中国メディアの紅餐網は20日、中国政府が日本産水産物の輸入停止を発表したことによる、同国内の日本料理店への影響について報じた。

高市早苗首相の台湾有事に関する発言に中国が反発を強める中、中国側は19日に日本産水産物の輸入を再び停止すると日本側に通達した。

記事は、「輸入解禁後の日本産ホタテが中国に到着してから半月もたたないうちの措置だが、中国の日本料理市場への影響は限定的とみられている」と指摘。「実際、今回の政治的な動きとは関係なく、近年、中国の日本料理店における日本産水産物の使用量は減少を続けてきた」とした。

その上で、「日本の漁獲量は1984年の1282万トンをピークに減少し、2021年には421万トンまで落ち込んだ」と言及。広州市で日本料理用の食材を扱う業者の話として、「水産物の大半は今ではカナダ産、ロシア産、スペイン産などに代替されている」と説明した。また、「ウニなど一部の国産品は逆に日本に輸出されるほど品質が向上しており、国産のサーモンやウナギなども急速にシェアを拡大している。サーモンは青海省、新疆ウイグル自治区、四川省などで養殖生産が拡大し、年間の生産量は5万トン規模に成長している」と紹介した。

さらに、「クロマグロや高級アワビなど、水温や体制の問題で国内生産が難しいものは引き続き輸入に頼っているが、調達先は日本ではなく、アラスカやオーストラリアへと移行している。ホタテは日本が主要輸出国であり、価格優位性を持っているため、解禁されれば業者は取り扱いを再開する可能性はあるが、23年8月の日本産水産物輸入全面禁止以降、仕入れ先の転換を進めており、今回の措置による影響は小さい」と述べた。

このほか、「かつて日本から輸入されていた特定の調味料も、現在では国内メーカーが同等品を生産しており、国産化が進んでいる」とも説明した。

記事は、「ここ数年、中国の日本料理市場では高級志向は弱まっている。地方都市への出店が増えたことで価格帯も大衆化しており、高級日本産食材の需要は縮小している」と指摘し、「今回の日本産水産物の輸入停止措置が中国の日本料理市場に与える影響は極めて限定的であり、供給面でも価格面でも大きな混乱は生じないとの見方が支配的である」と結んだ。(翻訳・編集/北田)

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