人生の中で、豆腐を手作りする機会ってなかなかないんじゃなかろうか。

豆腐が豆からできているっていうことは知っている。
だけど、素人である筆者の知識といったらそれくらいだ。作り方や材料など、細かい部分は一切知らない。

そんな筆者だが、ある日沖縄の郷土料理「じーまーみ豆腐」を豆から手作りできるセットを発見した。

なにそれ面白そう! と思ってさっそく挑戦してみたのだが……なんとセットを使ったにも関わらず、豆腐ではないものを生み出してしまった。

・レッツ豆腐作り

購入したのは「おかしなとうふのものがたり」という手作りセット。「株式会社琉球うりずん物産」から販売されており、筆者が利用したAmazonの店舗では税込2307円で購入できた。


調べてみたところ、株式会社琉球うりずん物産は1973年の創業時以来「じーまーみ豆腐」や「豆腐よう」を作っているメーカーだそう。プロの作り方を自宅で再現できるってことか……すごい。

セット内容はこんな感じ。材料である落花生やタピオカ粉の他、完成したじーまーみ豆腐にかけるたれ、作り方が書かれた説明書、じーまーみ豆腐のアレンジレシピが書かれたパンフレットが入っていた。

中身の確認ができたところで、いよいよ調理を始めていこう。まずは沸騰したお湯で落花生を2分茹で、火を止めて15分ほど放置する。


続いてゆで上がった豆の皮をひと粒ひと粒むいていく。

しっかりと火が通った皮は驚くほど簡単にむけて気持ちいいのだが、いかんせん落花生の数が多い……!

結局、すべての皮をむき終わるまでには40分ほどの時間がかかった。いや~、長い戦いだった……

ピカピカになった落花生を軽く水洗いして、ミキサーに入れる。ここに水550mlを追加して……

スイッチオン!! 透明だった水が一瞬にして真っ白になって驚いた。

1分ほどミキサーを回したら攪拌(かくはん)完了! 中身を手ぬぐいやガーゼでこしとると……

おお~、ちゃんとおからと豆乳に分離してる!

説明書によると、ここまで来たらいよいよタピオカ粉の出番らしい。なるほど、全部入れて混ぜるのか。


それじゃ、袋を開封して……

入れた!

混ぜた!!

・発覚

ふむふむ、次はここまでで作ったものを鍋に入れて煮詰めるんだな。──と、この工程を見てあることに気づく。

これ……どう見ても煮詰めるのに適した形状じゃなくない? 

説明書通りに作ったつもりだったのだが、なにか嫌な予感がする。慌てて豆腐の作り方を検索してみると……

どうやらタピオカ粉はおから側でなく豆乳側に入れるのが正解だったようだ。

…………やっちまった────!!!!!!!!

何も考えずに行動してしまったけど、冷静に考えてみればその通りである。説明書をよく見ろ、ボウルに入ってるのは完全におからじゃなくて豆乳だ……!! 

脳のすみっこに置かれていた「おからは豆腐には不要なもの」という情報を、ここに来てやっと思い出した。


念入りに混ぜ合わせてしまったおからとタピオカ粉。なんとかタピオカ粉だけをピックアップできないかと思ったが、どう考えても手遅れである。

う~~~~ん……しばらく迷ったけど、ここまで来てしまったら諦めるしかない。

ということで、豆乳はフライパンに入れて温め……

汲み上げ湯葉に。濃厚な甘さを感じられるうえにほんのり落花生の風味がして、パクパク食べてしまった。

おからとタピオカ粉には、小麦粉、牛乳、卵を追加してクッキーに。


こちらも落花生の風味や甘みが存分に活かされたクッキーになった。たっぷりのおからを使っているからか、腹持ちもよかったように思う。

・リベンジ

本来の用途とは異なる使い方になってしまい、メーカーの方には大変申し訳ない……私もまさかじーまーみ豆腐の手作りセットから湯葉とクッキーができることになるとは思ってなかった。

さすがにこのままでは後味が悪い。ということで再度セットを購入。もう1度最初から作り直すことにした。


落花生を砕き、豆乳とおからに分離させて……

タピオカ粉をしっかり豆乳に入れて混ぜ合わせる。

これを鍋に入れて、最初の2分は強火、残りは弱火にかけてかき混ぜながら煮詰める。うんうん、今度はちゃんと煮詰めるのに適した形状してる……!

15分ほど混ぜ続けると、どんどんとろみが増してきてヘラが重たくなってきた。チーズフォンデュみたい。

あとは鍋の中身を四角いバットに入れ、粗熱を取ってから冷蔵庫で2時間ほど冷やせば……

完成!!!!

うおおお、今度はちゃんとじーまーみ豆腐にすることができた……よかった~~~!!!!! 

さっそく付属のたれをかけていただいてみる。ふわっと香る落花生の濃厚な風味に甘じょっぱいタレがよく合っていて、大変美味……!

タピオカ粉が入っているからか、通常の豆腐と比べてかなりもちもちしていて不思議な食感だ。豆腐とお餅の中間みたいな感じ。

苦労して作った分、心からおいしいと思えるな……紆余曲折あったけど、最終的にちゃんと完成形まで持っていくことができて本当にほっとした。

・思い込みダメ絶対

これでもう今後は絶対に手順を間違わないはず。豆乳とタピオカ粉さえあれば作れることが分かったから、じーまーみ豆腐が食べたくなったらまた手作りしてみようかな。

手順をしっかり確認することと、思い込みで進めないことの大切さを再確認した体験だった。

この記事を読んでくださった皆さんは、豆から豆腐を作る時絶対おからに粉を入れちゃダメだぞ!! 私の屍を越えて行ってくれ──……!!

参考リンク:Amazon、株式会社琉球うりずん物産
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.

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