戦略」の進展により、地域発展の計画が細分化されている。董氏は「西部地域の成長拠点が周辺をどこまでけん引できるか、既存の成長機会を持続させ、新たな成長源を生み出せるかが重要になる」と指摘した。
都市と農村の構造では都市化率が67%に達した今、農村人口が都市に移動した後の公共サービスの整備が経済に大きな影響を及ぼすという。住宅や消費の分野とも密接に関連しており、人口移動を通じて経済成長をどう強化するかが問われている。
人口構造面では今後も大学卒業生数が過去最高を更新する一方で、総人口は減少局面に入る。人口動態の変化は公共サービスやインフラ整備の計画にも影響し、新たな雇用圧力が生じるとみられる。
今後に関しては「十五五期の産業発展の核心は『新質生産力』の育成と新旧動力の転換にある」とした。新エネルギーや新エネルギー車(NEV)などの分野はすでに優位性を確立し、高端装備なども追い上げを見せている。さらに、バイオ医薬やロボット産業なども成長が加速しており、「十五五期の経済成長をけん引する存在になる」と予測している。
近年、中国各業界では「内巻」と呼ばれる過度な競争の是正が進む。董氏は「模倣や横展開の速さが内巻の一因であり、過剰競争が中小企業の生存を脅かしている」と言及。今回の「反内巻」政策は従来の供給側改革とは異なり、消費者に直接関わる産業を対象としている点が特徴だと説明し、「政府は『悪性競争』を明確に定義し、必要な場合のみ規制を発動するなど、柔軟かつ市場原理を重視した対応が求められる」と論じた。(編集/日向)











