中国政府は日本の高市早苗首相の国会での「台湾有事」関連発言に強く反発し、関連発言の撤回を求めている。日本側は中国の求めには応じない姿勢だ。

香港メディアの香港01は22日付で、中国人研究者による「日中の争いは最終的にさまざまな表明が発表されて次第に薄れていく可能性がある」「ただし、アジア太平洋地区の構造はすでに変化しており、両国間の『矛盾』は継続する」との見方を紹介する記事を発表した。

国際関係や軍事戦略を専門とする上海国際戦略研究所の趙楚(ジャオ・チュウ)副所長は、中国側の日本への抗議の語気は強いが、主に言葉の上にとどまっており、実質的な行動はまだ取られていないと述べた。中国側は日本への旅行を自粛するよう自国民に呼び掛け、日本の海産物の輸入を停止するなどした。しかし日本に対しては、台湾に対するのとは違って、軍事力を具体的に示すなどの行動はしていない。

つまり、中国は日本とある程度の実質的な関係を維持したいと考えて、行動をそれ以上にエスカレートさせていない。今後については柔軟に対応できる余地を残している。ただし日中間の「政治的共通基盤」はすでに損なわれたと考えてよい。

日中双方は過去から続いている東シナ海の油田や尖閣諸島を巡る衝突で、決して相手に屈服しなかったが、問題が熱を帯びることはあっても、その後には「退潮期」が出現した。日中関係では、「互いに強く争っても完全な決裂には至らない」状況が続いている。

ある北京在住の研究者は匿名条件に、「中国側の強硬な言葉はしばらく続く可能性があるが、最終的には次第に薄められるか、外交交渉を通じて原則部分の合意に至ることだろう」と説明した。つまり、日中双方は互いの利益に基づいて問題の解釈し、それぞれが自国内では「譲歩していない」と感じられるようにするという。

趙副所長は日中関係について「炉の中の火のように絶えず揺らめいていて、過去30年にわたり、常に新たな燃料が投入されてきた」と表現した。

その背後にあるのは、中国の実力が向上し続けていることで、国際社会における中国の地位は日本と比較して高くなり、そのことが、日本にとって中国は安全上のさらに大きな懸念になったという。

また、日中が長年にわたり軍艦および自衛艦の相互訪問を行っておらず、高水準の制度化された交流の仕組みも欠けていると指摘した。このような状況で相互信頼は低下し、安全上の懸念が高まることになった。趙副所長は「このような背景の下で、高市早苗首相の発言は、実際には驚くべきものではない」との見方を示した。

趙副所長はさらに、「アジア太平洋地域の構造は主に中国と米国の2国によって主導されている」と指摘。そのために、日中が信頼できる交流の仕組みを構築するには米中関係を基盤にする必要があるが、現在の米国の政策はアジア諸国に不安を抱かせており、アジア太平洋全体が安定した戦略構造を欠いている。そのことが、日中それぞれの、安全面での信頼をさらに損ねる結果を招いているという。

たとえ現在の争いが沈静化したとしても、両国の「負の相互作用をもたらす火種」は依然として存在する。趙副所長は、日本は世界の重要な国家として「普通の国」になることを模索しており、中国も超大国の地位を追求しているため、このような構造的矛盾は間違いなく両国関係に困難をもたらすとの考えを示した。

趙副所長は、「中国の台頭にどう対応するか」は日本が直面する重大な課題であり、中国にとっては日本という重要な隣国との関係をいかに適切に処理するかもまた大きな試練であり、従来の思考や観念はもはや適用できないと説明した。(翻訳・編集/如月隼人)

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