米国の中国に対する高関税を回避するため、企業が生産や調達を中国国外に移す動きが目立ち始めてから1年。一部の企業は中国製造業のエコシステムを他国で再現する「チャイナプラスワン」が容易ではないことを痛感し、生産を中国へ戻しつつある。

ロイター通信が伝えた。

ロイター通信によると、トランプ関税の影響で世界的にサプライチェーン(供給網)を多様化する動きが広がる中、中国丹東市の金属鋳造会社・大王精鋳は米国の主要顧客が一部の発注をインドに移したことで取引を失った。 しかし、同社副社長によると、この顧客はインドで問題に直面した後、新たな注文とともに戻ってきた。

大王精鋳も一時は生産の一部を海外へ移すことを検討したが、その後断念した。副社長は「中国のサプライチェーンの優位性は依然として非常に大きく、国内の生産体制を他国で再現するのは難しい」と語った。

多くの企業は引き続き東南アジアの製造拠点に投資しているが、中国への依存に伴うリスクを関税率の低い別の国に分散する「チャイナプラスワン」戦略は、実行が想定以上に難しいことが明らかになっている。

中国と競合する製造拠点はインド、インドネシア、ベトナムなど。事情に詳しい関係者によると、中国のネット通販大手SHEIN(シーイン)も、ベトナムでの一部事業を縮小している。中国東部・杭州で屋外用家具を輸出する業者は「2024年にベトナムのホーチミン市に開設した作業場を閉鎖し、今年、生産を中国に戻した」と語った。

ベトナム撤退は必要な設備を調達するのが難しく、ねじやカップホルダーの金型といった基本的な資材も中国から持ち込む必要があったためだ。 海外移転を正当化していた採算も変化したと指摘。「全てを計算に入れると総コストに大きな差はなく、移転する意味はなかった」と説明した。

ポーランドに拠点を置く包装会社DSTパックの最高経営責任者(CEO)は、原油価格の高騰でプラスチック原料のコストが4月に15%上昇するという厳しい時期を6年来の中国の製造パートナーと協力して乗り切った。DSTパックは生産の80%を深センの工場から調達し、残る20%は長年取引している米国と欧州の予備工場からそれぞれ10%ずつ調達しているという。

米国と欧州の工場では単位当たりのコストが2、3倍になる。同CEOは取引先がベトナムなどで苦戦するのを目にし、東南アジアへの移転を断念。「生産開始から輸出まで多くの問題に直面していた。現地の仕組みは中国ほど円滑に機能していない」と述べた。(編集/日向)

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